あたしのかわいい双子たち

ちな

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逢瀬

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耳の奥で階段をかけ下りる音を聴きながら、あたしは不安定な体勢で必死に蓮音の舌を追う。湿っぽい音が心地よくて、つい夢中になっていると、蓮音の温かくて大きな手のひらが動いた。

大切な宝物を抱え込むようにしていた手を首まで這わせ、肩を撫でて背中に落ち着く。触れた手のひらからじんわり熱を感じて嬉しかった。

そうやって、まるで恋人とのキスみたいに甘ったるく舌を絡め合わせていると、背後でかちゃりと軽い金属の音。突然自由になった両手に戸惑って、蓮音の首にしがみついた。ふっと鼻で笑う蓮音も、あたしの体を抱き寄せてくれた。

ああ、本当に恋人みたい。

そう思った刹那、薄暗い箱庭の入口にガラスコップを持った紫音が突っ立っているのが見える。彼の表情は読み取れなかった。

「随分イイコトしてるね?」

紫音の一言で離れていった唇は、泣きわめくようにねっとりした銀の橋が繋ぐ。蓮音はそれを乱暴に手の甲で拭って、まぁな、なんて笑って見せた。

「何持ってきた?」

手に持ったものを軽く掲げて蓮音と目を合わせるなり、紫音はにやりと笑ってみせる。紫音の長い指に引っ掛けられるようにしてぶら下がるガラスコップには、氷がいくつも入っていた。反対側の手には、ご丁寧にもお盆に乗せられたガラスのピッチャーと、背の低いガラスコップがふたつ。

「いいねぇ」

パチンと指を鳴らした蓮音は、あたしの米神に一度だけキスをくれて、それから至極楽しそうに笑う。

あたしの背後に落ちたふわふわのラビットファー付きの手錠そのままに、あたしの両足を机に乗せた。

「そのままそこにしゃがめ」

意味もわからず言われた通りにしたときに、漸く気が付いた。

下着を取り払われたそこは、こんな高い位置でしゃがみこめば双子に丸見えだ。

分厚い遮光カーテンで切り取られた四角い部屋に、一瞬だけ耳鳴りみたいな静寂が訪れる。紫音が持つガラスコップの中の氷が、カランと涼やかな音を立てて僅かに溶けた。

「結名?」

媚薬を孕む蓮音の声に、あたしはぎゅっと目を瞑って、しゃがんだまま足を大きく開いてみせる。さながら従順なメイドみたいだと自嘲した。

「メイドさんはご主人様のいう事を聞かなきゃいけないよね。あと、仕事をきっちりこなさなきゃだめなんだよ」

おままごとの配役を決める時に、そういえば紫音はよくこんな弾んだ声色だった。あの時と同じく、あたしのスカートと黒いエプロンを膝と腹の間にしまい込んで、紫音のふっくりした唇をおでこに押し当てられる。あたしは反射的に頷いた。

あたしの前で、ピッチャーに汲んできた水を、ふたつのコップになみなみと注いだ。

「両手に一個ずつ持つんだよ。そうそう」

「結名、何があってもその水零すなよ」

「腕を横に伸ばして」

「肘曲げんなよ」

「がんばってね」

紫音はナイロンタオルとマッサージ器を。

蓮音は、双子お気に入りの立派なディルドを。

あたしは嫌な予感しかしなかった。

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