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悪魔の真珠

悪魔の真珠4

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輝李きりなみをベッドに押し倒し、手首をしっかりと片手で押さえ、携帯をスピーカー設定にし、少し長く呼び出すと電話に出たのは見知らぬ少女の声だった。

「もしもし?
乙お姉さまと私の邪魔しないで下さい!!」

プツッ…
ツ・ツ──…ツ──…

それだけ言うと電話は切れてしまった。

『やっぱり遊びか…
…可愛そうな
でも…確かめなきゃいけない。
もし、きのとが本当にこの子の事を想うなら…。
はある…』

輝李きりは、それを聞くと心とは逆にさも楽しげに怪しくニヤリと笑う。

「クスクス…【GAME OVER】だ」
「…ああ…あ…」
「残念だったね」

パチリと携帯を閉じるとガラリと妖艶と冷徹な表情に変え、静かに囁いた。

「…続き…やろうか…」
「…い…ぃゃ…」

なみの顔は恐怖と戦慄に満ちた。
輝李きりの表情と声に血の気が引く限界を超え、ガタガタと震えている。
そんな瀾に輝李は追い打ちを掛けた。
最悪で残酷な…

「そんなに乙が好き?なんなら…」

輝李の声が、ガラッとトーンダウンしてきのとの声でこう言った。

「お望み通りで抱いてやるよ」
「…あ・ああ…
イヤ゙ア゙ァア゙ア!!!!!!」

なみは目を見開き、断末魔の叫びを部屋中に響かせた。

『…ゴメンね…、瀾ちゃん…
でも…こうするしかないだ…』



…事を一通り済ませると、その後、輝李きりは気を失っているなみの手足を縛り、今自分が生活をしている別宅へと運んだ。

「この部屋が良いかな…」

輝李きりなみきのとの再会に選んだ部屋、それは以前、瀾と乙がお忍びで愛を育み、たった1日だけ甘い恋人生活を満喫した部屋だった。※1


そうとは知らず、一糸纏わぬなみを大きな椅子に座らせ瀾の耳元まで顔を近付けると小さく囁いた。

「…瀾…起きろ…」

その声を聴くと微かに反応する。

「乙…さ・ま…、乙様!!」

不意にきのとの声になみは、目の前の人物に抱きついた。

「…瀾」
「乙様!!私…ヒック…私!!」

相手の胸の中で泣きじゃくるなみは、そっと抱き締められた。
そして…聴いたのだ…。
…乙の声を…

「…まだ、お前の悪夢は終わっちゃいない…」
「!!!!」

なみは後退り目の前の人物を見ると腰を砕かせた。
瀾が見たもの。
それは…

無造作にセットされた髪…
その立ち振る舞い…
声だけではなく容姿まできのとにそっくりな人間がいる。
だが、何かが決定的に違うのだ。
何処か冷たい幼さを残す面影の雰囲気。
クールながらも乙にはない…
輝李きりの演じる男性的な大人の雰囲気が漂っていたからた。



「自己紹介がまだだったね。
僕は月影つきかげ 輝李きり
きのとの双子の妹だ。
こっちの格好の方が燃えるだろ?
野中のなか なみ
「…あ…そんな…」

ゆっくり、しゃがむとニヤリと口元を上げ輝李は続けた。

「俺を愛してるのか?
…なら、見せてもらおうか?
お前の乙への愛がどれだけのものか【】に見せてみろ!!!」

カチカチ…カチカチ…

時計の秒針の振り子がユラリユラリと部屋を灯す蝋燭の炎と共に揺れていた…。
そこには、再びなみの悲鳴が響き渡ったのだった。

「い゙や゙ぁあ゙ぁ゙あ~!!」

床には、いつもDOLL作りに使う赤いカブセルとは違うミルク色のカプセルが一粒だけ転がった。

それはなみの涙がこぼれ落ちて固まった淡い真珠のようだった。
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