10 / 42
9
しおりを挟む
ヒートアップしていたセルジが、小声でそう締めくくる。彼の様子を見ていると、私の件とは関係なく妹を危険視しているように見える。
「教会騎士が隠密行動って何々? 特殊任務?!」
彼女はいつのまにかフィリップを突破して、セルジの声に耳を傾けている! 直ぐにフィリップが追いかけてきて、彼女の首根っこを引っ掴み、テーブルから引き離した。小さい彼女はよく見ると猫みたいで可愛い。
それにしても、フィリップは彼女に翻弄されている? 結局、人がいいから彼女を放っておけないのかな。初めはすごく拒絶を見せていたフィリップだけど、なんだかんだで彼女の相手をしているように見える。
「彼女、冒険者志願者じゃないんですか? あたし、先輩ですよ~? ほらほら~」
彼女はそう言いながら、見覚えのない臂章(上着の肩下につける職名章)を見せつける。彼女はなぜフィリップを挑発しているのだろう?
「ねえ、彼女は冒険者なの?」
「そうです私は冒険者です!」
引っ掴まれて遠くへ行っていたはずの彼女がまた!
「あんたは呼んでない! こっちくんな! 面倒事の匂いしかしないんだよお前!」
フィリップとセルジの双方から評判が悪いけど、セルジの言葉を要約すると、トラブルメーカーで目立ちそうだから避けたい、ということかな? 今みたいな状況でなければ仲良く――『魔力の制御ができない』『戦闘職になりたがる』『爆弾』。
できたらいいな、うん。いつか。きっと。どこかで。
「じゃあなんで冒険者組合で食事してんの?! 食堂なら他にもあるじゃん! イイトコのお嬢様が、わざわざこんなとこ来るなんて、誰がどう見たって異常事態発生中にしか見えないから!!!」
彼女の推察は正しい。そこから1歩踏み込んだ情報を持っているのなら教えてほしいな。悪い人には見えないけど。
楽しそうな彼女と、私は話をしてみたい。今は匿われている身だから、わがままは言えないけど。
気づけばフィリップは黙り込んでいる。また、何か難しいことを考えていそう。
「ロッテ、君は最近の教会について何か知っているのか?」
「えー? 何の話です~?」
「君は、トラブルメーカーではあったが馬鹿ではないだろう。このタイミングで、偶然を装い私達に声をかけてきたのはなぜかな?」
「う~んまぁ、分かりますよね思ったよりも早く話がつきそうで助かります。フィリップさん、そこのお嬢様を」
まさか、彼女は追っ手――
「あたしが追っ手からお守りしますので、仕事をあたし指名でご依頼下さい!!!」
――では、なかったらしい。
目の前では、幼女が土下座をしていた……。
「教会騎士が隠密行動って何々? 特殊任務?!」
彼女はいつのまにかフィリップを突破して、セルジの声に耳を傾けている! 直ぐにフィリップが追いかけてきて、彼女の首根っこを引っ掴み、テーブルから引き離した。小さい彼女はよく見ると猫みたいで可愛い。
それにしても、フィリップは彼女に翻弄されている? 結局、人がいいから彼女を放っておけないのかな。初めはすごく拒絶を見せていたフィリップだけど、なんだかんだで彼女の相手をしているように見える。
「彼女、冒険者志願者じゃないんですか? あたし、先輩ですよ~? ほらほら~」
彼女はそう言いながら、見覚えのない臂章(上着の肩下につける職名章)を見せつける。彼女はなぜフィリップを挑発しているのだろう?
「ねえ、彼女は冒険者なの?」
「そうです私は冒険者です!」
引っ掴まれて遠くへ行っていたはずの彼女がまた!
「あんたは呼んでない! こっちくんな! 面倒事の匂いしかしないんだよお前!」
フィリップとセルジの双方から評判が悪いけど、セルジの言葉を要約すると、トラブルメーカーで目立ちそうだから避けたい、ということかな? 今みたいな状況でなければ仲良く――『魔力の制御ができない』『戦闘職になりたがる』『爆弾』。
できたらいいな、うん。いつか。きっと。どこかで。
「じゃあなんで冒険者組合で食事してんの?! 食堂なら他にもあるじゃん! イイトコのお嬢様が、わざわざこんなとこ来るなんて、誰がどう見たって異常事態発生中にしか見えないから!!!」
彼女の推察は正しい。そこから1歩踏み込んだ情報を持っているのなら教えてほしいな。悪い人には見えないけど。
楽しそうな彼女と、私は話をしてみたい。今は匿われている身だから、わがままは言えないけど。
気づけばフィリップは黙り込んでいる。また、何か難しいことを考えていそう。
「ロッテ、君は最近の教会について何か知っているのか?」
「えー? 何の話です~?」
「君は、トラブルメーカーではあったが馬鹿ではないだろう。このタイミングで、偶然を装い私達に声をかけてきたのはなぜかな?」
「う~んまぁ、分かりますよね思ったよりも早く話がつきそうで助かります。フィリップさん、そこのお嬢様を」
まさか、彼女は追っ手――
「あたしが追っ手からお守りしますので、仕事をあたし指名でご依頼下さい!!!」
――では、なかったらしい。
目の前では、幼女が土下座をしていた……。
37
お気に入りに追加
1,876
あなたにおすすめの小説

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】

姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる