アリスと女王

ちな

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教化された体

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蓮の足が突然ぴたりと止まりました。凛はもう足が棒のようになってしまったので、休憩は有り難いと、こっそり息を吐きました。
蓮はちょん、と凛の手のひらを指で小突きます。休憩でないことを知らせたのです。
凛は疲れて俯きがちだった顔を上げました。
あ。思わずそんな声が漏れそうになり、慌てて口を結びました。
蓮と凛が見上げる先には、人ひとりがようやく通れそうな、金属の扉があったのです。
隙間から僅かな光が零れていますが、森の太陽のような、強い光ではないようです。みずみずしい緑色の草原、抜けるような青い空、それからきらきらと輝く湖面が懐かしくなり、凛は改めて太陽の強さを知りました。暗い場所は怖くて不安で、たまらないのです。
蓮は振り返り、頷いて見せました。凛も、同じように返します。あの扉を抜けた先はきっと、城の中なのでしょう。
城の大きさも、この先は城のどのあたりに繋がっているのかも全く見当は付きませんが、凛は蓮の後を着いていくしかありません。今更戻る選択肢もありません。
強く手を引かれて金属板の扉の前に立つと、蓮はゆっくりと扉を押しました。
きい、と錆びた音が控え目に響きます。慎重に扉を押し出す蓮は、まず先にその奥へと入って行きました。
おいで。振り返って凛に合図を出すと、凛も素直に従いました。
どうやら扉は、狭いトンネルのようになっているようです。四方を金属で固めたような四角いトンネルは、這わなければ通れないほど、とても狭いものでした。所々通気口のようなものが見えるので、どうやらダクトのようです。地下に入ったとばかり思っていた凛でしたが、どうやら天井のようだと思いました。
しかし、天井とは言え、城は勿論1階建てではありません。何階部分の天井なんだろうと、丁度目の前にあった通気口を覗き込んだ凛は、叫び出す寸前でした。
あの不気味な双子が持っていた歯車が、所狭しと乱雑に積み上げられていたのです。
木製、金属製、薄いもの厚いもの、大小さまざまです。自転車に似たものもありました。
瞬間、凛は腹の奥がずくりと悲鳴を上げたのを感じました。歯車部分の縦一列にパールのようなものがついたあれは…。凛の柔らかな割れ目も薬のせいでばきばきに勃起したクリトリスも、容赦なくがりがりと擦り上げたものにとてもよく似ていたのです。無慈悲なあのパールは、凛がどれだけ泣き叫ぼうともがちがちに勃起したクリトリスを休むことなくごりごりと擦り上げ、気が狂うほどの激しい絶頂を何度も何度も与えてきました。汗だくになって歯車を回した双子を思い出し、凛は冷や汗が止まりませんでした。
クリトリスが押しつぶされ、根元からごりごりと擦ったあのパールの歯車がいくつも見えるのです。しかも、凛が両手を広げたって届かないような巨大なものまでありました。あんなものを使われたら、あたしの体は一体どうなってしまうの。冷や汗の他に、凛は体の芯が熱くなってしまっていることにも気が付いてしまいました。
凛。振り返った蓮が苦笑いを浮かべました。四角い金属のトンネルの中で、甘い匂いがふわりと立ちこめたのです。言い訳ができない凛は、顔を真っ赤に染め上げました。このにおい、なんとかならないかしら…。凛は消え入りそうなほど肩を震わせて、唇を噛みました。
蓮は何も言わず、そのまま前に進んでいきました。本当だったら優しく髪を梳き、キスをして凛をもっと虐めたいのです。しかし今はそんなことをしている場合ではありません。しかもこの狭いダクトの中では、体を反転させることもできないのです。
凛も、思い出して火照ってしまった体を鎮めようと細く息を吐き、蓮の後に続きました。
ダクトの中は、温度が上がっているように思いました。段々汗ばんできた凛は、無理な体勢も手伝って、息も上がってきています。一体どこまで続いているのか、凛には蓮の後ろ姿しか見えないので、永遠とも思えるくらいでした。
やがて、猫のような声が聞こえ始めました。金属を擦らせたような音も混じってきます。奥へ奥へと進むにつれて猫の声は大きくなり、数も増えてきたように思いました。金属音は、キイキイと軋む音や、ガシャンとぶつかるような音、それから…

「っ…!」
思わず肩を竦めます。鋭く乾いたそれは、とても聞き覚えがある音です。四つ這いで進む凛の真っ白い太ももに、あまくてとろとろした蜜が、とろりと筋を作りました。
真っ白いふわふわのワンピースの下は、何も纏っていません。蜜を受け止めるものは何もないのです。狭いダクトの中を四つ這いで進む足の間は、ちゅくりと粘着質な音が響きました。
「はっ…はぁっ…」
吐く息が熱くなり、凛は終ぞ肘をついて止まってしまいました。
パシィィィンッ…
「っ…ん、…!」
パシィィィンッ…
「ぁっ…あっ…!」
すっかり教化された体は、この乾いた音だけで凛の体を震えさせるようになってしまったのです。
「…凛」
蓮はどうにも複雑な顔を隠すことができませんでした。調教が上手く言っている確たる証拠なのですが、先はまだまだ長いのです。少し心配になった蓮は、小さく凛の名前を呼びました。
狭いダクトで出来る限り首を後ろへやると、蓮は目を見開いて、それから思わず笑ってしまったのです。
凛は、蓮に名前を呼ばれることすら嬉しくて、顔を真っ赤に染めて大きな目に涙をいっぱい溜め、あかい唇を半分開けて熱い息を零しているのです。
かわいい。口だけ動かして見せると、凛の白い太ももに新たに蜜が零れました。
ああ、めちゃくちゃに抱きつぶしてやりたい…。蓮は自身の熱を感じながらもぐっと堪え、先を見つめて手足を進めました。
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