あたしのかわいい双子たち

ちな

文字の大きさ
上 下
6 / 14

残響

しおりを挟む
ꕤ୭*故イレーヌ・エンジェル王女殿下降臨前のミランダ(ミランダ視点)

 私は慈善事業に携わるイレーヌ王女殿下に貧困街で拾われて、下女にしていただきとてもかわいがられたと思う。感謝はしているけれど、神様の不公平さをこれほど実感したことはなかった。

――産まれながらにして王女様。美しくて頭が良くて全てをお持ちなイレーヌ様に比べてなぜ同じ人間なのに・・・・・・私はこうなの? おかしいよ・・・・・・

 その後退職し鍛冶屋の男と結婚したものの、うまくいかずに離婚。子供を抱えてどうしたら良いか悩みオスカー公爵家にすがりに行くと、すでにイレーヌ王女殿下は他界していた。

「オスカー公爵の後妻のふりをして、アイビーを虐めてよ。旦那様も国王陛下も会いには来ない。今のうちにイレーヌ王女殿下へのうっぷんを晴らしていいからね」
 なぜか侍女長になっている昔の同僚アンナに耳打ちされた。

 だから、後妻のふりをしてアイビーを追い詰めた。このアイビーがこの世からいなくなれば、なにもかもうまくいくんだって。

 演技をするうちに、私こそはオスカー公爵夫人だと思い込むようになった。娘にも実の父親はオスカー公爵だと言い含めると簡単に信じ込み楽しい生活が始まった。





「国王陛下と公爵様からの子供向けのプレゼントはその子のものにしていいわよ。そのかわりお礼の手紙は書かせてね?」
 アンナは私に、笑いながら言った。

「こんなをことしてばれないの?」

「大丈夫よ! アイビーが死んでくれればまるく収まるんだから」





ꕤ୭*故イレーヌ・エンジェル王女殿下降臨前のアンナの気持ち(アンナ視点)



 昔下女をしていた女が、アイビーと同じような年頃の娘を連れてやってきたのがアイビー7歳の頃。良い案を思いついた。

――この女のせいに全てしてアイビーを追い詰めれば・・・・・・うふふ、私の望みは全て叶う。アイビーが死んだところで大騒ぎして公爵を呼び寄せ、ミランダは隣国に逃亡させるーーこれはあのお偉い方が協力するとおっしゃっていた・・・・・私だけがアイビーーを庇ったことにすればいい。

「きっと感激した公爵様は健気なアンナに感謝して・・・・・・アンナを愛してくれるさ」
 お偉い方は私にそうなることを予言してくれた。


 イレーヌ様はお産で死んだと誰もが言うが、あの隣国のお偉い方に渡された薬をこっそり奥様の水差しにいれたのは私。お産のどさくさに忍び込み、すぐに侍女長としてそこにいられたのは、お偉い方が公爵のふりをして今までの侍女達を速やかに入れ替えたから。

 今や使用人は全て護衛騎士にいたるまで、隣国の者であの方の配下の者だ。

「私のプロポーズを断って腰抜け公爵の妻になった罰なんだ!」
 お偉い方は一度だけそうつぶやいて意気揚々と去っていった。

――なんて、気持ちの悪い男なんだろう。私の純粋な愛を見習ったらいいのに。でも、このお偉い方のお陰で楽しい生活ができて幸せだわ!

ーーそろそろ、アイビーの心がもたない。あんな小さな子が自分で死ぬなんてワクワクするわ。あの世で高潔なイレーヌ王女殿下と仲良く悔しがればいい! あっはは!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

鬼より強い桃太郎(性的な意味で)

久保 ちはろ
恋愛
桃太郎の幼馴染の千夏は、彼に淡い恋心を抱きつつも、普段から女癖の悪い彼に辟易している。さらに、彼が鬼退治に行かないと言い放った日には、千夏の堪忍袋の緒も切れ、彼女は一人鬼ヶ島に向かう。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

上司と俺のSM関係

雫@更新予定あり
BL
タイトルの通りです。

処理中です...