青く澄み渡っている雲一つない空の下に住んでいるボクたちの何もないような日々

阪上克利

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うどんの話

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 今日何食べようかな?

 そう思ってから『うどんにしよう』と思うまでにはそれなりに時間がかかる。
 うどんを食べるのは大抵ランチ。
 夕食はお酒を呑みたいのでうどんを食べることはそんなにない。
 外食してしまうとうどんという選択肢は全くと言っていいほどなくなってしまう。
 自宅で夕食ということなら〆に食べるという選択肢もあるのだけど、そんなにうまいこと冷蔵庫の中にうどんの麺があるとは限らない。

 ランチで食べる時も、外食の時と家で食べる時では選択肢が変わる。

 自宅で食べる時にはまずうどんの材料が家にないとダメなのだ。
 インスタントの鍋焼きうどんが150円ぐらいで売っていて、それをドラッグストアとかで少し多めに買ってきておいて一人でのランチの時に食べようと思うこともあるのだけど……

『え? ない……』

 棚に置いてあったはずの鍋焼きうどんたちはなぜかすべて姿を消している。
 おかしいな。あんなに買っておいたはずなのに……。

 仕方ないのでボクは他のものを作ってランチを済ます。
 鍋焼きうどんが食べたかったなあ……と思いながらだ。
『あのさ、棚においてあった鍋焼きうどん……』
 仕事から帰ってきたかみさんに聞くと、無言ではにかんでいる。
 いや、そんな可愛くしてもダメだ。
『まさか、全部……』
『ごめん……』
 油断も隙もない。

 外食で食べる時は、近くにお店があるときだ。
 それにしてもよく考えてみると、うどんの名店というのは横浜ではあまり聞いたことがない。
 もちろん、うどんで有名な土地に行けば、名店もあるのだろうけど……。
 関西にいた頃は美味しい店がいくつかあった。
『うどん屋の娘』という小説の主人公がやっているお店は『明日葉』という名前で、このお店は『相談室の心音さん』にも出てくるのだけど、実はボクが子供の頃に関西に実際にあったお店の名前で、そこのうどんはあり得ないぐらい美味しかったのを覚えている。

 そんな思い出とは裏腹に、外食でうどんを食べるとなると横浜では『はなまるうどん』か『丸亀製麺』ぐらいだろうか。

 いや……。
 普通にこの二つのお店は美味しいと思うから、新規にうどん屋をやるのならこのお店の味を大幅に超えなければならない。
 そのハードルの高さを考えると、ボクの周りでうどん屋をあまり見かけないのも分かるような気がする。

 さて……外食でうどんを選択して、ボクが必ず食べるうどんは『きつねうどん』である。
 正直言えば、なにも入っていない『かけうどん』でも十分なのだけど、どうしてもあの甘いお揚げが食べたいのだ。
 そして余計なことに必ずと言っていいほど、3つ以上は天ぷらを頼んでしまう。
 お揚げを食べて、うどんをすする。そして天ぷらにかぶりつく。

 これが美味しいのだ。

 もうシンプルに美味しい。
 寒い日だと余計に美味しいのだけど、別に真夏でも美味しい。
 うどんの中で、ボクが一番好きなスタイルである。

 好きなスタイルと言ったがもう一つ好きなスタイルと言っていい食べ方がある。

 それが焼うどん。
 うどんの話をいろいろ読んだが、ボクが読んだものの中には言及されていなかった焼うどん。
 なんだか焼きそばの延長だと思われている感があるのかなと思った。
 この焼うどん。
 実はそんな簡単な話ではないのだ。
 焼きそばとは明らかに違う。
 焼きうどんは夜に食べるとなんとなく優しい味がするのだ。

 まあ……個人の感想だけど。

 以前によく通っていた居酒屋で〆に焼うどんが出てきた。
 赤提灯のお店で、おばちゃんが一人でやっているお店だったのだけど、このおばちゃんが元は魚屋だったらしく、出してくれる料理が半端じゃなく美味しかったので、つい何度も通ってしまったのだ。

 そして酒の〆にいつも作ってくれたのが焼うどん。

 ボクが焼うどんが好きなのはこの時の思い出があるからかもしれない。
 それにしても焼うどんは美味しい。

 今日の酒の〆は焼うどんにしたいものだ。
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