【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

Rearaine

Rearaine（リアレイン）５

乙きのとが日本に帰ってから朝食は、もちろん輝李きりとフォレストの二人だけとなった。
シーンと静まり返っている食卓に輝李が口を開く。

｢ここ２、３日、乙見ないね。
ハイスクールにも来てないみたいだし…｣
｢……ｯ｣

輝李の言葉に顔を曇らせたフォレストに、怪訝そうに聞き返す。

｢…フォル？乙の事、何か知ってるの？｣
｢……。実はな…｣

乙が帰国した事を告げると、輝李は驚きを隠せなかった。

｢日本に帰ったぁ!?
どうして教えてくれないのさ!!｣
｢…告げるなと言われてたから｣
｢どうして急に!!
まさかフォル、あの事言ってないよね…？｣
｢言うわけないだろ…｣
｢なら何でさ!!｣
｢知らないよ！おおかた今の生活に飽きたんじゃないのか？｣
｢…ごめん、疑ったりして…｣

輝李きりは少し静かに謝ると、また無言で食事を済ませ席を立った。

｢ごちそうさま。出かけてくる…｣
｢輝李!! おい、どこ行くんだよ｣

手を掴んだフォレストに、静かに答えた。

｢…仕事｣
｢…ｯ!! またあんな事をしに行くのか!!｣
｢大丈夫。スクールにはちゃんと行くから…｣
｢そういう問題じゃ…!!｣

輝李はフォレストの手を払い食堂を出ていった。

｢おい!! 輝李!!｣



Dollドールの調教を終え、ハイスクールに向かうと淋しそうにベンチに座っている少女を見つけた。

『あの子、乙の…』

ここ何日か、ああして座っては俯いて何かを考えている。

『リアレインって言ったけ？
確かペットの中じゃ一番可愛がられていたんだっけ。
乙も万更じゃなさそうだったのに置いていったんだ…』

そんな事を考えながら建物の中に入っていったが、昼休みになっても朝と変わらずベンチに座る少女の光景が目に入った。
時折ナンパをされていたが、すべて断っていた。

『へぇ…面白いじゃん。
あの子、本当に乙の事が好きなんだ…』

少しの間様子を見ていたが、やがて輝李きりはリアレインの方へと歩きだした。