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トリプルゲーム
トリプルゲーム2
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他の女生徒が見守る中、船は出航する。
輝李は、背後で瀾が佇む中、船の上から見送りに来た女生徒に万遍の笑顔で手を振ると、与えられた自分達の部屋へと向っていった。
「わぁ♪さすがに凄いなぁ。
外観だけの虚仮威しかと思ったけど、意外としっかりしてるじゃない」
感心しながら輝李が荷物を置くと瀾は、雑誌で見た高級ホテルを思わせる造りに、更に唖然とした。
恐る恐る一通り部屋の配置を確認する。
メインのリビング、ベッドルームにはダブルベッドが二つ、バーカウンター、バスルーム。
そして、ウォークインクローゼット。
瀾は、輝李に聞きにくそうに口を開く。
「あ…あの…こ、このお部屋も普通…なんでしょうか?」
「え?んん~。
これは普通…って言うかスイートルーム…かな。
まぁ、皆がこんな部屋かは解らないけど、少なくともゲストはそうなのかもね」
「…ゲストって?」
輝李は、学院の廊下に貼ってあった合宿のチラシを瀾に渡した。
期限は1週間…
「輝李さんの名前…」
「そうみたいだね。
まぁ、皆が来てるかどうかは解らないけどね。
リストアップされているゲストは任意制で不参加も可能みたいだから」
「ぁ…、だから、輝李さんには沢山の見送りの方が来ていたんですね…」
俯いてシュンとしている瀾に、輝李は横目でクスリと笑うと少女の腰を両手で抱き寄せ額をコツンと重ね、上目遣いに微笑んだ。
「もしかして、妬いちゃった?」
「……///」
「あんなの社交辞令だよ」
「でも…輝李さん…笑ってた…」
「クス…瀾ちゃんは、あんな作りものの笑顔で僕に笑っていてほしいの?」
瀾は、小さく首を横に振ると、輝李はまた優しく囁く。
「クス、いい子だ♪
大切じゃなければ同じ部屋になんてしないよ」
「…本当?」
「僕が嘘ついたことある?」
また瀾が首を振ると、二人の唇はそっと旅行へのスタートラインをきった。
瀾にとって、こんな高級な部屋で重ねる唇は、新鮮さにドキドキと胸の昂揚すら誘う。
暫くの間、抱き合っていた二人だったが、やがて輝李が口を開く。
「ねぇ…瀾ちゃん、少し船内を見て回ろうか?
プチデートしよ♪」
「はい///」
二人は、部屋を出て船内を散歩に出掛けてゆく。
輝李達がデッキに出ると、まだ人は疎らで、人ごみが苦手な瀾にとっては、何となく落ち着ける雰囲気だった。
瀾の手を引き、手摺り側へやってくると海を見つめる。
「今は、どの辺りなんだろうね」
「ええ」
「あ、ねぇねぇ見て!魚が跳ねてるよ!!」
輝李がハイテンションで指差す先には、小さく魚達が跳ねている。
思わず瀾も歓喜の声をあげた。
「わぁ♪あれ、なんて魚なんでしょうね」
「ここからじゃ、あんまりよく見えな…」
言葉をつきながら横目でチラリと廊下側を見ると、乙が神流と共に曲がって行くのが一瞬見えた。
思わず、輝李は言葉を止めて心の中でほくそ笑む。
『…見つけた…
やっぱり来ていたんだね…乙』
「輝李さん?」
「え?」
不意な瀾の声に我に変えると笑顔を向ける。
「どうかしたんですか?」
「ううん、何でもないよ♪
瀾ちゃんと旅行なんて嬉しくって、ついボウーっとしちゃった」
輝李が瀾を背後から抱き締めると、途端に瀾は赤くなる。
「フフ…瀾ちゃん、可愛い…」
「輝李さん…///」
しばらく二人は海を眺めて、そのバカンスを楽しんだのだった。
輝李は、背後で瀾が佇む中、船の上から見送りに来た女生徒に万遍の笑顔で手を振ると、与えられた自分達の部屋へと向っていった。
「わぁ♪さすがに凄いなぁ。
外観だけの虚仮威しかと思ったけど、意外としっかりしてるじゃない」
感心しながら輝李が荷物を置くと瀾は、雑誌で見た高級ホテルを思わせる造りに、更に唖然とした。
恐る恐る一通り部屋の配置を確認する。
メインのリビング、ベッドルームにはダブルベッドが二つ、バーカウンター、バスルーム。
そして、ウォークインクローゼット。
瀾は、輝李に聞きにくそうに口を開く。
「あ…あの…こ、このお部屋も普通…なんでしょうか?」
「え?んん~。
これは普通…って言うかスイートルーム…かな。
まぁ、皆がこんな部屋かは解らないけど、少なくともゲストはそうなのかもね」
「…ゲストって?」
輝李は、学院の廊下に貼ってあった合宿のチラシを瀾に渡した。
期限は1週間…
「輝李さんの名前…」
「そうみたいだね。
まぁ、皆が来てるかどうかは解らないけどね。
リストアップされているゲストは任意制で不参加も可能みたいだから」
「ぁ…、だから、輝李さんには沢山の見送りの方が来ていたんですね…」
俯いてシュンとしている瀾に、輝李は横目でクスリと笑うと少女の腰を両手で抱き寄せ額をコツンと重ね、上目遣いに微笑んだ。
「もしかして、妬いちゃった?」
「……///」
「あんなの社交辞令だよ」
「でも…輝李さん…笑ってた…」
「クス…瀾ちゃんは、あんな作りものの笑顔で僕に笑っていてほしいの?」
瀾は、小さく首を横に振ると、輝李はまた優しく囁く。
「クス、いい子だ♪
大切じゃなければ同じ部屋になんてしないよ」
「…本当?」
「僕が嘘ついたことある?」
また瀾が首を振ると、二人の唇はそっと旅行へのスタートラインをきった。
瀾にとって、こんな高級な部屋で重ねる唇は、新鮮さにドキドキと胸の昂揚すら誘う。
暫くの間、抱き合っていた二人だったが、やがて輝李が口を開く。
「ねぇ…瀾ちゃん、少し船内を見て回ろうか?
プチデートしよ♪」
「はい///」
二人は、部屋を出て船内を散歩に出掛けてゆく。
輝李達がデッキに出ると、まだ人は疎らで、人ごみが苦手な瀾にとっては、何となく落ち着ける雰囲気だった。
瀾の手を引き、手摺り側へやってくると海を見つめる。
「今は、どの辺りなんだろうね」
「ええ」
「あ、ねぇねぇ見て!魚が跳ねてるよ!!」
輝李がハイテンションで指差す先には、小さく魚達が跳ねている。
思わず瀾も歓喜の声をあげた。
「わぁ♪あれ、なんて魚なんでしょうね」
「ここからじゃ、あんまりよく見えな…」
言葉をつきながら横目でチラリと廊下側を見ると、乙が神流と共に曲がって行くのが一瞬見えた。
思わず、輝李は言葉を止めて心の中でほくそ笑む。
『…見つけた…
やっぱり来ていたんだね…乙』
「輝李さん?」
「え?」
不意な瀾の声に我に変えると笑顔を向ける。
「どうかしたんですか?」
「ううん、何でもないよ♪
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「フフ…瀾ちゃん、可愛い…」
「輝李さん…///」
しばらく二人は海を眺めて、そのバカンスを楽しんだのだった。
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小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
YouTubeにてボイスドラマ公開中!!
★アールグレイの月夜(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
★アールグレイの昼下がり(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
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