暗殺者達の夜

イセヤ レキ

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私がオスターウォルドさんと出会ったのは、初仕事の終わった後だった。
3年前の、15歳の時。
私は、ターゲット行きつけの食堂に客として潜り込み、店員と護衛の隙をついて、飲み物の中に毒を入れて店を後にした。


自分の仕出かした事が恐ろしくて恐ろしくて、ターゲットが本当にその飲み物を口に含んだかどうか、死んだかどうかなんて見られなかった。

店を後にした、というより、その場から逃げ出したのだ。

逃げ出した私は、自宅近くの公園の水道で、ずっとずっと手を洗い続けていて……その時は自分の行動をあまり深く理解していなかったが、私は自分のした事を洗い流したかったのだと思う。

「お嬢さん、大丈夫ですか?」

その時声をかけてくれたのが、オスターウォルドさんだった。


「オスターウォルドさん……いつから、知って………」
声が震える。
身体の震えも止まらず、オスターウォルドさんから優しくベッドに座る様、促された。
背中をさすってくれる仕草は、その優しさは、初日に会った時と全く同じであるのに。

「いつから?最初からです。私はあの日、偶然あの店にいました。貴女が挙動不審だったのでのんびり観察していたのですが、おっかなびっくり毒を入れていたから微笑ましくて。貴女の後をつけて、声を掛けました」
「………」
声を失い、血の気が引いた。
「貴女の所属を調べあげて、ターゲットを確認しました。あそこの団体は本当に管理が杜撰ずさんですよね。……それで毎回、きちんと貴女が任務を遂行出来たか、見届けていましたよ」
まるで、保護者の様に。子供の成長を喜ぶかの様に、彼は話す。

「3回目と、7回目は少し危なかったので手助けしてしまいましたが……それ以外はきちんと一人で頑張っていましたね」
3回目は、逃げた時に追いかけられた。
7回目は、逃げずにその場にいたが、容疑がかかって一度取り調べを受けた。

「………アナベラさん、大丈夫ですか?顔が真っ青ですが……少し、横になって下さい。ああ、これは危ないので退かしておきましょう」
オスターウォルドさんが、枕を持ち上げて難なく毒針をつまみ、ポイと何かの液体が入った瓶に入れた。
おかしな話だが、その時、本当に彼がシャドウだという事を実感した。


言われるがままに、横になる。
「貴女が殺した人数は、私には到底及びません。しかし、10人も殺せば私を否定する事も出来ない……なのでひとまず、何も言わずに貴女に告白をしてみました。貴女が私に惹かれているのはわかっていましたから」
「………っっ」
ぷい、とシャドウと反対に顔を背けたが、シャドウの手が目の前に置かれてドキリとする。
「けれども、貴女は私の告白を断った……」
シャドウは上半身を屈めて、私の鎖骨に口付けた。
チリリ、と口付けられたところが熱を持つ。
「……アナベラ、貴女は私がシャドウとわかっていながら、こうも容易(たやす)く私にその細い首を見せるのですね……」
シャドウを見た者は、殺される。それは誰でも知っている事。

「私では、貴方に勝てません。貴方がやろうと思えば、私は1秒後には死んでいます」
「ええ、貴女は私に勝てない。でも、私には貴女を殺せない……」
横に向けていた顔を戻してシャドウを見ると、困った様な微笑を浮かべていた。
そんな顔、ずるい。

「暗殺者である事に負い目を感じた貴女は、私と付き合う事を拒んだ。私は、貴女の為にシャドウである事は伏せて何度かチャレンジしましたが……それでも、貴女が首を縦に振ることはなかった」
シャドウの顔が近付く。初めて見せる━━情欲。
「ならば、逃げられないと思わせてでも、貴女を手に入れる事にします……私の愛しい人、アナベラ」
シャドウが私の眦をペロリと舐めた。
そこで初めて私は、自分が一筋の涙を溢していた事を知る。

そのまま夜着を脱がされそうになり、慌てて言った。
「こんな、こんなところで何を……っ!」
ここは他人の部屋だ。誰がいつ入ってくるとも限らない。
「この部屋の持ち主はもうこの世にいませんし……口髭を生やした男も始末しました。このベッドはスプリングがきいていてとても質が良さそうですし、ホテル替わりに使おうかと思いまして」
顔がカッと熱くなる。
「それに……ずっと、我慢していたのです。もう、待てません……」

シャドウの顔が再び近付き、今度は唇を塞がれた。
瞼が閉じて、長い睫毛が影を作る。
「んふ………っ、んん…………っっ」
口を離して息を求めようとしても、両手が頬に添えられていて、動かせない。苦しくて口を開けば、にゅるり、と舌が入ってきて、身体がびくついた。

くちゅ、くちゅ、と舌が絡みあい、互いの唾液が混ざりあう。溢れた唾液を、それぞれが嚥下する。唇が腫れるんじゃないかと思う程に強く吸われ、舐められる。歯列をなぞられ、口内をまさぐられる。

キスだけで、何も考えられなくなって、身体の力が抜けた。
「は、ぁ………」
やっと出ていった舌が名残惜しむ様に唇を優しく噛み、去っていく。
「……そんなに蕩けた顔で見られると、止まりませんね」
はぁ、はぁ、と私が息を整えている間に、シャドウは黒服を素早く脱ぎ捨て、横たわる私の上に股がった。
「……!!傷、が……」
シャドウの裸は、とても筋肉質で綺麗だったが……そこには、過去に負った傷がいくつも見てとれた。
「全て、私が未熟者だった時の……昔のものです。大丈夫ですよ」
シャドウは、思わず傷をなぞる様に触れてしまった私の手をとり、そのまま手のひらにキスを落とす。

「アナベラ、貴女の体も、私に見せて下さい」
「……」
そのままそっと夜着を捲られたが、今度は止められなかった。
胸の先端を挟む様に、シャドウが手を添える。
「あぁ……綺麗です」
そのまま両手を動かし、揉みしだかれる。私の胸はシャドウの手の動きにあわせて形をかえた。
「あんっ………」
思わず声が出て、片手で口を押さえる。
お臍の辺りに熱を持ったシャドウのモノが、ずくずくと大きくなって、存在を訴えている事に気付く。
恥ずかしい。
私がもう片方の腕で目を覆い隠せば、シャドウは私の勃ち上がった乳首に吸い付いた。
「ひゃんっっ…………んんっ………!」
口を押さえていたのに、急な刺激に声が漏れるのを止められない。
ちゅく、ちゅく、ちゅく、ちゅく………シャドウは先端の蕾を丹念に吸い、転がし、押し潰す。
じゅわ、と下半身に蜜が溢れたのを感じ、つい脚を擦り合わせた。

「……どうしましたか?そちらも刺激が欲しい?」
シャドウは、片手を胸から離すと、そっと下穿きの上から割れ目をなぞる。

くちゅり……

卑猥な音がした。

「感じてくれているんですね、嬉しいです。もっと、気持ち良くなりましょうね」
シャドウは私に微笑んで、そのままベッドの下側に移動した。
私の濡れた下穿きをそっと脱がし、両足を割り開く。
「とても潤っていて、美味しそうです……」
シャドウはそのまま顔を近付け、私の割れ目を今度は舌でなぞる。
「……っっ!!ふぁっ………!!」
私はその刺激に、目をぎゅっと瞑って耐えた。

シャドウはわざと音をたてているのではないか、と思う程に溢れ出る蜜を啜る。

じゅるるるる………、ぺろ、ぺろ、ぺろ、ぺろ………
くちゃ、くちゃん。じゅじゅっ…………

割れ目を左右に開かれて、花びらを丁寧に舐められ、蜜壺に舌を捩じ込まれ、蜜はとろとろと流れた。
「アナベラのジュースは、最高に美味しいです」
うっとりとした声で囁かれながら、上にある秘豆の皮を優しく舌で剥かれる。
ぷるぷると刺激を待ちわびているその豆も、シャドウの舌が細かく揺さぶり、押し潰し、弾く。
あまりの快感に、私の太腿が痙攣し出す。
「ぁん!!あ、あぁ……っっ!!」
「アナベラ、達しそうですか?いいですよ、ひとまず達して下さい」

シャドウは私の豆に口全体で吸い付き、舌で何度も左右に弾いた。
「ああああ、も、それをされると…………っっ、イッちゃ………っっ!!」
「イッて、アナベラ。イきなさい」

ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ、ぐりゅ…………

止まらないクリトリスへの刺激に、私はたまらず果てた。



☆☆☆



「アナベラのイキ顔、可愛いかったですよ。……さぁ、今度はこちらを可愛がって差し上げます」
べたべたに濡れた口元を片手でグイと拭い、シャドウは私の膣に指先を埋めた。

つぷん

とろとろに蕩けた花園は、難なくその指を受け入れる。
「何処が気持ち良いのか、教えて下さいね」
「ふぁ、は………い」
思考もどろどろに溶かされた私は、こくりこくりと操り人形の様に答えた。
指がじゅぶじゅぶと出し入れされるが、気持ち良いところには届かない。
「どこかな?」
「もっ、と、おく……で、す」
「そうですか。では、一本指を増やしますね」
シャドウは、片手の人差し指と中指をあわせて私のナカに突き入れた。
「あああああん!!」
中指の先っぽが、快感のポイントを掠めて嬌声が勝手にあがる。
ごくり、とシャドウが唾を飲み込んだ音がした。

中指の爪で、引っ掻く様に刺激を与えられ、私は体をくねらせた。
「んひぃ、ぁふぅ……………っっっ!!」
後少し、後少し続けてくれれば大きな波が来る━━━!!
そう思った時に、指がナカから抜かれた。
「いや、ぁ…………」
ポロッと、気持ち良さで溜まった涙が一粒零れる。
「アナベラ、続けて欲しいですか?」
私は、こくりと頷く。
「では、欲しがって。……私を、欲しがって下さい」
シャドウは、ついに私と繋がるつもりなんだと強く感じた。
私を犯すのではなく……私に求められる形で。

私の右手は、自然とシャドウのペニスに触れていた。
「貴方の……これが、欲しいです……」
左手で、花びらを押さえて左右に開く。
「私の、ココに………埋めて、欲し………」
恥ずかしくて、顔から火が出そう。
目を瞑ってしまい、シャドウの顔は見られなかった。


ぎし、とベッドが軋む。
私の両足を、シャドウが抱え込んだのを感じる。
私の膣に、熱くて太いものが、押し付けられ………
「今、あげるからね……」

ずぷずぷずぷぷぷ…………
「んん…………っっ」

私のナカに、シャドウの剛直が埋め込まれた。



☆☆☆



ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!ぱん!
腰と腰がぶつかる、乾いた音と。

ぶちゅ!ぶちゅ!ぶちゅ!ぶちゅ!ぶちゅ!ぶちゅ!
私の蜜と、シャドウの先走りが膣から漏れ出る音が、絶え間なく続く。

私はもう、気持ち良すぎて体に力が入らず、ただ揺さぶられていた。
シャドウの亀頭は、先程の中指の爪が引っ掻いたポイントを、何度も擦りあげては私を絶頂に導いた。
その度にシャドウを私の膣が締め付けているが、シャドウはじっと我慢して、なかなか果てる様子がない。
その癖、「ああ、アナベラ………!!貴女のおまんこは、想像以上に良すぎて困る……!膣に絞られるこの感じがたまらない……」と言いながら、遠慮なく責め立ててくるのだ。

体位も、正常位から、座位に変わって、シャドウのペニスは私の膣を更に深く抉る。
私の頭の中はスパークしすぎていて、顔も涙と涎と汗でまみれていた。そんな顔を、シャドウは愛しそうに舌で舐めあげるのだ。

「ああ、またひくついてきたね……可愛い、アナベラ………また達してくれるかい?」
「らめぇ、も、壊れちゃ………っっっ!!」

シャドウの体力は果てしない。
切実に、私はシャドウに一度果てて欲しかった。

「あならも、イッれ欲し……!!」
「……私は、達する体位が決まっているんだ。では、貴女がイったら一度私もイかせて貰おう」
「ひゃい、あふぅ、あああああ━━━━━━っっっ!!」

ぷしゃあ……私は背をぐんと反らして尿か潮かわからないものをシャドウに撒き散らしながら、果てた。

「……ああ、アナベラ。貴女の可愛いイき顔が、残念ながら見られなかった……。だが、とても気持ち良さそうだったね?貴女が吹くところを、もう一度見せて貰うとしましょう」


朦朧としながら、「つぎは、貴方の、ばん……」と何とか紡ぐ。
「大丈夫、わかっているよ」と言いながら、シャドウは私をお姫様抱っこでベッドの上から移動した。

「……?」

ゆらゆら揺らされながら下ろされたのは、全身鏡の前だった。
「では、欲しがりやのとろとろまんこにまた埋めてあげようね」
そう言うが早いか、シャドウは私を後ろから両膝を開脚させたまま抱き抱え、そのまま下ろしながら立ち上がったペニスに沈めていく。
私は埋め込まれながら、驚愕に目を見開いた。
目の前には、開脚させられた私が、何の支えもなく……いや、シャドウのペニスにだけ支えられている状態なのだ。
落とされそうで、怖くて……目の前の鏡が、物凄く恥ずかしい。
私の膣に、シャドウの男根がみっちり埋め込まれているのが丸見えなのだ。

「……ああ、締まった。早く動かして欲しいのかな?」
「ちょ、と、まっ………あああああっっっ!!」
シャドウは、私が止めるのを聞かずに両膝を抱えている腕を動かし、挿送をはじめた。

怖い、気持ち良い、恥ずかしい。怖い、気持ち良い、恥ずかしい。

私のナカに、シャドウのペニスが出入りしている。
「また締まったね。ほら、鏡をしっかり見てご覧。アナベラの蕩けた可愛い顔も、ぐちゃぐちゃに濡れたおまんこも、泡立って流れるジュースも、良く見える」

ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!ずちゅ!

私を抱えあげながらこんなに激しい動きをするシャドウが信じられなかった。
体幹は微動だにしていない。

恐怖心が、悦楽に負けてくると、早速私の膣は正直に痙攣し出した。
「……また、イくかな?私は、鏡の前で貴女が潮を吹いたら、イくとするよ。先程はじっくり見られなかったからね。……だから、ひとまず……」

その後、滅茶苦茶に突かれた。
声なんて、とっくに枯れはてて。
果てて、果てて、最後は懇願したけど、潮を吹くまで揺さぶられた。
私が潮を吹くのと同時に、熱い飛沫が胎内に出された事だけ覚えてる。



━━気付けば、私は自室のベッドの中にいた。



☆☆☆



「アナベラさん、こんばんは」
「……こんばん、は」
昨日の事は夢だったのかな?と思う程に、オスターウォルドさんはいつも通りだった。
「白い薔薇を、30本花束にして下さい」
「……はい、少々お待ち下さい」

初めて告白された日を思い出す。

「お待たせ致しました、こちらでよろしいでしょうか?」
「はい、おいくらですか?」
「ええと……」

お会計を済ませたオスターウォルドさんは、花束を私に渡しながら言った。

「アナベラさん、貴女が好きです……私と付き合って、下さいませんか?」
「……」
「アナベラさん」
オスターウォルドさんは、私の耳の傍で囁く。
「……貴女は、私には勝てません。私からは、逃げられない」

ば、と離れてオスターウォルドさんを見ると、いつもの微笑を浮かべている。

「アナベラさん、お返事を頂けませんか?」
私は、決めた。
「……はい、喜んで」


シャドウである貴方の横に立つと。
私と同じ、許されない罪を背負っている貴方と共に、ずっと━━
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