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不穏な雲
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凛はぐったりと顔を横にしたまま、体を痙攣さていました。蓮はもう一振りと思っていた手をぴたりと止めました。異変に気が付いたのです。
「おや…悦んでるからと思って、少し強くしすぎちゃったかな」
苦笑いを浮かべ、凛の顔をやさしく叩きました。
「凛、凛?大丈夫?」
浅く眉間に皺を寄せた凛でしたが、目を開ける気配はありません。
蓮は頭を掻きました。きのこによって体力を回復させた凛でしたが、やっぱり人間には睡眠が大事なようです。凛のうすい胸は、規則正しく上下に動いていました。スパイダーの過酷な責めにも耐え、たった今激しい鞭打ちを受けたのです。きのこでの回復では、間に合わなかったようでした。激しい鞭で意識を失ってしまった後、そのまま眠ってしまったようです。
「しょうがないか…。起きてからまた叩いてあげよう。ああそうだ、今度は蔦で擦る約束だったよね」
凛の手足を拘束していた草を外しながら、蓮は眠ったままの凛に話し掛けます。返事はありませんでした。蓮はそのまま凛を眠らせ、起きてからまた激しい鞭打ちと、編んだ蔦を食い込ませて歩かせようと考えました。どれくらいの高さにしようか、蔦には何か塗ってやろうか…。解いた草を放り投げ、少し赤くなった手首にキスを落とします。
「ふふっ。まるで眠り姫だね。かわいいアリス」
細く白い手首に唇を押し付け、柔肌をそっと舐めました。
蓮は眠った凛を起こさないようにそっと湖から出て、蔦に塗るものを探しに出かけていきました。
凛はおかしな浮遊感にうっすらと目を覚ましました。蓮にひどく叩かれた足の間が、妙に冷えるのです。それから、自分のミルクを浴びた体はすっかり冷え切って、凛は唐突に訪れた悪寒に身震いしました。半分しか覚めていなかった意識が、シャボン玉が割れるようにぱちんと覚めたのです。
「えっ…!?」
凛は、自分の体がぐわんぐわんとバウンドしていることに気が付きました。手足はそれぞれ何かに持たれていて、自分で動かすことが出来ません。目の前には、鬱蒼と茂る森、青い空……空が、正面に見えるのです。
「にいさん…ぼく我慢できないよぉぉ…」
「もう少しだガンバれ弟よ…」
聞き覚えのある、妙にねっとりした声でした。凛の顔がみるみる青褪めていきます。
「やっ…」
凛が思わず声を出してしまいましたが、ふたりは気が付かないようです。
凛を挟むようにして、ふたりの男が凛の手足を持っていました。前の男が凛の右手と右足、後ろの男が左手と左足。男の距離が離れるほどに、凛は手足を大きく広げるような、非常に屈辱的で恥ずかしい格好です。洗ってもらい、叩いてもらい、舐めてもらった凛の足の間は、大きく開かれたままどこかへ運ばれている最中でした。
「やっ…!放して!」
危機的状況は、思ったよりも深刻そうでした。凛は必死に暴れますが、たった今眠りから覚めたばかりのからだはまるでいうことを聞かず、びくともしません。男たちには凛の声が聞こえていないようでした。
「放して!やめて!」
がっちりと、まるで荷物のように持たれた手足を必死にばたつかせて抵抗しますが、本当に、ぴくりとも動かせないのです。恐ろしい力の差に、凛はみるみる青褪めていきました。
「ねえお願い!放して!放せ!」
どれだけ暴れようとも、凛は抜け出すことができません。ふと視界に入った後ろの男の顔を見て、凛は目の前が真っ暗になりました。
男たちは、凛が初めてこの森に入った時に出会った、気味の悪い双子でした。
荷物のように運ばれた凛が連れてこられたのは、可哀想なほどに朽ちたあばら家でした。悲鳴みたいな音を立てる蝶番に、双子たちは関心を寄せません。部屋の中は薄暗く、妙に甘い匂いがしました。
「ひっ…やめて…」
凛は泣きながら懇願しましたが、双子はやっぱり返事をしません。本当に聞こえていないのでしょうか。いいえ、双子は会話をしているのです。耳が聞こえていないはずはありませんでした。
「僕が準備をするよ」
「ああ頼むよ」
それだけ言うと、こっちの男──恐らく弟のほう──は、凛を乱暴にテーブルの上に乗せました。
「いやっ痛い!」
加減も気遣いもなく乱暴に落とされたテーブルはささくれ立ち、何も纏っていない凛の柔肌を僅かに刺しました。
慌ててテーブルから下りようとする凛に、男が立ちふさがります。歪んだ笑顔に、涎を垂らしていました。
「ひっ…」
恐怖で足が竦みます。しかし、そんなことを言っている場合ではないのです。早く逃げなければ、ひどいことになる…。壁に掛けられた棘付きの鞭や、拷問用かと思われる巨大なシリンジ、足元には無残な姿で転がる無数の注射器に、手錠、何かの歯車……。凛は奥歯を鳴らして震えあがりました。
男は歪んだ笑顔を浮かべたまま、凛を乱暴にテーブルへ縫い付けました。
「きゃあっ!」
ゴン、と音がして、凛は今しがた自分がテーブルに頭をぶつけたと理解するのに、少し時間がかかりました。男の歪んだ笑顔が、自分の鼻先にあるのです。
がたがたと震える凛は、思うように体を動かせませんでした。
男はそのまま古い縄を見せつけ、恐怖で動けない凛の体をテーブルに括りつけました。勿論凛は抵抗しましたが、なんだか頭がくらくらして、視界がぼやけてしまうのです。天井の梁も真っ直ぐには見えないほどでした。
「にいさん、できたよ」
「おう」
凛は顔を青くして奥歯を震わせることしかできませんでした。なにができたのか…何をされるのか。綺麗な雫がぽたぽたと床を濡らしました。
「ひぐっ…やだっ…」
ぽろぽろ流れる凛の涙を気遣う人はいません。おしりを半分ほど落としたまま、テーブルの四隅に手足を結ばれ、凛は双子にすべてを晒すような体勢にさせられてしまったのです。
「よしよし、これでいい」
兄と思しき男が、あの巨大なシリンジを手にして笑いました。ほぼ天井しか見えない凛は、なにをされるのか全く予想できません。
「ひどいなぁにいさんは」
「優しいと言ってくれよ。おれの気遣いさ」
じゅううううぅぅうぅ……
酷い音を鳴らして、シリンジが何かを吸い上げます。音は暫く止みませんでしたので、相当な量が入ったと思われました。
「へへへっアリスの蜜……」
「おれたちのアリス……」
「たのしみだねにいさん」
「そうだなぁ何年振りだったか」
「はやくしてよにいさん」
「へへへへへへ………」
大きく開かされた足の間。蓮が誰にも触らせなかった凛の蜜壺の奥。
そこに、シリンジの先端が無遠慮に入り込みました。
「ひっ…やめてっ…やめてぇぇぇぇ!!!!!」
ぶじゅううぅぅうぅぅぅぅううううううッッッ……
「ひぎゃああああああああ!!!!」
腹の奥が火傷しそうなほどの、何かの液体が一気に押し入り、凛は叫びました。
耳を劈くほどの酷い悲鳴の間に、双子の汚い高笑いが混ざりました。
「おや…悦んでるからと思って、少し強くしすぎちゃったかな」
苦笑いを浮かべ、凛の顔をやさしく叩きました。
「凛、凛?大丈夫?」
浅く眉間に皺を寄せた凛でしたが、目を開ける気配はありません。
蓮は頭を掻きました。きのこによって体力を回復させた凛でしたが、やっぱり人間には睡眠が大事なようです。凛のうすい胸は、規則正しく上下に動いていました。スパイダーの過酷な責めにも耐え、たった今激しい鞭打ちを受けたのです。きのこでの回復では、間に合わなかったようでした。激しい鞭で意識を失ってしまった後、そのまま眠ってしまったようです。
「しょうがないか…。起きてからまた叩いてあげよう。ああそうだ、今度は蔦で擦る約束だったよね」
凛の手足を拘束していた草を外しながら、蓮は眠ったままの凛に話し掛けます。返事はありませんでした。蓮はそのまま凛を眠らせ、起きてからまた激しい鞭打ちと、編んだ蔦を食い込ませて歩かせようと考えました。どれくらいの高さにしようか、蔦には何か塗ってやろうか…。解いた草を放り投げ、少し赤くなった手首にキスを落とします。
「ふふっ。まるで眠り姫だね。かわいいアリス」
細く白い手首に唇を押し付け、柔肌をそっと舐めました。
蓮は眠った凛を起こさないようにそっと湖から出て、蔦に塗るものを探しに出かけていきました。
凛はおかしな浮遊感にうっすらと目を覚ましました。蓮にひどく叩かれた足の間が、妙に冷えるのです。それから、自分のミルクを浴びた体はすっかり冷え切って、凛は唐突に訪れた悪寒に身震いしました。半分しか覚めていなかった意識が、シャボン玉が割れるようにぱちんと覚めたのです。
「えっ…!?」
凛は、自分の体がぐわんぐわんとバウンドしていることに気が付きました。手足はそれぞれ何かに持たれていて、自分で動かすことが出来ません。目の前には、鬱蒼と茂る森、青い空……空が、正面に見えるのです。
「にいさん…ぼく我慢できないよぉぉ…」
「もう少しだガンバれ弟よ…」
聞き覚えのある、妙にねっとりした声でした。凛の顔がみるみる青褪めていきます。
「やっ…」
凛が思わず声を出してしまいましたが、ふたりは気が付かないようです。
凛を挟むようにして、ふたりの男が凛の手足を持っていました。前の男が凛の右手と右足、後ろの男が左手と左足。男の距離が離れるほどに、凛は手足を大きく広げるような、非常に屈辱的で恥ずかしい格好です。洗ってもらい、叩いてもらい、舐めてもらった凛の足の間は、大きく開かれたままどこかへ運ばれている最中でした。
「やっ…!放して!」
危機的状況は、思ったよりも深刻そうでした。凛は必死に暴れますが、たった今眠りから覚めたばかりのからだはまるでいうことを聞かず、びくともしません。男たちには凛の声が聞こえていないようでした。
「放して!やめて!」
がっちりと、まるで荷物のように持たれた手足を必死にばたつかせて抵抗しますが、本当に、ぴくりとも動かせないのです。恐ろしい力の差に、凛はみるみる青褪めていきました。
「ねえお願い!放して!放せ!」
どれだけ暴れようとも、凛は抜け出すことができません。ふと視界に入った後ろの男の顔を見て、凛は目の前が真っ暗になりました。
男たちは、凛が初めてこの森に入った時に出会った、気味の悪い双子でした。
荷物のように運ばれた凛が連れてこられたのは、可哀想なほどに朽ちたあばら家でした。悲鳴みたいな音を立てる蝶番に、双子たちは関心を寄せません。部屋の中は薄暗く、妙に甘い匂いがしました。
「ひっ…やめて…」
凛は泣きながら懇願しましたが、双子はやっぱり返事をしません。本当に聞こえていないのでしょうか。いいえ、双子は会話をしているのです。耳が聞こえていないはずはありませんでした。
「僕が準備をするよ」
「ああ頼むよ」
それだけ言うと、こっちの男──恐らく弟のほう──は、凛を乱暴にテーブルの上に乗せました。
「いやっ痛い!」
加減も気遣いもなく乱暴に落とされたテーブルはささくれ立ち、何も纏っていない凛の柔肌を僅かに刺しました。
慌ててテーブルから下りようとする凛に、男が立ちふさがります。歪んだ笑顔に、涎を垂らしていました。
「ひっ…」
恐怖で足が竦みます。しかし、そんなことを言っている場合ではないのです。早く逃げなければ、ひどいことになる…。壁に掛けられた棘付きの鞭や、拷問用かと思われる巨大なシリンジ、足元には無残な姿で転がる無数の注射器に、手錠、何かの歯車……。凛は奥歯を鳴らして震えあがりました。
男は歪んだ笑顔を浮かべたまま、凛を乱暴にテーブルへ縫い付けました。
「きゃあっ!」
ゴン、と音がして、凛は今しがた自分がテーブルに頭をぶつけたと理解するのに、少し時間がかかりました。男の歪んだ笑顔が、自分の鼻先にあるのです。
がたがたと震える凛は、思うように体を動かせませんでした。
男はそのまま古い縄を見せつけ、恐怖で動けない凛の体をテーブルに括りつけました。勿論凛は抵抗しましたが、なんだか頭がくらくらして、視界がぼやけてしまうのです。天井の梁も真っ直ぐには見えないほどでした。
「にいさん、できたよ」
「おう」
凛は顔を青くして奥歯を震わせることしかできませんでした。なにができたのか…何をされるのか。綺麗な雫がぽたぽたと床を濡らしました。
「ひぐっ…やだっ…」
ぽろぽろ流れる凛の涙を気遣う人はいません。おしりを半分ほど落としたまま、テーブルの四隅に手足を結ばれ、凛は双子にすべてを晒すような体勢にさせられてしまったのです。
「よしよし、これでいい」
兄と思しき男が、あの巨大なシリンジを手にして笑いました。ほぼ天井しか見えない凛は、なにをされるのか全く予想できません。
「ひどいなぁにいさんは」
「優しいと言ってくれよ。おれの気遣いさ」
じゅううううぅぅうぅ……
酷い音を鳴らして、シリンジが何かを吸い上げます。音は暫く止みませんでしたので、相当な量が入ったと思われました。
「へへへっアリスの蜜……」
「おれたちのアリス……」
「たのしみだねにいさん」
「そうだなぁ何年振りだったか」
「はやくしてよにいさん」
「へへへへへへ………」
大きく開かされた足の間。蓮が誰にも触らせなかった凛の蜜壺の奥。
そこに、シリンジの先端が無遠慮に入り込みました。
「ひっ…やめてっ…やめてぇぇぇぇ!!!!!」
ぶじゅううぅぅうぅぅぅぅううううううッッッ……
「ひぎゃああああああああ!!!!」
腹の奥が火傷しそうなほどの、何かの液体が一気に押し入り、凛は叫びました。
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