私を虐げてきた妹が聖女に選ばれたので・・・冒険者になって叩きのめそうと思います!

れもん・檸檬・レモン?

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 ヒートアップしていたセルジが、小声でそう締めくくる。彼の様子を見ていると、私の件とは関係なく妹を危険視しているように見える。

「教会騎士が隠密行動って何々? 特殊任務?!」
 彼女はいつのまにかフィリップを突破して、セルジの声に耳を傾けている! 直ぐにフィリップが追いかけてきて、彼女の首根っこを引っ掴み、テーブルから引き離した。小さい彼女はよく見ると猫みたいで可愛い。
 それにしても、フィリップは彼女に翻弄されている? 結局、人がいいから彼女を放っておけないのかな。初めはすごく拒絶を見せていたフィリップだけど、なんだかんだで彼女の相手をしているように見える。

「彼女、冒険者志願者じゃないんですか? あたし、先輩ですよ~? ほらほら~」

 彼女はそう言いながら、見覚えのない臂章ひしょう(上着の肩下につける職名章しょくめいしょう)を見せつける。彼女はなぜフィリップを挑発しているのだろう?

「ねえ、彼女は冒険者なの?」
「そうです私は冒険者です!」
 引っ掴まれて遠くへ行っていたはずの彼女がまた!
「あんたは呼んでない! こっちくんな! 面倒事の匂いしかしないんだよお前!」

 フィリップとセルジの双方から評判が悪いけど、セルジの言葉を要約すると、トラブルメーカーで目立ちそうだから避けたい、ということかな? 今みたいな状況でなければ仲良く――『魔力の制御ができない』『戦闘職になりたがる』『爆弾』。
 できたらいいな、うん。いつか。きっと。どこかで。

「じゃあなんで冒険者組合ギルドで食事してんの?! 食堂なら他にもあるじゃん! イイトコのお嬢様が、わざわざこんなとこ来るなんて、誰がどう見たって異常事態発生中にしか見えないから!!!」
 彼女の推察は正しい。そこから1歩踏み込んだ情報を持っているのなら教えてほしいな。悪い人には見えないけど。
 楽しそうな彼女と、私は話をしてみたい。今は匿われている身だから、わがままは言えないけど。

 気づけばフィリップは黙り込んでいる。また、何か難しいことを考えていそう。

「ロッテ、君は最近の教会について何か知っているのか?」
「えー? 何の話です~?」
「君は、トラブルメーカーではあったが馬鹿ではないだろう。このタイミングで、偶然を装い私達に声をかけてきたのはなぜかな?」
「う~んまぁ、分かりますよね思ったよりも早く話がつきそうで助かります。フィリップさん、そこのお嬢様を」

 まさか、彼女は追っ手――

「あたしが追っ手からお守りしますので、仕事を指名でご依頼下さい!!!」

 ――では、なかったらしい。
 目の前では、幼女が土下座をしていた……。



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