【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

Rearaine

Rearaine（リアレイン）10

輝李きりは、少し面白くなさそうにイライラと足森に命じた。

｢…約束だ、すぐに手配しろ｣
｢かしこまりました｣
｢リア…君にはもう少し付き合ってもらう｣

それだけ言うと部屋のドアへと歩きだした。
ドアのノブに手をかけると輝李は振り返り静かに嫌味っぽく、足森に告げた。

｢手配が終わったら、それをそいつに返してやれ。
【餞別】だそうだ｣

冷気にも似た冷たい瞳で、そう言うと輝李きりは部屋を出ていった。


足森は、泣いているリアレインに近付くと静かに口を開く。

｢この部屋からお出だしすることは出来ませんが、貴女が騒がないと約束してくれるなら、その手足の拘束を解きましょう｣

その口調は、意外にも優しく落ち着いたものだった。
リアレインは怯えながらも小さく頷いた。
拘束を解くと、足森は着替えと暖かい飲み物を持ってきた。
リアレインは自分のおかれている状況にポツリと口をついた。

｢あの…私、この後どうなるんでしょうか…｣
｢それは後程、説明いたします。
その前に着替えてください。
いつまでもそんな格好ではいけませんので｣
｢…はい｣

その後、足森は部屋の隅の衝立ての方へ案内した。




── その数年後…
リアレインがどうなったのかといえば…
彼女はとある大きな屋敷にいた。

｢リア!!!｣

遠くから青年の声がする。

｢どうしたんだい？｣
｢ちょっと、昔の事を思い出していたの｣
｢昔？｣
｢そう。昔、ある人に助けてもらったのよ…。
今、私がこうしていられるは、その人のおかげだから…｣
｢そっか…。
でも、無理しちゃ駄目だよ。
もう一人の体じゃないんだから｣
｢そうね、ありがとう。…あなた｣

リアレインの体には、小さな命が宿っていた。

あの後、輝李きりはリアレインをDOOLドールオークションにではなく婚約者を手配させたのだ。
確実にリアレインを幸せにする人間を…。

リアレインの首には、あの日、乙きのとから貰ったクロスが未だに下げられていた。
あの日と変わらぬまま…。




※YouTubeボイスドラマ
アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー
第二期 完。
To Be Continued…