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11 むかし話
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~以下、回想~
「むかーしむかし、
といっても何千年も前の話ではありませんが結構昔の話です。
とある村で一年に一度、お盆の中心である八月十五日に、
大きなお祭りが開催されていました。
村の規模からしても十分すぎるくらい盛大なお祭りです。
神社の参道には多くの屋台が建ち並び、人々の活気で溢れ、
提灯から発せられる淡い橙色の光が、辺りを幻想的に包み込む…。
それはもう楽しく美しいお祭りでした。
ですが、時代の流れと共に村の過疎化が進み、
あれだけ盛大だったお祭りはどんどん規模を小さくしていきました。
それと同時に深刻化していった過疎化……。
ついにはお祭りを開催することはなくなってしまいました。
神社に祀られていた神様は悲しみました。深く悲しみました」
~回想終わり~
そう。どうしようもない。どうすることもできない。
だって、時の流れは止められないのだから。
そんなことは分かっているけれど、納得した訳ではないのだ。
悲しみも寂しさも打ち明けることが出来ない。その相手がいない。
だからこそ夢の世界で、ずっと我慢し続けてきたのだ。
どうにかしてあげたいけれど、どうすることも出来ない。
僕にはこれを解決するための権力も影響力も経済力もないのだから。
本当にどうしようもない。
「でも、もう夢を見る力も残っていないの…。
人の信仰がなければ、神の力は弱まっていくのだから。
ほら、今はお盆でしょ。
お盆は故人の霊魂が現世に戻ってくるから、霊的な力が普段より強くなるの。
だから最も力が集まるお盆の中心に、この世界を作っていたのだけど……
それも今年で最後かもしれないわね」
~以下、回想~
「むかーしむかし、
といっても何千年も前の話ではありませんが結構昔の話です。
とある村で一年に一度、お盆の中心である八月十五日に、
大きなお祭りが開催されていました。
村の規模からしても十分すぎるくらい盛大なお祭りです。
神社の参道には多くの屋台が建ち並び、人々の活気で溢れ、
提灯から発せられる淡い橙色の光が、辺りを幻想的に包み込む…。
それはもう楽しく美しいお祭りでした。
ですが、時代の流れと共に村の過疎化が進み、
あれだけ盛大だったお祭りはどんどん規模を小さくしていきました。
それと同時に深刻化していった過疎化……。
ついにはお祭りを開催することはなくなってしまいました。
神社に祀られていた神様は悲しみました。深く悲しみました」
~回想終わり~
そう。どうしようもない。どうすることもできない。
だって、時の流れは止められないのだから。
そんなことは分かっているけれど、納得した訳ではないのだ。
悲しみも寂しさも打ち明けることが出来ない。その相手がいない。
だからこそ夢の世界で、ずっと我慢し続けてきたのだ。
どうにかしてあげたいけれど、どうすることも出来ない。
僕にはこれを解決するための権力も影響力も経済力もないのだから。
本当にどうしようもない。
「でも、もう夢を見る力も残っていないの…。
人の信仰がなければ、神の力は弱まっていくのだから。
ほら、今はお盆でしょ。
お盆は故人の霊魂が現世に戻ってくるから、霊的な力が普段より強くなるの。
だから最も力が集まるお盆の中心に、この世界を作っていたのだけど……
それも今年で最後かもしれないわね」
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