星のプリン王子と夜のおうち

３．

楽たのしかったこと、わくわくしたことを　忘わすれてしまうのは
決きまって朝あさ。
目めを　開あけると、ぼくの　楽たのしかったこと、わくわくしたことが　消きえてしまっている。

眠ねむいのを　がまんすれば、
もしかしたら、もしかする。

眠ねむったあとの　世界せかいに　こっそり　出でかけていく　ぼくを
眠ねむった　ふりをした　ぼくが　こっそり　見みつけるかもしれない。

ぼくの　知しらない　ぼくが　出でかけていく　ところ。
こっそり　薄目うすめから　のぞいて　みれば、
きっと　向こうの　世界が　見みえる。

きっと　見みえる。
そうしたら、ぼくは　ぜんぶ　思おもい出だす。

忘わすれてしまった　楽たのしいこと、わくわく　すること。

だから　眠ねむったぼくが　でかけていく　そのときまで、
ぼくは　眠ねむったふりをして、こっそり　見みている。

眠ねむったあとの　世界せかい に　出でかけていくぼくを。

だから　あと　ちょっとだけ、起おきて　いたいのに。

起おきて　いたいのに。

眠ねむらずに　いたいのに。

こくり。

スライムが　ぺたりと　はりつくように、
ふとんに　ぺたりと　はりついちゃって。

目めを　閉とじちゃって。
まぶたが　開あかなく　なっちゃって。

目めを　開あけると　また朝あさ。



そんな　ある日ひ、しょうたいじょうが　とどく　夢ゆめをみた。

差出人さしだしにんは　風かぜの　旅人たびびと？
雨あめの　ドロップ？

なに　これ？

星ほしのプリン王子おうじ？