アリスと女王

ちな

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あわあわ

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こんな格好恥ずかしい、と凛が抗議の声をあげる前に、蓮の足が湖に到着しました。疲れ切ってぐったりとしていた上、草むらに寝転んでいた凛です。そこが湖のほとりだと気が付かなかったのでした。
「蓮、わたしひとりで洗えるよ」
柔らかな草の上に下ろされた凛は、細い腕で身を隠します。勿論、細い腕で全てを隠すことはできないので、膝を立てて身を小さくして、一生懸命隠しているのです。ほとんど無駄な抵抗に、蓮は笑いました。
「いいよ、僕が洗ってあげる。頑張ったご褒美だよ」
まな板の上の鯉…。蓮はそんな言葉がよぎりましたが、目の前の少女を見て、鯉よりウサギのほうが似合う、なんて思うのでした。
あれだけのことをされ、目の前に晒されていたというのに、凛はやっぱり羞恥に顔を染めるのです。
「凛は、いったい何時堕ちてくれるんだろうね」
「え?なにか言った?」
「ひとりごと。それより、もっとこっちへおいで」
ぼそりと呟いた蓮の声は、凛に正しく伝わりませんでした。顔を染めながらも一生懸命蓮に目を合わせようと顔を上げる仕草さえ、蓮には可愛らしく映りました。

蓮はまず、湖のほとりに生えた大きな葉を2枚ちぎりました。1枚には、太陽の光を目いっぱい反射させた透明の水を汲みます。
もう1枚には、真っ白い花を乗せました。百合に似た華憐な花の花粉を丁寧に葉っぱへ落とすと、そこへ水を数滴垂らします。黄色い花粉と数滴の水を指の先で捏ねてやると、数秒も経たないうちにモコモコの泡ができあがりました。
まるで目の前で魔法でも見せられているように、凛は目を真ん丸くして蓮の手の中を見つめます。蓮が指の腹と手のひらを器用に使って泡立てているのを、じっと見つめていました。
「さ、一度からだを流そう。色んなものがべたべたしてるでしょ」
色んなもの、の中には、勿論蓮の精液も含まれています。一気に顔を真っ赤にした凛は、自分で湖へ飛び込みました。
湖の水は冷たいとばかり思っていましたが、水というよりぬるま湯のようです。深さも、小柄な凛が立って、腰ほどまでです。あまり奥まで行かなければ溺れる心配はありません。地面も岩が多いようで、歩いても泥を巻き上げることはありませんでした。透明な水はきらきらと太陽の光に喜び、凛を包み込んでいるようです。宝石みたいな輝きは、少女のこころを深く慰めました。
それに、この森に来て初めて体を清めることが出来ることに、凛はほっと息を吐き出しました。お風呂とまでは行きませんが、それでも十分でした。
もこもこと泡を作り続ける蓮の背中を見ながら、凛は湖の中にしゃがみこみ、肩まで浸かって手のひらで体を擦りました。ぬるぬるとした液体が、透明な湖の中に溶けていきます。もしかすると、と閃いた凛は、背中を向ける蓮に隠れるようにして乳首に指を伸ばしました。
「っ…ん、」
ぱんぱんに張った乳房が、苦しいのです。糸で縛られた乳首を開放したくて、糸に爪を掛けました。
ところが、いくら引っ掻いても全く外れそうにありません。それどころか敏感になりすぎた乳首がジンジンと反応してしまい、余計に勃起を促してしまいます。じわりと熱いミルクが滲み、すぐさま湖に溶けていきました。
「っは…あぅ…!」
かりかり。爪で糸を引っ掻き、声を殺します。2本分のきのこは、ミルク数滴分です。でも、もしかすると…こんなにぱんぱんに張っているから、あの時みたいにあついミルクが噴射するかも…。
乳首の先からミルクを噴射したときの感覚を思い出して、体が火照ってきてしまいました。あまい蜜は、水と混じり合っていきます。
「ひとりで気持ちよくなっているのかな」
背中を向けたままの蓮が、笑いながら凛に言いました。ぎくりと肩を跳ねさせた凛は、ざばんと音を立てて湖に沈み込んでしまいました。
絶対聞かれていない、気が付かれていないと思っていたのです。まさかの事態に、凛はほとんど意味がない抵抗をしてみたのでした。
腕を捲って泡を作っていた蓮は笑い出し、たくさん出来た泡を葉っぱの上に乗せて、裾を捲り上げました。
「こっちにおいで。僕は別に怒ってなんかいないよ」
ざばざばと音を立て、蓮が湖に入ってきます。流石に息が続かなくなった凛が顔を上げると、目の前に手を差し出す蓮の姿がありました。
「かくれんぼは終わりだよ」
頭までぬるま湯に浸かった凛ですが、顔の方が随分熱く感じます。涼やかな顔で手を差し伸べる蓮に、火照りは加速するばかりでした。太陽の光をこれでもかと集めた蓮の金色の髪に眩暈を覚えそうです。にこりと微笑む逆光の整った顔は、凛がまだこの森に迷い込んで間もなくに見た、やさしい表情をしていました。
「お日様に当たろう。冷たくはないけど、あまり長く入っていたら風邪ひいちゃうよ」
湖の中で蹲る凛の手をやさしく取って立ち上がらせると、そのまま手を引いて岸まで歩き出しました。
状況が状況ですが、これがもしきちんと洋服を着て、こんなおかしな森でなかったら…。
おかしな妄想に、凛は激しく頭を振りました。
そうしてはたと気が付きました。
蝶もスパイダーも、蓮のいう事には決して逆らわなかったのです。それどころか蝶は恐れおののき、様付けまでしていたことを思い出しました。あの残虐なスパイダーでさえ冷や汗をだらだら流し、機嫌を伺っていました。
「…ねえ、蓮」
「うん?」
きらきらした光を撒き散らしながら振り返る蓮の目を見て、凛は一瞬足が竦みました。
聞いていいものか。ダメなような気がする。
"蓮は、いったい何者なの…?"
その一言を飲み込んで、凛は何でもないと蚊の鳴くような声で言いました。
「そう?」
ふわっと笑いかける蓮の目の奥に、はっきりとした拒絶を見たのです。蓮の手に引かれるまま、凛は岸に上がりました。
「そこへ座っていてね。ほらこれ、花から作った泡だよ。とっても良い匂いがするでしょ」
もこもこでモチモチの泡を掬い、凛の手に乗せてやりました。摩擦か、なにか別のものを混ぜたのか。どちらか分かりませんが、その泡はほんのりと温かいのです。
「わっ…本当ね。いい匂いがする」
花に鼻を近付けた時のような、やさしくて甘い香りが鼻孔を抜けました。
凛がモチモチの感触を楽しんでいる間に、蓮はまっしろい泡を手の上にたっぷり乗せて、凛の首を包みました。
「わ…あっ」
「きもちいいでしょ。べろべろに舐められて、べったべただもんね。僕のにおいもするし」
いっそ、一生においが取れなくなるまで自分の精液を凛の全身に塗ったくってやりたい。そんな思いをかき消すように、蓮は凛の肌を丁寧に洗ってやりました。
弾力性と、なかなかへたらない泡は、凛のからだをやさしく包み込みます。首を撫でていた手を肩に滑らせ、蝶が舐った腕も丁寧に滑らせてやります。気持ちいいのか、凛はうっとりと目を閉じました。
もこもこの泡が鎖骨からぽとりと腹へ落ち、目線を落とした凛は慌てて泡を掬い取り、丘にちょこんと主張していた乳首に塗り付けました。
陽の光が燦燦と注ぐ美しい湖の岸で、凛は全裸になっていることを一瞬失念していたのです。泡で隠そうと奮闘しますが、あまりにも真っ赤に色付くそこは、白い泡からうっすらと透けていました。妙に蠱惑的なその姿に、蓮は鼻から息を吐き出しました。
「そうだよね。さっきイかせてあげなかったし、乳首が苦しいよね」
泡を掻き分けて、悪戯な蓮の指があかい果実を見つけ出します。きりきりと締め上げられて悲鳴を上げる果実は、蓮の指に驚き、悦びました。
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