上 下
17 / 20

17、新しい生活

しおりを挟む
「今日からここが、私とお姉様が一緒に暮らすことになる修道院のお部屋ですわ」
「えっ……!?」
クローチェにそう言われて、マリーエは慌てた。
マリーエは、てっきりクローチェは連れて来てくれた・・・・・・・・のだと思っていたのだ。
まさか、「一緒」の意味がそちらだとは思いもよらなかった。

クローチェが引っ張ってきた人物から、クローチェは秘薬が三つは買える程の大金を貰った筈。いつでもクローチェの身体をどちらかの性に定めることが出来る筈なのに。
「ああ、あのお金は全額こちらの修道院に毎月寄付する予定ですの。これから私達がお世話になるのですから」
「クローチェまで、何故……?」
クローチェであれば、わざわざ修道院なんかに来なくても、子供は出来なくてよいと言ってくれる男性がいつかは現れただろう。

「何故って、お姉様だけを愛しているからですわ」
「……クローチェ?」
マリーエが少し見上げる先、美しい妹の顔が自分の顔に近付き……初めて、唇同士が、触れた。
驚きに、どさり、とマリーエの鞄が重たい音をたててその手から落ちる。
「ク、クローチェ……あの、」
妹に口付けされてしまい、もっと二人で淫らな遊戯をしているにも関わらず、マリーエは今更ながら真っ赤になって俯いた。
「お姉様は?」
「えっ……」
「お姉様は、私のこと、どう思っていますの?」
クローチェは、いつもの余裕のある笑みではなく……切なく、今にも泣きそうな顔で聞いてきた。
マリーエは咄嗟に、けれども真実である返事をする。
「勿論、愛しています」
途端に、クローチェは大輪の薔薇が咲き誇ったような美しい微笑を浮かべた。誰もが惚れ込んでしまうような、美しい笑顔を。

(……クローチェは、私のこんな一言で笑顔を向けてくれるのですね……)
ずっと笑顔でいて欲しいと、出会った頃に願ったマリーエ。
マリーエの願いは確かに叶えられていたのだと、その時気付いた。



***



「お姉様……っっ」
「クローチェ、ん、ふぁ……っ」
他の修道女よりも少し離れた場所に特別個室である二人部屋を宛がわれたクローチェは、もう一切の遠慮をしなかった。

マリーエの唇に貪りつきながら、舌を探して絡ませ、引きずり出す。その行為はまるで、マリーエの身体だけでなく心まで丸裸にされてクローチェの前に引きずり出されるような錯覚を覚えた。

「好きです、お姉様……!どうか、私を受け止めて下さいませ……っ」
「クローチェ、ま、待って……っ」
マリーエは、クローチェの性急な態度に驚きながらも、クローチェを落ち着かせようと、私は姉なのだとその細い身体をぎゅっと抱き締めた。

けれどもクローチェは、そんなマリーエをベッドの上に押し倒した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

スカートの中、…見たいの?

サドラ
大衆娯楽
どうしてこうなったのかは、説明を省かせていただきます。文脈とかも適当です。官能の表現に身を委ねました。 「僕」と「彼女」が二人っきりでいる。僕の指は彼女をなぞり始め…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

部屋から喘ぎ声が聞こえる

サドラ
大衆娯楽
「僕」はトイレから部室へ帰ろうとするのだが、途中通る部屋から変な声が聞こえて…

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

処理中です...