アリスと女王

ちな

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"彼"

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「あたし、アリスじゃないわ」
きっぱりと言い放つ凛ですが、どういうわけか口の運びが重く、思うように声を出せません。得体のしれない恐怖が足元から沸き上がり、ゆっくりゆっくり飲み込まれていくような感覚に息が苦しくなりました。
そんな凛を嘲笑うように口角を上げた"蓮のような人"は、静かに右手を差し出しました。
「きみはアリスだよ。それも女王の素質を十分に持っている…そう、ここにいる失敗作とは雲泥の差だ」
「…ここに、…?」
思わず開いてしまった口を慌てて閉ざしました。戒めのようにNOだけ言うように言われ続けた凛の頭に疑問が過ります。
さっきの答えはつまるところ、NOに当てはまります。しかし、質問や疑問を口に出すことは不正解なのか。YESでもNOでもない言葉を口にした時、一体どうなってしまうのか…。
戸惑い始めた凛に、"彼"は笑みを濃くしました。
「ねぇおしゃべりしようよ。あの失敗作はもう話が通じないし」
明らかな悪意を感じた凛は、首を横に振りました。それに、リスクのある事は避けるべきとも思いました。
そうは思っても戸惑いを拭いきれない凛は、鈍くなった頭でNO以外を全て無言で貫くのが正解と考えたのです。正解かはわかりませんが、今考えられる一番の得策はこれしかありませんでした。
そう思った矢先だったのに、凛は叫び出しそうになりました。

この不可思議な空間に、凛と"彼"以外だれもいなかった筈なのです。
瞬きするほんの刹那に、"彼"と凛の間に、アリスと思しき女の子が浮かぶように現れたのです。もしかすると最初からいたのかもしれません。もう何が起こったのか考えるだけでも眩暈がしそうでした。
彼はそんな凛などお構いなしに話を続けます。
「城のみんなは頑張ってくれてるとは思うけどね。ここ何年も失敗作ばかりでいやになる」
悠々と足を組む彼は、ため息をひとつ零しました。まるで目の前にあるのは枯れかけた花か、焦げたクッキーだとでも言いたげに憂いた視線を落とすだけです。凛には信じられませんでした。

「んんっぶっあはっああっ…」
「ひぃぃぃっあははははっあああっ!」
「やんああっあ!ふふっあああっひぎっ…!」

例えば、広場で見た可哀想なアリスたちや、地下牢に捕らえられた彼女たち、それから蜜をひたすら搾取されているあの子たち。
そのどれにも当てはまらない"アリス"が、まるで彼と凛をつなぐ花道のように並んでいるのです。
声にならない悲鳴を上げた凛は、縋るように手に持った銀の鍵をぎゅっと握りこみました。

「びっくりすることないよ。こんなもの、ただの失敗作だし。"コレ"の養分になってただ蜜を生産するだけだよ」
長く綺麗な指をさしたもの。凛は体が震えました。今、たった今、確かに見ていたはずなのです。それなのに、たった今、それがはっきりと見えたのです。
紫とも緑とも言えない、どす黒い色のかクリアなのかも分からないその物体は、液体とも固体とも言えませんでした。巨大なスライムをぼとりと落っことしたようなその中心に、端正な顔立ちのアリスが沈んでいました。
彼女は綺麗な顔をぐしゃぐしゃにし、舌を出して下品に笑っています。物体は異様な粘度を持って、アリスの美しい肢体に絡みついていました。何本もの触手を生やし、四肢に絡みついて体の自由を奪い、蜜壺をかき回しています。じゅぶじゅぶと酷い音は、粘液なのか蜜なのか分かりません。股を何かの液体でどろどろに濡らし、開き切ったアナルからも白い粘液をだらだらと流していました。
それだけではありませんでした。細長い二本の触手がクリトリスを挟み、くりくりと延々捏ねまわしているのです。スライムのような物体に沈んだ彼女は、逃げることなどできませんでした。
捏ねまわされるクリトリスが、がちがちに勃起しているのが見えました。凛の倍ほどはあるクリトリスが強制的にくにくにと形を変えさせられ、蜜壺には太い触手が2本、3本とランダムに突っ込まれ、激しくピストンしています。どろどろの液体を纏ったその触手は休むことも抜けることもなく、淡々とピストンしているのです。
彼女は延々、…いや、永遠に絶頂を繰り返す人形と化しているのです。

ひくりと反応してしまった凛に、"彼"がくすりと笑いました。
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