【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

トラップチャンス

トラップチャンス3

翌日、瀾なみが目を覚ますと目の前の輝李の顔に飛び起きた。

｢きゃ!!輝李さん？｣
｢おはよう、瀾ちゃん｣
｢私…ここは輝李さんの部屋…!!｣

輝李の読みは当たった。
やはり瀾は昨晩の事を憶えてはいないらしい。

｢ｸｽｸｽ…昨日、瀾ちゃんはトイレに起きて、その後、僕の部屋にやってきたんだよ｣
｢わ、私寝呆けてそんな事を///
ごめんなさい!!//｣
｢どうして？僕は嬉しかったけどな♪
瀾ちゃんの寝顔もバッチリ見れたしね♪｣
｢…輝李さん///｣

瀾は、恥ずかしそうにモジモジと輝李のパジャマの裾をちょこんと掴んだ。

｢ん？どうしたの？｣

その言葉に瀾は頬を桜色に染め、静かに目を閉じると輝李はクスリと微笑み瀾と唇を重ねる。

朝食を済ませると輝李は学院に向かう為、支度をした。
瀾にとっては、この時間が一番寂しかった。

｢瀾ちゃん、ゴメンね…。
なるべく早く帰ってくるから。
もう少しで単位が全部取れるから、そしたらまたずっと一緒に居れるからね｣
｢単位？授業は決まっているんじゃないんですか？｣
｢ん、多少はね。
でも必要な単位はもう取り終えそうなんだ。
うちは学年は決っているけど単位制だから。
瀾ちゃんが入院している時に、ある程度は取ってしまったんだ。
少しでも一緒に居たくて♪｣

瀾は輝李にポフンと抱きつくと、小さな声で言った。

｢…いい子にして…待ってる…//
だから、早く帰って来て…///｣
｢ｸｽ、勿論♪｣

輝李は瀾に優しくキスをすると、頭を撫でてマンションを出ていった。

学院の授業を終えると、輝李は由佳を連れ、マンションに帰ってきた。

｢瀾ちゃん、ただいまぁ｣
｢輝李さん♪…あ…｣

輝李の帰りを待ちわびていた瀾は、嬉しさのあまりペットのように駆け寄ったが、輝李の後ろから現れた由佳に度惑い、顔色を曇らせた。

瀾から見る由佳はスーツを着こなす大人の女性、しかもその容姿は自分と比べ物にならない程、美しく映った。

｢瀾ちゃん、紹介するね。
佐伯 由佳、僕が留守の間、君の家庭教師をしてくれる｣
｢家庭…教師？｣
｢そう♪瀾ちゃん、僕と同じ学院に行ってみる気ない？
いつも１人で居るのも寂しいでしょ？
それに本来、瀾ちゃんの年なら高校に行く権利があるんだ。
瀾ちゃんは身寄りがなかったから家庭の事情で高校には行っていなかった。
でも、今なら行ける｣
｢でも…｣
｢学費なら心配しないで、僕が何とかする。｣

瀾は俯き困惑していた。