【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

Rearaine

Rearaine（リアレイン）４

あの日から、しばらくたった頃。
家に帰ってきた乙きのとにフォレストは、壁に寄りかかり静かに口を開いた。

｢…本当なのか？日本に帰るってのは｣
｢…ああ｣
｢輝李きりをほったらかして、随分と身勝手なんだな…。
それは、俺が奪っても良いって事だよな？｣
｢……｣

目を伏せる乙にフォレストは、相手の襟元を掴むと声を荒げた。

｢ｸｯ!! 自分が輝李を守るだなんて大層な事を言ったわりには、守られてるのはお前じゃないかっ!!!!!
お前のせいで輝李はなぁ!!!!｣
｢…!!｣

フォレストは、ふとあの夜に輝李が言った言葉を思い出した。


〔｢お願い…鈴音りんねの事、乙には言わないで…。
真実を知ったら乙は壊れてしまう…だから…｣ 〕


｢…輝李がどうしたって？｣

輝李きりの名前を聞くと途端に乙きのとの目の色が変わったが、フォレストは、あの日、輝李が今井に連れて帰ってこられた事、鈴音の事は口には出来なかった。
スッと手を離すと力なく静かに口を開いた。

｢…ｯ…泣いてたよ…｣
｢……｣


乙が荷物を持って廊下の階段を降りてきた時、フォレストは玄関先で壁に寄りかかり待っていた。

｢輝李には、伝えないのか…｣
｢…ああ｣
｢一つだけ…教えといてやるよ。
輝李は、８エイトアンダーについたぜ…｣
｢!!!｣
｢せいぜい、目を付けられないように気を付けるんだな…。
…Good Luck!!｣

そう言うと、小さなロケットを乙に放った。
パシッっとキャッチすると、乙は空港に向かって送りの車を走らせた。




日本に向かうジェット機の中で、乙きのとがロケットを開くと中には３人が笑って写っている子供の頃の写真と今の３人写真が入っていた。

｢Good Luck…か。
変わってしまったな…俺達は…｣

乙はロケットを閉じると、静かに目を伏せた…。


【＊以降、月影 乙編は小説
『アールグレイの昼下がり ー双子の姉・乙編ー』に続く…】