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落ちた言葉の行方は
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凛のかわいらしい声が四角い部屋に鳴り響きます。一瞬ギクリとした蓮は耳を欹てて、辺りの音を慎重に聞きました。息を殺し、風の音まで耳に入れこみました。
煉瓦を四角く切り取った窓からは、緩やかな風が吹き込みます。凛もはっとして、出来る限り呼吸を止めました。
外から微かに何かの物音はしますが、ここが気付かれたような音ではありません。心当たりのある蓮は、静かに息を吐き出しました。決して安堵の息ではありません。少し諦めの混じった、短い呼気でした。
ふたりはやや暫く息を潜めました。できるだけ気配も消しました。
凛にとって、これほど屈辱的で恥ずかしい格好はありません。蓮以外に見せたくありません。それから、見つかれば終わりということも分かっています。もぞりと身を捩り、樽から降りようと試みましたが、蓮がそっと制しました。
蓮は耳を立てて周囲を注意深く見渡し、それから今度はほっと胸をなでおろしました。凛の苦しそうな呼吸の音以外は、なにもないと判断したのです。
そうして今度ははぁ、と息を吐き、つい夢中になってしまったことに苦笑いして、冷静な頭を取り戻そうと緩くかぶりを振りました。
再開の合図とばかりに、すっかり萎えてしまった乳首にちゅっと吸い付きました。萎えてしまえば、糸が外れてしまう可能性があるのです。
僅かな刺激にさえ、ん、と甘ったるい声を漏らしたことに気を良くし、注意しながらもゆるゆると立ち上がる乳首を、舌の先でころころと転がします。構って貰えなくて拗ねてしまった反対側の乳首は、指で優しく捏ねてやりました。
凛のスイッチは緩やかに入り始め、別の意味で跳ねさせていた心臓をあまく蕩けさせます。時折甘噛みし、爪の先で弾いてやると、ん、ん、と細かな声に変わりました。
恋人とのあまい時間を過ごすように、丁寧に乳首を転がしてやります。
「れ、ん…!」
ワンピースの隙間から、凛が呼びました。
ふっと笑った蓮は、釣られるようにして、糸で巻いた乳首を思い切り噛んでやりました。
「ん゛ん゛ッ…!!」
途端に凛の声色が変わります。蓮は嬉しくなって、噛んだ隙間から舌を伸ばし、乳首の先をちろちろと舐めてやりました。
甘い匂いがふわりと鼻腔を掠めたので、蓮は乳首から舌を放し、乳首に巻いた糸を思い切り引いてやりました。
「っ…!」
突然訪れた強い刺激に、凛は息を詰めます。もう萎えたとは言えない乳首は、糸と一緒にピンピンと跳ねて喜びました。
「どうにも飲まれちゃうね」
呟いた蓮の声は、すっかり頭を蕩けさせてしまった凛には届きません。顔を真っ赤にしてボロボロ涙を零す凛の頬にキスをしてやりました。
「全く…」
続きの言葉を口の中で噛み、半分開いた凛の唇をゆっくりと指でなぞります。凛は反射的に、本能でミルクを欲しがる赤子のように舌を伸ばしました。
は、と笑いが込み上げました。
「かわいいよ凛…」
蓮もまた、反射的にそんなことを漏らします。
かわいい、いい子、だいすきだよ。
凛を見ていると、自然と言いたくなるのです。口から盛れるとか、零れるとか、正にそんな表現がぴったり当てはまるのです。
可愛らしい唇に一度だけキスを落とすと、意識が半分ふらふらしている凛が僅かに笑って見せました。
「…あぁ、溺れる」
蓮の呟きは、スポットライトに浮遊するハレーションみたいにひらひらと床に落ちて、誰も拾い上げることはありませんでした。
煉瓦を四角く切り取った窓からは、緩やかな風が吹き込みます。凛もはっとして、出来る限り呼吸を止めました。
外から微かに何かの物音はしますが、ここが気付かれたような音ではありません。心当たりのある蓮は、静かに息を吐き出しました。決して安堵の息ではありません。少し諦めの混じった、短い呼気でした。
ふたりはやや暫く息を潜めました。できるだけ気配も消しました。
凛にとって、これほど屈辱的で恥ずかしい格好はありません。蓮以外に見せたくありません。それから、見つかれば終わりということも分かっています。もぞりと身を捩り、樽から降りようと試みましたが、蓮がそっと制しました。
蓮は耳を立てて周囲を注意深く見渡し、それから今度はほっと胸をなでおろしました。凛の苦しそうな呼吸の音以外は、なにもないと判断したのです。
そうして今度ははぁ、と息を吐き、つい夢中になってしまったことに苦笑いして、冷静な頭を取り戻そうと緩くかぶりを振りました。
再開の合図とばかりに、すっかり萎えてしまった乳首にちゅっと吸い付きました。萎えてしまえば、糸が外れてしまう可能性があるのです。
僅かな刺激にさえ、ん、と甘ったるい声を漏らしたことに気を良くし、注意しながらもゆるゆると立ち上がる乳首を、舌の先でころころと転がします。構って貰えなくて拗ねてしまった反対側の乳首は、指で優しく捏ねてやりました。
凛のスイッチは緩やかに入り始め、別の意味で跳ねさせていた心臓をあまく蕩けさせます。時折甘噛みし、爪の先で弾いてやると、ん、ん、と細かな声に変わりました。
恋人とのあまい時間を過ごすように、丁寧に乳首を転がしてやります。
「れ、ん…!」
ワンピースの隙間から、凛が呼びました。
ふっと笑った蓮は、釣られるようにして、糸で巻いた乳首を思い切り噛んでやりました。
「ん゛ん゛ッ…!!」
途端に凛の声色が変わります。蓮は嬉しくなって、噛んだ隙間から舌を伸ばし、乳首の先をちろちろと舐めてやりました。
甘い匂いがふわりと鼻腔を掠めたので、蓮は乳首から舌を放し、乳首に巻いた糸を思い切り引いてやりました。
「っ…!」
突然訪れた強い刺激に、凛は息を詰めます。もう萎えたとは言えない乳首は、糸と一緒にピンピンと跳ねて喜びました。
「どうにも飲まれちゃうね」
呟いた蓮の声は、すっかり頭を蕩けさせてしまった凛には届きません。顔を真っ赤にしてボロボロ涙を零す凛の頬にキスをしてやりました。
「全く…」
続きの言葉を口の中で噛み、半分開いた凛の唇をゆっくりと指でなぞります。凛は反射的に、本能でミルクを欲しがる赤子のように舌を伸ばしました。
は、と笑いが込み上げました。
「かわいいよ凛…」
蓮もまた、反射的にそんなことを漏らします。
かわいい、いい子、だいすきだよ。
凛を見ていると、自然と言いたくなるのです。口から盛れるとか、零れるとか、正にそんな表現がぴったり当てはまるのです。
可愛らしい唇に一度だけキスを落とすと、意識が半分ふらふらしている凛が僅かに笑って見せました。
「…あぁ、溺れる」
蓮の呟きは、スポットライトに浮遊するハレーションみたいにひらひらと床に落ちて、誰も拾い上げることはありませんでした。
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