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74.気持ちは交わっても(side保)
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「大事なのは、痴漢にあったことじゃなくて!」
俺は慌てて、話の方向性を変える。
ともかく、お互い素っ裸だから、少なくとも部屋着に着替えて、ちゃぶ台で向かい合った。
ペットボトルのお茶を、修平の前に置く。
「……痴漢に合って、思ったんだけど」
「はい」
自分の想いを自覚して、それを相手に伝えるって、こんなに緊張するんだな、と思った。
少なくとも、俺は修平から好意を持たれている、とわかっているのに、それでも緊張する。
修平の視線が、俺に集中しているのが、水を飲んでいてもわかった。
「俺が、気持ち良いことしたい相手って、修平なんだなって」
「……はい」
「上手く言えないけど、男なら誰でも良いって訳じゃなくて。マジ男の痴漢だってわかった時はキモいと思ったし、嫌だって思った」
「はい」
「だから、その……お、俺も修平のこと、好きだって、」
続きは言えなかった。
小さなちゃぶ台を悠々と越えた修平の口の中に、言葉が吸い込まれる。
「ん……ふ、修、平……」
くちゃ、くちゅ、と水音をたてながら、舌を絡ませ合う。
「保先輩……っ、好きです、本当に……っっ」
話の続きを、と思ったけど。
まるで切望していた物を手に入れたような、修平の、ギリギリの気持ちが伝わってきて。
「んん、は……」
「先輩、好きだ……」
修平の気の済むまで、激しいキスをした。
「……まっ、て、ちょ、待て待て待て!!修平!待て!!」
「……はい?」
そのままセックスになだれ込もうとする修平の顎をグイと両手で押しつつ、待てをする。
マジで大型犬かよ、こいつ!!
「話にはまだ続きがある」
「それは失礼致しました」
きちんと話せばわかってはくれる。
賢いコだ、うん。
修平がずっと俺の下半身を掌で撫でているのは気になるが、ひとまずそこはスルーして話を進めた。
「修平のことは好きだ。でも、付き合うのは少し待って欲しい」
「……え?」
修平は驚いたのか、目を見開いた。
「俺、母さんに言われたんだよ。大学で彼女が出来たら、きちんと教えろって」
「……はい」
俺の足を触っていた修平の手が、ピタ、と止まった。
「で、その時、次は孫ね、楽しみにしてるって言われてて」
「それは……随分と、せっかちなお母さんですね」
「同感」
そのまま拳を握った修平の手に、俺は自分の手を置いた。
凄く、残酷なお願いをしているのかもしれない。
でも、俺には、ここまで育ててくれた母親と絶縁してでも修平と一緒にいる、という覚悟はまだ出来なくて。
「だから、一度、母さんと話してみたいんだ。その、直接的に聞くんじゃなくて、そういうのどう思う?って感じで」
「もし、お母さんの反応が悪かったらどうするんですか?」
「……わからない。でも、わかって貰えるまで、頑張ってみるよ」
俺がそう言って顔をあげれば。
そこには、優しさと愛しさが同居した表情しか、なくて。
「俺、保先輩のそういう責任感が強いところとか、けじめをしっかりするところとか、母親を大事にするところとか、全て引っくるめて……大好きなんです」
そう、笑って言ってくれて。
涙が出るかと、思った。
俺は慌てて、話の方向性を変える。
ともかく、お互い素っ裸だから、少なくとも部屋着に着替えて、ちゃぶ台で向かい合った。
ペットボトルのお茶を、修平の前に置く。
「……痴漢に合って、思ったんだけど」
「はい」
自分の想いを自覚して、それを相手に伝えるって、こんなに緊張するんだな、と思った。
少なくとも、俺は修平から好意を持たれている、とわかっているのに、それでも緊張する。
修平の視線が、俺に集中しているのが、水を飲んでいてもわかった。
「俺が、気持ち良いことしたい相手って、修平なんだなって」
「……はい」
「上手く言えないけど、男なら誰でも良いって訳じゃなくて。マジ男の痴漢だってわかった時はキモいと思ったし、嫌だって思った」
「はい」
「だから、その……お、俺も修平のこと、好きだって、」
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「ん……ふ、修、平……」
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話の続きを、と思ったけど。
まるで切望していた物を手に入れたような、修平の、ギリギリの気持ちが伝わってきて。
「んん、は……」
「先輩、好きだ……」
修平の気の済むまで、激しいキスをした。
「……まっ、て、ちょ、待て待て待て!!修平!待て!!」
「……はい?」
そのままセックスになだれ込もうとする修平の顎をグイと両手で押しつつ、待てをする。
マジで大型犬かよ、こいつ!!
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「それは失礼致しました」
きちんと話せばわかってはくれる。
賢いコだ、うん。
修平がずっと俺の下半身を掌で撫でているのは気になるが、ひとまずそこはスルーして話を進めた。
「修平のことは好きだ。でも、付き合うのは少し待って欲しい」
「……え?」
修平は驚いたのか、目を見開いた。
「俺、母さんに言われたんだよ。大学で彼女が出来たら、きちんと教えろって」
「……はい」
俺の足を触っていた修平の手が、ピタ、と止まった。
「で、その時、次は孫ね、楽しみにしてるって言われてて」
「それは……随分と、せっかちなお母さんですね」
「同感」
そのまま拳を握った修平の手に、俺は自分の手を置いた。
凄く、残酷なお願いをしているのかもしれない。
でも、俺には、ここまで育ててくれた母親と絶縁してでも修平と一緒にいる、という覚悟はまだ出来なくて。
「だから、一度、母さんと話してみたいんだ。その、直接的に聞くんじゃなくて、そういうのどう思う?って感じで」
「もし、お母さんの反応が悪かったらどうするんですか?」
「……わからない。でも、わかって貰えるまで、頑張ってみるよ」
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「俺、保先輩のそういう責任感が強いところとか、けじめをしっかりするところとか、母親を大事にするところとか、全て引っくるめて……大好きなんです」
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涙が出るかと、思った。
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