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9.ハードルの高すぎる後輩の提案(side保)
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その日以来、修平に会うのが気まずくて、少しの間だけサークル部屋を避けていた。
……が、快適な空間が奪われて不便さに苛立った俺は、直ぐに切り替えた。
──何で、俺が、サークル部屋を避けなければならないんだ?
気まずいのは、修平だって同じだろう。
むしろ、修平こそサークル部屋に来なくなったかもしれない。
そうだそうに違いないと自分を納得させ、やや緊張しながら久々のサークル部屋へ足を運ぶ。
……そこには、誰もいなかった。
安心したような、色々考えていた自然な会話の流れを使わず肩透かしを食らったような、複雑な気分で俺は寝転ぶ。
そう言えば、俺が入り浸るようになってから、寝る為に部屋の中を片付けたが、修平が来るようになってから埃の臭いとかもしなくなった。
単に使うだけなら、掃除をする必要はない。
けれども、俺より滞在時間が少ない筈の修平は、誰に言われなくても人の見てないところで部屋を掃除しているのだろう。
──まぁ、やっぱり良い奴だよな、本当に。
気付けば俺は、それまでと同じく直ぐにすやぁ……と眠りに入った。
「──あ、保先輩、起きましたか?」
「……しゅーへー……今何時?」
「十五時です」
「そっか」
おお、何だ。
気まずいと思ってたけど、意外と普通に会話できんじゃん。
「保先輩」
「ん~?」
俺は修平に視線を向けず、スマホに手を伸ばしながら返事をする。……平常心、平常心。
「あれからシコりました?」
「~~っっ!!」
あぶね!
スマホを落としそうになって慌てる。
一気に血が頭まで昇ったのを自覚する。
「お前なぁ……」
ここは先輩として、そんな下世話なプライベートに首を突っ込むんじゃないと指導してやらねば、と俺は極力呆れたように口を開いた。
……真っ赤な顔で言っても、締まらないが。
しかし、修平に先を越される。
「他人に扱かれるの、気持ち良くなかったですか?」
「……ま、まぁ」
「あれ知ってから自分でシコると、物足りなくなりません?」
ん??何を聞かれてるんだ?俺……
「いや、そもそもセックスとオナニーって目的違うし気持ち良さも違うじゃん?だから……」
「その、オナニーの質が変わると思いません?」
「……まぁ、確かに道具使った方が、ずっと良かった……け、ど」
俺は白旗を振った。
「もっと気持ち良くなれることがあるって聞いたら興味ありませんか?」
「……」
オナホで発散、という新たな扉を開けるきっかけをくれた修平に言われて、俺の好奇心は膨れ上がる。
例のオナホ事件があった後、結局俺はあの気持ち良さが忘れられず、ローションと普通のオナホをスマホでポチして購入したのだ。
ただ、修平にされた時と一人でオナホで扱くのは、やっぱりなんとなく違う感じがして。
きっとそれは、オナホの違いだなんて思い込もうとしたんだけど。
「……今度は、どんなの?」
好奇心に負けて、俺はポツリと聞いた。
俺は修平の方を見てないのに、修平が嬉しそうに笑った気配が伝わってくる。
何でそんなに嬉しそうなんだ。自分の趣味や性癖をさらけ出せる相手が見つかって嬉しいのか?
「これなんですけど」
修平は徐ろに自分の鞄を手繰り寄せると、その中に手を突っ込んで黒い棒を取り出した。
……え?その棒、細いディルドにしか見えないけど……男がどう使うっていうんだ??
俺は頭を傾げた。
「保先輩、アナニーしてみませんか?」
修平は、期待と不安が入り混じった顔で、俺にそう言った。
……が、快適な空間が奪われて不便さに苛立った俺は、直ぐに切り替えた。
──何で、俺が、サークル部屋を避けなければならないんだ?
気まずいのは、修平だって同じだろう。
むしろ、修平こそサークル部屋に来なくなったかもしれない。
そうだそうに違いないと自分を納得させ、やや緊張しながら久々のサークル部屋へ足を運ぶ。
……そこには、誰もいなかった。
安心したような、色々考えていた自然な会話の流れを使わず肩透かしを食らったような、複雑な気分で俺は寝転ぶ。
そう言えば、俺が入り浸るようになってから、寝る為に部屋の中を片付けたが、修平が来るようになってから埃の臭いとかもしなくなった。
単に使うだけなら、掃除をする必要はない。
けれども、俺より滞在時間が少ない筈の修平は、誰に言われなくても人の見てないところで部屋を掃除しているのだろう。
──まぁ、やっぱり良い奴だよな、本当に。
気付けば俺は、それまでと同じく直ぐにすやぁ……と眠りに入った。
「──あ、保先輩、起きましたか?」
「……しゅーへー……今何時?」
「十五時です」
「そっか」
おお、何だ。
気まずいと思ってたけど、意外と普通に会話できんじゃん。
「保先輩」
「ん~?」
俺は修平に視線を向けず、スマホに手を伸ばしながら返事をする。……平常心、平常心。
「あれからシコりました?」
「~~っっ!!」
あぶね!
スマホを落としそうになって慌てる。
一気に血が頭まで昇ったのを自覚する。
「お前なぁ……」
ここは先輩として、そんな下世話なプライベートに首を突っ込むんじゃないと指導してやらねば、と俺は極力呆れたように口を開いた。
……真っ赤な顔で言っても、締まらないが。
しかし、修平に先を越される。
「他人に扱かれるの、気持ち良くなかったですか?」
「……ま、まぁ」
「あれ知ってから自分でシコると、物足りなくなりません?」
ん??何を聞かれてるんだ?俺……
「いや、そもそもセックスとオナニーって目的違うし気持ち良さも違うじゃん?だから……」
「その、オナニーの質が変わると思いません?」
「……まぁ、確かに道具使った方が、ずっと良かった……け、ど」
俺は白旗を振った。
「もっと気持ち良くなれることがあるって聞いたら興味ありませんか?」
「……」
オナホで発散、という新たな扉を開けるきっかけをくれた修平に言われて、俺の好奇心は膨れ上がる。
例のオナホ事件があった後、結局俺はあの気持ち良さが忘れられず、ローションと普通のオナホをスマホでポチして購入したのだ。
ただ、修平にされた時と一人でオナホで扱くのは、やっぱりなんとなく違う感じがして。
きっとそれは、オナホの違いだなんて思い込もうとしたんだけど。
「……今度は、どんなの?」
好奇心に負けて、俺はポツリと聞いた。
俺は修平の方を見てないのに、修平が嬉しそうに笑った気配が伝わってくる。
何でそんなに嬉しそうなんだ。自分の趣味や性癖をさらけ出せる相手が見つかって嬉しいのか?
「これなんですけど」
修平は徐ろに自分の鞄を手繰り寄せると、その中に手を突っ込んで黒い棒を取り出した。
……え?その棒、細いディルドにしか見えないけど……男がどう使うっていうんだ??
俺は頭を傾げた。
「保先輩、アナニーしてみませんか?」
修平は、期待と不安が入り混じった顔で、俺にそう言った。
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