【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

撫子

撫子１

フォレストの配慮で同じハイスクールに通う事になった輝李きりと乙きのと。
夕食を囲み、その話をしながら料理を口に運んでいる。

｢ってなワケで、しばらくは二人共ウチに居ろよ｣
｢フォレスト…。何か悪いな、ハイスクールの手配までしてもらって…｣
｢仕方ないだろ？いつまでも宙ぶらりんってワケにもいかないし。
一応、まだ親の保護下にいるんだからな｣
｢ああ、すまない｣

相変わらず輝李をめぐり啀み合う事はあっても、何だかんだ言って仲の良い三人は、それから一緒に出かけたり、遊んだりと充実した毎日を送っていた。

海外在住にもだいぶ慣れてきた時には、既に２年が過ぎており、輝李達は日本でいう高校一年になっていた頃だった。
それは、起こったのだ…。

｢日本からの交換留学生？｣

その日、レストランで食事をして帰りの車の中で、輝李とフォレストは、その話で盛り上がっていた。

｢そうそう!!｣
｢どんな人かなぁ？｣
｢女の子らしいぜ。な、会ってみたいだろ？｣
｢うん♪会ってみたい!!ね、乙｣

そんな二人の会話にポツリと乙が言葉をつく。

｢興味ないな｣
｢ええ～!?｣
｢ええ～!?｣

輝李きりとフォレストはお互いに両手を繋ぎ、信じられないものを見るような視線を送る。

｢…な、なんだよ？｣

若干、たじろいでいる乙きのとにフォレストが目をキラキラとさせて語りだした。

｢だってさ、だってさ!!
日本人だぞ!!大和撫子だぞ!!｣
｢…日本人なんか珍しくないだろ。
年中お前と一緒にいる俺達だって日本人だ｣

乙の言葉に輝李は、あっさり寝返ると乙の隣に座りフォレストに口を開く。

｢そうだよ!!僕達だって大和撫子だよ｣
｢ﾌｯ…｣

そう言うと輝李と乙は、フォレストに流し目を送る。

｢…いや…大和撫子ってのは、清楚で慎ましやかだって聞いたような…｣
｢ムゥッ!!フォル、それどういう意味さ!!｣
｢い、いや…だから｣

冷や汗混じりにフォレストが、そそくさと立ち去ったのは言うまでもない。