アリスと女王

ちな

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あまいミルクと、あまい視線

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少し驚いたような表情を見せた蓮は、次の瞬間には穏やかな笑みを浮かべます。
「どうしたの、そんな不安そうな顔して」
ザバザバと音を立てて水を掻き分ける蓮は、まっすぐに凛のそばまでやってきました。
凛は、途端に体の内側から滾る熱を、蜜として溢れさせました。
「僕はここにいるよ」
みるみるあかくなっていく頬に指を這わせると、そのまま軽く口付けてやります。ほお、と息を吐く凛は、蓮のシャツを指で握りました。
「うんっ…」
心の奥がくすぐったくて、あったかくて、恥ずかしくて嬉しい感情をどう表現したらいいのか分からないのです。恋を知ったばかりの凛は、これが精一杯でした。
そんな凛の心情を知ってか知らずか、まだ白い泡を残した肩をやさしく撫でてやりました。水を掛けて泡を全て流してやると、凛はうっとりと目を細めます。まだ羞恥心を消し去ることはできませんが、これだけ蓮の目に素肌を晒してきた凛は、少しずつ慣れてきたようにも見えました。
「見て、これを探していたんだ」
蓮の指に、銀色の長い針がありました。
一瞬肩を跳ねさせて、綺麗な目の奥に僅かな恐怖を滲ませた凛に、蓮はやさしく微笑んでやります。
「心配しなくてもいいよ。これはね、凛のかわいそうな乳首の糸を取ってあげるためのものだよ」
鋭い切っ先が太陽に反射して、銀の光を放ちます。蓮は、これは薔薇の棘だと説明しました。
「見た目よりもずっと強い針でね。ちょっとやそっとじゃ折れたりしないよ。ああ、勿論動かないで。凛が怪我をするといけないから」
繊細と感じるほど細い針で、一体どうやって糸を取ると言うのでしょう。凛は首を傾げたまま、魚たちの尾鰭に身を捩りました。
「これはね、こうやって」
「あっ…!」
凛の柔らかな乳房をぐっと持ち上げ、長い銀色の針を乳首に近付けました。大丈夫だと言われてはいますが、僅かな恐怖は払拭しきれません。凛は身を固くして針の行方を見守っていました。
ぷっくりとふくらむ乳首に、針の先が僅かに触れました。瞬間、頭の先まで電気が駆け抜けていったような感覚に、凛はシャツを握る手を更にぎゅっと握り込みました。
「んっ…!」
ふっと蓮の口元が綻びます。わざとでしょうと視線で訴える凛に、蓮は悪戯っぽく笑いました。
そんなささやかな恋人の触れ合いのようなものは、異常な格好をしているとはいえ、凛にとってこの上なく幸せでした。
「少しきついけど、がんばってね」
蓮が針を、きつく結ばれた乳首に向けます。凛は体を硬直させました。
針は寸分狂いなく、絡まる1本の糸を掬い上げます。ただでさえこのまま切れてしまうのではないかというほどきつく締め上げていますから、細い糸とはいえ、その分だけまた締まりました。
「ひっいいっ!」
蓮のシャツをぎゅうぎゅうに握り締め、凛はかたく目を瞑りました。きゅっと締められるほどに、蜜がとろりと水に溶けていきます。喜んだのは、魚たちでした。とろとろと増えていく極上のご馳走に、踊るように凛の足の間を往復するのです。大きな口を開け、水ごと飲み込む魚たちは、しばしばぶつかり合いました。大きな尾鰭や背鰭が凛の肌に触れる度、ぴくぴくと震えます。
蓮が目の前にいるだけで…。カッと熱くなった体に、凛が一番驚きました。はっきりと認識してしまったせいで、自分の乳房を掴み、乳首をまじまじみられていることが、堪らなく恥ずかしくて、たまらなく気持ちいいのです。背鰭や尾鰭は、引き起こされた官能を助長させるスパイスみたいなものです。きゅっと引き上げられる糸に乳首が締まり、そろそろと肌を撫でる尾鰭に背中を震わせました。
「あっ…ああっ…」
針に通した糸がキリキリと引き上げられ、乳首の先端を引っ掻きます。そうして一輪が外れると、凛はほおっと息を吐き出しました。
「取れたよ。あとはぐるぐる巻きになったのを外していけばいい」
蓮は針を手の中に隠し、緩んだ糸を掴みました。
スパイダーの糸は粘着性が高く、糸同士が糊付けされたようになっています。
すなわち、乳首にもぺったりと張り付いているのです。
「ああっああっ!れんっ」
ちりちりと薄い皮膚を剥がされているように、糸が魅かれる度に乳首がふるふると震えます。蓮のシャツを握ったまま、凛は喉を反らせました。
「ふふっ。気持ちいいね?」
乳首にはゆっくりゆっくり血が廻り、ジンジンと痺れるようでした。魚が足の間にいるせいで、膝を擦り合わすことも出来ない凛は、とろとろととめどなく蜜を溢れさせました。
目に見えて元気になってきた魚たちは、より一層激しく泳ぎ回ります。渋滞している足の間は、尾鰭が通過していきました。
「ああっ!」
丁度、媚肉の割れ目を寸分狂いなく通って言った背鰭に、凛は爪先立って抵抗します。見逃さなかった蓮は、残り2巻きになった糸を一気に引っ張りました。
「っっひぎゃあああっ!!!」
びくびくっと凛が腰を震わせると、今度は乳首の先に、あの銀の針を押し付けました。
「気持ちいいの?乳首イきができたのかな」
ぐっと押し付けられる針に、凛は恐怖で動けません。あと少しちからを込めれば、ぷつりと皮膚を突き破りかねません。乳首の先に電気でも当てられたかのように、ちりちりとした感覚は、凛の蜜にダイレクトに影響しました。
「これから凛にザーメン浣腸してあげるよ。だから、こっちの糸も取らなきゃ、凛のおっぱい破裂しちゃうかもしれないね」
ひくんと凛が反応しました。蓮は約束をきちんと覚えていたのです。証拠に、草むらの影には青いきのこが山のように用意されていました。
凛のちいさな菊門がひくひくと返事をします。恥ずかしい格好をさせられ、とんでもない羞恥の中で絶頂した悦びを、はっきりと覚えているのです。
「さ、こっちも取るからね」
蓮が手に持つ針が、反対側の乳首の先にちくりと刺さりました。
「あっ!」
「あははっ。針責めが気に入ったのかな。凛のかわいいクリトリスも、これでチクチクしてあげようかな」
おしりがきゅっと締まりました。想像だけで、凛は蜜を垂れ流すのです。魚たちが雀躍して、凛の足の間という極楽を我先にと取り合いました。
喉の奥で笑う蓮に、凛は顔を真っ赤にして抗議します。しかし、事実は目に見えているのです。それがたまらなく恥ずかしくて、消え入りたいほどでした。
「ごめんごめん。そんなに怒らないでよ」
まだ笑いが冷めやらない蓮は、前触れなく乳首の糸に針を引っ掛けました。
「あっ!」
ぎゅっと締め上げられ、凛が爪先立ちます。きりきりと締め上げられる感覚は、いつまで経っても慣れることはありませんでした。
先に取った糸と同じく、きつい糸は乳首を撫でるように引っ掻き、最初の輪が外れていきました。
ふと思い立った蓮は、そのまま糸を取り外すことなく、ぷっくりと勃起した乳首に唇を寄せました。
「ふっああっ蓮!」
少し緩まったことで、乳房に溜まっていた甘いミルクがじんわりと滲みました。蓮はその甘いミルクを、舌いっぱいに使って舐め上げました。
ぷるぷるの幼い乳首は、蓮の舌に喜んで、一生懸命ミルクを分泌しようとどくどくと脈打ちます。しかし、2本分のきのこでは、これが限界でした。
「ん。あまい」
最後にちゅ、と吸ってやり、蓮は満足そうに笑います。恥ずかしさと嬉しさで、林檎みたいに真っ赤になった頬を、凛が隠すように覆いました。その仕草があまりにも可愛らしく、蓮はもう一度ぷっくりと赤く色づいた乳首に唇を寄せました。
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