上 下
8 / 56

銀杏並木をみて思うこと。

しおりを挟む
 12月に入るとなんだかせわしない。
 そんなことを過去数十年に渡って言い続けてきたけど、実際にせわしないことなどあまりなかった。
 基本的に怠け者のボクは今年のことは今年中にやろうなどとは思わないので、年末がせわしないということはあまりなかったのかもしれない。

 師走という旧暦は、いつもは落ち着いている僧侶でさえ、忙しくて走り回る月だから『師走』と言うと聞いたことがある。
 本当かどうかは知らないが、まあ暮れが押し迫ればそれだけ忙しくもなるということだろう。

 若い頃。
 何かいくつかの仕事をこなさなければならない場合でも、急ぎの仕事でなければ『これは年が明けてからでいいや』と後回しにしてきた。

 そもそも年末になって忙しくなるような仕事をしていなかったということもある。

 訪問入浴の仕事は年末年始はちゃんとお休みなのでそう忙しくもない。
 介護タクシーをやっていた頃は、透析の人のために年末のギリギリまで仕事をして、年始は2日から仕事だったが、それでも年末年始は通常の病院はお休みなので、介護タクシーも稼働はいつもよりはゆっくりだった。
 だから出勤はしているものの、忙しいと感じたことはあまりない。
 訪問介護の仕事の時もそう。
 なんだかんだ年末年始はお休み。
 もちろん独居の人など、行かなきゃいけない人もいるからそういう人は対応していくのだけど、なにせいつもより仕事は少ないから出勤していても、忙しくはないのである。

 ところがだ。

 ケアマネジャーになってからというもの……
 ここ数年。
 やたらと年末年始が忙しい。

 多分、近年にあっては年末年始はお休みいただきますというサービス事業所が増えたからに他ならない。
 そして病院は入院患者を年末年始には家に帰したがる傾向にある。

 この調整が大変なのだ。

 さらには12月に限って急に具合が悪くなる利用者が増えたりする。
 そうすると新しいサービスが必要になるから、サービス調整をして、ケアプランを立て直して担当者会議。
 こんな感じの利用者が2人増えるだけでも目が回るほど忙しいのだ。
 もう、携帯電話の着信音が恐ろしい。

 銀杏が黄色く色づく様子を見て感嘆のため息を上げていた若い頃が懐かしい。

 最近では銀杏が色づく様子が目に入ると違った意味でため息がでる。
 はああ……今年もちゃんと年を越せるのだろうか……
 いや。
 越せないことはないとは思うが、やることが多すぎて景色すら楽しめない状況に追い込まれているのだ。

 そうならこんな駄文は書かずに朝起きたら仕事をすればいいじゃないか……
 そんなふうにもう一人の自分が言うが、それは嫌なのだ。
 この時間は自分のためにとっておきたいのだ。

 今日もがんばろう。
 年末まであともう少しだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

書き物練習場

ポテトメーン
エッセイ・ノンフィクション
とにかく練習で書いたものをアップロードします。 面白さや、読者目線は、いっさい気にしてません。 とにかく練習することが目的です。 思ったことを、そのまま書くこともあります。 お題を設けて、書くこともあります。

発達障害の長男と母としての私

遥彼方
エッセイ・ノンフィクション
発達障害の長男と母としての私の関わり方の記録というか、私なりの子育てについて、語ろうと思います。 ただし、私は専門家でもなんでもありません。 私は私の息子の専門家なだけです。心理学とか、医学の知識もありません。きっと正しくないことも語るでしょう。 うちの子とは症状が違うから、参考になんてならない方も沢山いらっしゃるでしょう。というよりも、症状は一人一人違うのだから、違うのは当たり前です。 ですからあなたは、あなたのお子さんなり、ご家族の方の専門家になって下さい。 願わくば、その切っ掛けになりますよう。 ※私の実際の経験と、私の主観をつらつらと書くので、あまり纏まりがないエッセイかもしれません。 2018年現在、長男は中学3年、次男小6年、三男小4年です。 発達障害だと発覚した頃は、長男3歳、次男6カ月、三男はまだ産まれていません。 本作は2017年に、小説家になろうに掲載していたものを転記しました。 こちらでは、2018年10月10日に完結。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

平々凡々 2021

るい
エッセイ・ノンフィクション
毎日、何かを考えてる。   日々の出来事。 人間は、いつも“何か“を考えている。 そんな「考え事」を吐き出しております。

読まれるウェブ小説を書くためのヒント

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
エッセイ・ノンフィクション
自身の経験を踏まえつつ、読まれるための工夫について綴るエッセイです。 アルファポリスで活動する際のヒントになれば幸いです。 過去にカクヨムで投稿したエッセイを加筆修正してお送りします。 作者はHOTランキング1位、ファンタジーカップで暫定1位を経験しています。 作品URL→https://www.alphapolis.co.jp/novel/503630148/484745251

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

心躍るロンド ~面白き自然農の世界~

うーちゃん
エッセイ・ノンフィクション
偶然本屋で出会った一冊の本に導かれ、それまで農業経験ゼロだったぼくは「自然農」の世界に足を踏み入れることになった。そこで見たもの、感じたこと、出会った人々。自然農を実践する中でぼくも大きく成長していく。自然を感じながら作物を育てる喜び。それはまるで心躍(おど)るロンド(輪舞曲)だった。

『犯性(反省)人生 上』

シロ
エッセイ・ノンフィクション
僕は、三重県で生まれ、現在は愛知県内に住む、38歳のサラリーマンです。 僕の生まれてから、38歳になるまでの人生 『山あり谷ありの壮絶な人生』 をつづった、ほぼノンフィクションの話です。 タイトルは、『犯性(反省)人生』 貧乏生活から月収120万 性奴隷の学生時代 起業してからの地獄 訳して『犯性危』の人生を綴った作品です。 『犯罪。性。危機。』の内容です。 2話ずつ書いて、小話を間に入れますので、よろしくお願いします! ※名前バレ防止のため、一部フィクションもあります。 ※誤字脱字ばかりです。 気軽に感想やお気に入り登録も、よろしくお願いします。

処理中です...