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表紙が漫画みたいな絵が描いてある小説は面白いのか否か
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隣の二階堂さんには変な癖がある。
考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。
最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。
最近では彼女が何かに煮詰まってきている時にお茶に誘って話を聞くことをあたしも夕凪も楽しみにしている。
日曜日の夜は少し憂鬱。
こんな夜は壁の音はするのだろうか?
どんどんどんどん……
やっぱりしたか……。
最近、壁の音がすると夕凪がにこにこしながらこちらを見てくる。
二階堂さんは話題が豊富なので一緒にお茶するのが楽しいのだ。
あたしは夕凪に言った。
『お姉ちゃん、呼んできてくれる? 甘いものでも食べましょうって。』
――――――――――
土曜日には出かけることが多いが、日曜日は家で静かに過ごすことが多い。
たまにお隣の夕凪ちゃんが遊びに来てくれたりすると一緒にお絵かきしたりして遊んだりするのだが、そういうのんびりとした休日はなんともしがたいぐらい貴重だと思う。
家で静かに過ごす時間は必要だ。
そもそも毎日の生活がいろんな意味で騒がしすぎるのだ。
たまには心静かに過ごす時間があってもいいはずだ。
あたしには定期的に読書する習慣がある。
何を読んでいるの? と良く聞かれるがジャンルは様々だ。
純文学も好きだし、時代小説も好きだ。
大衆文芸も嫌いではない。
でも本屋に行くとついつい手を伸ばしてしまうものがある。
それはライトノベルである。
ライトノベルの定義ははっきりしていないのだが、漫画やアニメの延長線上で楽しめる小説全般のことを指すらしい。あたしの中でのライトノベルの定義は『表紙に漫画みたいな絵が描いてある小説』である。
実際にライトノベルは面白いのか……と言われると、はっきり言うが面白い。
文章の構成や、背景などの描写を簡単で分かりやすく書くというのは実は難しいのだとあたしは思う。この手の小説は、読者には優しく作者の世界観が伝わりやすい。
ただ……問題が一つある。
気にしなければいいと言えばそれまでなのだが……
このライトノベル。
表紙に漫画みたいな絵が描いてあるので、読書しているような感じがしないのだ。
読みやすく構成されてある分、さくさく読めてしまうわけだから、1冊を読むのにも時間がかからない。
世界観にはまりこみやすいからだろうか?
最近ではこういうライトノベルばかりが人気がでている傾向にある。
確かにライトノベルは面白い。
ただ最近はライトノベルばかりが読まれているような気がする。
他の分野の小説だって十分に面白いのだ。
にもかかわらずライトノベルしか読まないのはもったいない。
本屋に行っても……
電子書籍を見ても……
ライトノベルが多い。
なるほど。
人気はあるし、売れるのだから、それは分かる。
でもそれでいいのだろうか?
分かりやすいものばかりを読むと読解力がなくなるような気がする。
それに同じジャンルばかり読んでいたら新しい発想はなにも生まれない。
ん?
ちょっと待てよ。
新しい発想って何だ?
新しい発想があったからと言って何かあるのだろうか?
うーーん……
考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。
どうやらあたしはまたやってしまったらしい。
今日は新しい発想ってやつで、春海ちゃんにビールでも持って行ってあげよう。
考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。
最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。
最近では彼女が何かに煮詰まってきている時にお茶に誘って話を聞くことをあたしも夕凪も楽しみにしている。
日曜日の夜は少し憂鬱。
こんな夜は壁の音はするのだろうか?
どんどんどんどん……
やっぱりしたか……。
最近、壁の音がすると夕凪がにこにこしながらこちらを見てくる。
二階堂さんは話題が豊富なので一緒にお茶するのが楽しいのだ。
あたしは夕凪に言った。
『お姉ちゃん、呼んできてくれる? 甘いものでも食べましょうって。』
――――――――――
土曜日には出かけることが多いが、日曜日は家で静かに過ごすことが多い。
たまにお隣の夕凪ちゃんが遊びに来てくれたりすると一緒にお絵かきしたりして遊んだりするのだが、そういうのんびりとした休日はなんともしがたいぐらい貴重だと思う。
家で静かに過ごす時間は必要だ。
そもそも毎日の生活がいろんな意味で騒がしすぎるのだ。
たまには心静かに過ごす時間があってもいいはずだ。
あたしには定期的に読書する習慣がある。
何を読んでいるの? と良く聞かれるがジャンルは様々だ。
純文学も好きだし、時代小説も好きだ。
大衆文芸も嫌いではない。
でも本屋に行くとついつい手を伸ばしてしまうものがある。
それはライトノベルである。
ライトノベルの定義ははっきりしていないのだが、漫画やアニメの延長線上で楽しめる小説全般のことを指すらしい。あたしの中でのライトノベルの定義は『表紙に漫画みたいな絵が描いてある小説』である。
実際にライトノベルは面白いのか……と言われると、はっきり言うが面白い。
文章の構成や、背景などの描写を簡単で分かりやすく書くというのは実は難しいのだとあたしは思う。この手の小説は、読者には優しく作者の世界観が伝わりやすい。
ただ……問題が一つある。
気にしなければいいと言えばそれまでなのだが……
このライトノベル。
表紙に漫画みたいな絵が描いてあるので、読書しているような感じがしないのだ。
読みやすく構成されてある分、さくさく読めてしまうわけだから、1冊を読むのにも時間がかからない。
世界観にはまりこみやすいからだろうか?
最近ではこういうライトノベルばかりが人気がでている傾向にある。
確かにライトノベルは面白い。
ただ最近はライトノベルばかりが読まれているような気がする。
他の分野の小説だって十分に面白いのだ。
にもかかわらずライトノベルしか読まないのはもったいない。
本屋に行っても……
電子書籍を見ても……
ライトノベルが多い。
なるほど。
人気はあるし、売れるのだから、それは分かる。
でもそれでいいのだろうか?
分かりやすいものばかりを読むと読解力がなくなるような気がする。
それに同じジャンルばかり読んでいたら新しい発想はなにも生まれない。
ん?
ちょっと待てよ。
新しい発想って何だ?
新しい発想があったからと言って何かあるのだろうか?
うーーん……
考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。
どうやらあたしはまたやってしまったらしい。
今日は新しい発想ってやつで、春海ちゃんにビールでも持って行ってあげよう。
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