アリスと女王

ちな

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アリス“たち”

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体を叱咤して足を進めてきた凛ですが、明らかな鞭の音、それから複数の猫の声とばかり思っていたのは女性の鳴き声だと気が付いて、体に籠る熱を持て余していました。金属の音だって、凛の足の間を虐め抜いたものだと理解するのに時間を要しませんでした。

キィ…キィ…と断続的に聞こえてくる音。それは、あの家庭教師を彷彿させたのです。

机の間に金属製の棒を渡し、跨がされた時の音。机は金属製でした。渡した金属の棒が凛の体重で軋んだ音にとてもよく似ていたのです。食い込んだ足の間の痛みを思い出して、おしりをきゅっと窄めました。家庭教師のお仕置きは、ただただ痛いだけだったのです。

──あれがもし、蓮にしてもらえたら…

「っあっ…!やっ…!」

凛は思わず嬌声を漏らしてしまいました。もちろん、森に金属はありませんでしたから、蓮にそんなことをしてもらったことはありません。でも。もし。──海に沈んだ宝石みたいな目で、そんな姿を見られたら。かわいいよってキスをしてもらって、あの家庭教師がしていたみたいに体を左右に揺すられたら。つま先立ちでようやく床に足が付くあの高さで、一切の弛みを見せない金属の棒をぐりぐりと食い込ませられたら。今ならきっと、ぐちょぐちょになった足の間は良く滑って、丸みを帯びたでこぼこの金属がクリトリスや穴の入口を引っ掻いたとしたら…。

凛は、想像しただけでびくびくと体を震わせました。

「あっ…く…んん…!」

今すぐこの冷たい金属床に顔を擦らせて、自分の指で慰めたい。疼いて仕方がないこのはしたない足の間を、ぐちゃぐちゃにかき回したい…。凛はおしりを振って、熱を逃がそうとしました。

「…凛」

凛の様子は見なくとも手に取るように分かってしまった蓮は、笑って凛の名を呼びました。背後から聞こえる可愛らしい声に、蓮だって必死に我慢しているのです。

パシィィィンッ!

一際大きい鞭の音。女性の叫び声。びくりと腰を震わせる凛は、流石に絶頂には至らないものの、もう我慢の限界でした。

「凛、頑張って」

女性の叫び声に紛れて、蓮が声を掛けます。はあはあと荒い息を繰り返す凛は、頷いて見せました。


向こう側のダクトから、機械音と鞭の音、それから数人の男の声も聞こえてきました。金属の音もします。やめて、もう返して、おねがい許して。そんな叫び声もはっきり聞こえてきますし、なにより明らかに凛のものではない、あまい匂いも強くなってきました。

しかし、それは凛のものほど強い匂いではありません。うっすらと甘いような気がする、という具合です。

蓮は振り返り、凛に合図を出しました。これより先は危険であることを知らせたのですが、凛にどの程度伝わっているのかは定かではありません。できるだけ通気口部分は足早に進みたいところですが、凛は亀みたいなペースで足を擦らせながら進んでいるのです。蓮はハラハラしながらも、前に進みました。

「やだあああっもうっもう家にかえしてぇぇぇ!!!」

叫ぶ女性が、小さな通気口から見えました。長く、美しい黒髪の女性です。豊満な胸の先には搾乳機のようなものが取り付けられ、白くてしなやかな体には鞭の痕が痛々しく残されていました。

「さっさと出てこい!」

乱暴な男の声です。傭兵のようにも見えますが、凛には分かりませんでした。そうして、凛は目を疑ったのです。

よくよく見てみると、女性たちはみな檻のようなものにひとりずつ入れられているのです。大きな歯車を股に通され、無慈悲に回転しているもの。勿論女性は拘束されて、その歯車から逃れることはできません。やっぱり搾乳機のようなものが取り付けられ、おしりにはチューブがずっぷりと刺さっていました。チューブの先には大きな寸胴鍋のようなものが吊るされていて、匂いからすると、あの青いきのこの中身だと分かりました。あの女性は絶えずおしりからきのこのザーメンを注がれ、ミルクの製造をさせられているのです。歯車でクリトリスを無慈悲に擦り上げ、蜜壺の入り口にもなにかの機械が取り付けられていました。タンクのようにも見えました。

そうして蓮のことばを思い出したのです。

"女王の蜜はすごいよ"

"女王は、最初から女王なわけじゃない。アリスを調教して女王に仕立て上げるんだ"

恐怖で足が竦みそうになった凛は、今目の前で起こっていることはとても理解できそうにありませんでした。あの時の蓮のことばを信じなかったわけではありませんが、こんなことになっているなんて、想像もしていなかったのです。

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