【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

Rearaine

Rearaine（リアレイン）8

── 輝李が日本に着くと、空港で足森が待っていた。

｢お待ちしておりました｣
｢…うん。リアはどうしてる？｣
｢はい、先程連絡が入りまして。
乙きのと様と買い物を楽しんだ後、今さっきホテルに二人で入られたそうです｣
｢そう。僕たちも急いで向かおう｣

空港を出るとシルバーのレンタカーのドアを開け、足森が口を開く。

｢８エイトアンダーの車では目立ちますので、こちらをご用意致しましたが宜しかったでしょうか？｣
｢うん、用意がいいね。
さ、急ごう｣
｢はい｣

輝李きりを乗せた車は、ホテルへと急ぎ、先にいたメンバーと合流すると現状の確認をする。

｢乙は？｣
｢先ほど部屋を出ていかれたようです。
駐車場の入り口ですれ違いましたので｣
｢そう。出ていったのは乙だけなんだね？｣
｢はい｣

それを聞くと輝李きりは、ニヤリと笑いリアレインの部屋へメンバーと共に向かっていった。
部屋のドアが勢いよく開き、黒服の男達が数人入って来るとリアレインはハッとする。

｢!!!!｣

男達の後ろから、輝李が入ってくる。
栗色のサラサラのショートヘアをなびかせ輝李は不適に笑い、リアレインに向け口を開いた。

｢…やぁ、リアレイン。最後のお別れは済んだかなぁ？｣
｢月影…輝李…｣

何を考えているのか解らない。
その笑顔の瞳には凍り付くような光を放っている。

｢…あ…あぁ…そんな…｣

リアレインは、恐怖のあまり声を失う。

｢わざわざ君を迎えに来てあげたんだ。
嬉しいだろう？｣
｢どうして…ここが…｣
｢ｸｽｸｽ…。解るさ。君の事なら、【何でも】 ね。
さぁ…行こうか…リア｣

次の瞬間、輝李きりは不気味な悪魔の微笑みを浮かべ静かに言った。

｢クライアントがお待ちかねだ。
君には、まだ教える事がたっぷりあるんだから…｣
｢…ああ…き、乙…｣
｢あははははは…連れていけ!!｣
｢い、いやぁあ～!!!!!｣



※１）小説『アールグレイの昼下がり ー双子の姉・乙編ー』
〔猫遊戯（ねこじゃらし）７〕とリンク