書庫『宛先のない手紙』

ファイナル・アンサー。

　漫画家になりたい。
　人を描いたり建物を描いたり、練習しています。

　でも、そんなことはやめろと、先生も両親も友達も言います。
　どうして僕の夢を否定するのですか？
　漫画家になることは、たいへんなのはわかっています。
　でも、勉強もするし努力もします。

　売れなくて貧乏でも、僕はどうしても漫画家になりたいのです。


　どうして僕を否定するのですか？
　僕が夢を見てはいけないからですか？

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　今日は、中学３年生の『ぼくは漫画家になる』さんからの投稿を取り上げてみたよ。

　心をつかまれたのは最後の一文ね。
「僕が夢を見てはいけないからですか？」ってところ。」
　ここだよね、重要なのは。

　前半に書かれているのは、人の可能性について。一般論が書かれているよね。わかるかな。
　漫画家目指す人って何万人、何十万人いるのかわからないけど、とにかくたくさんの人が夢見てることはだいたいわかる。
　その中でほんのひと握りの人しか成功しない。確率でいえば何万分の１、何十万分の１。そこに食い込むにはたいへんなことだ。ダメで挫折して諦めていく人がほとんどだもん。
　勝負で勝てる確率があまりに低すぎる。
　だから諦めなさいってか？

　そんなアドバイスしちゃっていいのかなって、誰も思わないのかなあ。

　だってさ、漫画家になるのって、くじ引きとは違うはずだぜ。わかるかな。
　宝くじ買いました。で、当たったら漫画家になれるってものではないはずだ。

　なにが言いたいのかというとね、確率より大事なものがあるってことだよ。
　いくら確率論を持ち出されても、算数では導かれない問題ってものが世の中にはあるんだよ。しかもたくさんね、わかる？
　その類たぐいの問題に対して数字の可能性をあてはめるなんて傲慢もいいところだ。ナンセンス！　そう思わないかい？

　確率の可能性には、才能軸が少しも考慮されていない。そう、才能こそ最初につかんでおかなければならない肝だ。中身だ。キンタマだ。

　キミに悪いアドバイスをくれた大人たち、級友たちは、キミの才能について何かコメントしてくれたかい？
　もらった文面見る限り、そんなことはないよね。ただただ確率的に当たらないだろうから、最初からその宝くじ、買うもんじゃない、そうすればお金を無駄に使うことはない。漫画家になろうなんて思わなければ、無駄な時間を使うことはない。そういうことだと思うけど、違うかい？
　アドバイスしてくれるのは、キミの明るい可能性についてじゃない。暗い未来になるほうに10点入れとく、そんなクイズ番組の無責任な回答そのものだ。

　でも、もしキミにテキカクなアドバイスをしてくれるプロがいたら、まわりは違ってくると思うよ。
「努力すれば、内側から輝いてくる可能性は高いよ」なんて言われちゃったりすると、確率論信奉者たちの見る目が変わる。
「そうだったのか、キミには才能があったのか。わからなかったよ。今のうちにサインくれるかい？」なんて言われちゃうかもしれない。

　もちろんプロの見定めだ。ダメだね、才能ないねって言われる場合もある。
　三行半みくだりはんを突き付けられる可能性もある。

　まあ、プロに言われても諦めきれないで努力して、最終的に夢を叶えた人の話も聞くから絶対とはいえないけれど。

　番組ではキミに試練を突きつけるよ。
　キミの作品ぜんぶ用意しておいてくれないかい。
　作品を見て、キミと話をして、可能性があるかないか、才能があるのならどのようなことに注意して努力していけばいいのか、そんなことをアドバイスしてくれるプロを派遣する。

　結果は良くも悪くも、しかと自分で受け止めること。
　いいね。

　この番組は、未成年でも老齢でも、ジェンダーにも関係なく、可能性を発掘するという使命がある。
　子どもあつかいはしないからそのつもりで。

　ファイナル・アンサー！
　キミに番組からの問いかけを受け取るつもりがあるなら、今すぐ「YES」を送ってくれ。
　
　番組は、キミの前途ある未来を信じる。

　少年よ、夢は見ていいものだ。わかるか？
　夢はどでかく抱け！
　いい返事を待っている。