投了するまで、後少し

イセヤ レキ

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55.拙い動きでも(side保)【*】

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「……でかっ」
これ、本当に俺の尻に入ったのか……!?

目の前にそそり勃つ修平の肉棒をそっと両手で包みながら、俺は若干慄いていた。


布団の圧迫感が消えて見上げれば、瞳の奥、今にも噴火しそうなマグマを湛えたような修平と目が合う。
──なのに、修平が発した言葉は。
「保先輩、無理しないで下さい。それに俺、今日は夜風呂入ってないので」

……ああ、やっぱり修平は修平だ。
自分の欲を抑えてでも、絶対に俺の気持ちを優先してくれるのだ。

今だってこうして、決して男のペニスを咥えたい訳ではない俺の気持ちを汲んで、断りやすい言葉を選んで声を掛けてくれる。


……修平、だから。
修平の、だから。
「……いや、大丈夫!」


昨日はこれを散々突っ込まれて、気持ち良いところに沢山当たって、初めてあんな快感を味わわせてくれた。
そう思えば、目の前の立派過ぎるモノにも親しみが湧いて。

思わず、チュ、と口付けていた。
それでめまだ口に含むのは躊躇われて、舌を伸ばしてペニスの裏筋をペロンと舐め上げる。

「~~っ!?」
修平の息を飲んだ気配がして、少し愉快に感じた。
いつも乱されるのは俺ばかりで、余裕たっぷりな修平のペースを乱せることに、優越感が沸々と湧いてくる。

俺は、ちゅ、ちゅ、と何度も修平のペニスに唇を押し当て吸い付きながら、修平の様子を見た。

修平は眉根を寄せて耐える表情を浮かべていたが、気持ち良いのか悪いのか、正直俺には判断がつかない。

「修平。初めてでよくわからないから、痛かったりしたら教えて?」
修平は、ゆっくり深呼吸した後、「はい」と答えてくれた。
その素直な様子に俺はつい微笑みを浮かべて、修平に「イイコ」する代わりに、修平の先端をくるくる撫でるように舌を這わせた。

「保っ先、輩……っっ」
髪を両手で掴まれる。
その気持ちはわからないでもないので放っておいて、次に頭を倒して、屹立するペニスを横笛を吹くように咥えて、舌で唾液を擦り付けながら何度も根元からカリまで往復した。

はぁ、はぁ、という荒い息遣いが頭上からして視線だけ修平に流せば、修平は顔を上気させて、快感に耐えていた。


……やった、と心の中で喜びながら、舌を亀頭冠に沿わせて何度もチロチロ♡と細かく動かした。

まだ咥えていないのに、俺の掌の中で、修平の肉棒はビクンビクンと脈打ち、今にも発射しそうだ。

俺は意を決して、口を目一杯開け……「保先輩、ストップ」修平に止められた。

「ん?」
俺が口を開けたまま首を傾げると、修平は目をぎゅう、と瞑ったまま、言った。

「多分。多分、ですけど。恐らくこのまま保先輩が咥えてくれれば、俺はあっさりイかされそうな気がします」
うん。そのつもりでやってるんだけど?
「で、保先輩の口には入りきらない量を出す自信があるので……絶対に布団を汚します」
多分が絶対に変わったな、オイ。

「布団を汚さない方が良いと思うので、ここまでで大丈夫です」
「……うん」
急に不安になって、頷いた。

何が不安て、俺、修平の部屋の布団、ドロドロに汚した記憶があるんだけど……!!
バイトの時間しか気にしてなくて、全く頭になかった。

「ごめん、俺、修平の布団……」
「ああ、保先輩がバイト中にサクッと片付けましたんで」
「うわー……そうだよね、本当にごめん」
「謝らないで下さい、保先輩。俺は……嬉しかったんで」
そうか。念願のケツマンだもんなぁ。

大変な性癖だな、と俺は改めて思った。

「あの、ちょっとトイレ借りますね」
「え?あ、うん」
「保先輩は先に寝てて下さい」
「うん」
とは言っても、修平が戻ってくるまで待ってよう。

そんなことを思いながら、酷使した身体で二つのバイトをこなした俺は意外と疲れていたらしく、気付けば夢の中だった。
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