【R18】アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー

The crown of the triangular love affair

The crown of the triangular love affair６

コンコン…

不意にノックが聞こえ、ジュエルケースをベッドの台に置き、輝李きりが答えるとそっと入ってきたのは乙きのとだった。
輝李は、また疑うような少し機嫌の悪そうな顔をすると素っ気なく口を開く。

｢で？勝負はついたわけ？｣

乙は、まだ機嫌の直らなそうな輝李の態度に少し冷や汗を滲ませて困った顔をする。

｢そ、それが…決まらなくてな。
明日、輝李に決めてもらう事にした｣
｢…へぇ～…｣

輝李きりのその素っ気ない瞳でジトリと見つめられると一瞬たじろいだが、乙きのとは輝李の隣に座ると頬に優しくキスをし、ベッドにゆっくり押し倒し首元をゆっくり愛撫した。

｢何だよ。まだ俺達の事、怒ってるのか？ん？｣
｢アン…///ちょっと、乙///｣
｢じゃあ、機嫌直してくれる？｣
｢もう!!ズルいよ、こんなの//｣
｢ｸｽ、俺にしか出来ない事だろ？｣
｢バ、バカ…///｣

輝李は、乙のペースに流されるまま身を委ねていった。


輝李達がベッドで愛し合っている中、フォレストはまだ広間で微睡んでいた。
程なくして、使用人がファイルを持ってフォレストに一礼する。

｢お持ち致しました。
輝李様と乙様の留学の編入手続きが完了致しました。
フォレスト様と同じハイスクールで宜しかったでしょうか？｣
｢ああ、すまない。手間をとらせたな｣
｢いいえ、久しぶりに楽しそうにされているフォレスト様を拝見いたしました｣
｢え？｣

書類を受け取ると不思議そうにしているフォレストに使用人は続けた。

｢乙様とご一緒の時のフォレスト様は、いつもとは違うお顔をしてらっしゃるものですから｣
｢ったく、アイツいちいち俺にたてついてきやがる!!
自分が月影の人間だって事も、俺が鮎川の人間だって事も関係なく…。
…普通は自分の家名を嫌でも背負っているもんだ。
形式的な挨拶、形式的な付き合い、マニュアルに縛られて…
でも、乙は違った。
正面から俺にぶつかってくる。
ﾌｯ、面白い奴だよ…｣
｢大切なんですね、お二人の事が｣
｢ああ、そうだな…。大事だよ、とってもな…｣

フォレストは目を伏せ少し笑顔を見せるとお茶のお代わりを頼んだ。