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献上品
しおりを挟む「なにっやだ!はなして!蓮っ…!」
花のような可憐なピンク色のスライムはびくびくと脈を打ち、生き物のようでした。意志を持っているかのように蠢き、自分で勝手にまるく成形されていきます。どこかで少しでも振動するとスライム全体に波紋が広がりました。
蠢くそれは中に閉じ込めた凛を自在に操り、押し上げ、顔だけぽこんと出されるような形になりました。
温い湯に浸かっているような、しかし濡れた感触こそあれど、実際に濡れているわけでないおかしな感覚でした。操られるときは水を掻き分ける抵抗ほどなのに、凛が自分で手足を動かそうとすると、全く身動きが取れないのです。
そんな中でも、凛は右手にはしっかり鍵を握り締めていました。訳もわからず咄嗟に握りこんだことが不幸中の幸いと言えました。この鍵だけはどんな事があっても手放してはいけない気がしていたのです。
ピンク色のスライムに顔だけを出し、すっかり埋まってしまった凛に、彼は苦虫を渾身の力で咀嚼したような顔を向けました。
「どこまでも兄さん兄さん…」
蓮の名前に過剰に反応をみせた彼がみるみる顔を赤くしていきます。ひ、と喉を引き攣らせ、悪魔みたいな顔をした彼から目を離せません。餅のようにべたべたと張り付き、岩のように重たいスライムの中では、どれだけ足掻いても指の一本も動かせないのです。
彼はこの世の終わりみたいな声を張り上げました。
「いつもそうだ!!兄さん兄さん兄さん兄さんッ…!」
拳は怒りに震えて髪は逆立ち、目は血走り、歯噛みした奥歯が粉砕しそうでした。
恐怖で震える凛の体はスライムに伝染し、ブルブルと音を立てました。それはまるで羽音、或いはゆるいモーター音のように、低く唸ります。
彼はそれから何も言いませんでした。凛も奥歯が噛み合わないほど震えあがり、ふたりは暫く対峙したままでした。
数秒だったかもしれないし、数分だったかもしれません。凛にとって恐ろしく長い時間でした。
「…お前を手に入れれば、俺は兄さんに勝てるんだ」
地を這う声は亡霊のようにふらふらと頼りないのに、憎悪に満ちて濁った眼は凛を突き刺しました。
「え、…」
「女王…くくっ…兄さんは大事な女王を俺に…」
突然肩を震わせてくつくつと笑い出す彼に、凛はこの世のものとは思えない恐ろしさを感じて心臓が凍り付きました。
「なに、を…」
「俺は!これで完全な王だ!!さあ女王!!俺に極上の蜜を!!」
血走った眼を見開いて笑う彼に、凛は奥歯を震わせることしかできませんでした。彼の言っていることをひとつも理解できないのです。
凛が口を開きかけたとき、スライムがぬるりと動き出しました。
「えっきゃあっ!?」
元々決まった形のない液体みたいなものです。スライムがにゅるにゅると触手のようなものを形成し、凛を天井に向かって掲げることなど実に容易いことなのです。
王に献上する盃の如く、凛は手足を大きく広げたまま臍を天に向けられて磔にされました。
「やだっやめて!」
必死の抵抗も虚しく、拘束された手足はびくともしません。それどころか、触手の手によってワンピースはびりびりに破かれ、ただの布と化して地面に落ちていきました。
白くしなやかな体が、窓から漏れる四角い陽の光に照らされました。
彼はほおっと熱い息を吐きました。
「さすが。"失敗作"とは格が違う」
まだ成熟し切っていない体も、薄くピンク色に色付いただけのちいさな乳首も、鼻孔を撫でる甘い匂いも、並べられた"失敗作"とはつくりが違いました。彼女たちは気が遠くなるほど長い時間調教され、乳首もクリトリスも肥大化され、腕ほど太い触手をアナルにも蜜壺にも難なく飲み込まれる体に作り替えられてしまったのです。
彼は掲げられた凛の体を見て舌なめずりをしました。恐怖で乾いてしまった蜜壺が、目の前にあるのです。
開脚させられた凛は、もちろん必死に暴れました。蓮以外の人にそんなところを見られるなんて、いっそのこと殺してほしいとさえ思いました。涙をぼろぼろ零し、離してと叫びました。
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