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The crown of the triangular love affair
The crown of the triangular love affair4
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季節は、丁度夏休みということもあり、輝李と乙の二人は父がアメリカで仕事をしている二週間ほどの間、鮎川邸に滞在する事となった。
フランクな鮎川氏の計らいで、普段、勉強漬けの乙にも小さな夏休みの時間だった。
朝食を終えると毎日、鮎川邸の敷地内ではあるが三人で近くの湖で遊んだり魚釣りをしたり、花の観察をしたりと充実した生活を楽しんでいた。
唯一、輝李がらみの事以外は…。
そんなある日の事だった。
フォレストが輝李の手を引き、乙に口を開く。
「輝李は僕と湖に行くんだ!!」
勿論、その反対側には乙が輝李の手を引いていた。
「何言ってんだ!輝李は僕と花摘みに行くんだ!!」
まさに玩具を取り合う子供の風景そのままだが、間にいたのは玩具ではなく人間だ。
ギリギリと両端から引っ張られては、さすがの輝李もたまらなかった。
「痛ーい、痛いよぉ!!」
半分泣きそうになっている輝李に、乙が力を緩める事なくフォレストに言った。
「放せ!輝李が痛がってるだろ!!」
「乙が放せよ!輝李が可愛そうじゃないのか!!」
勿論、フォレストも力を緩めるどころか渡すまいと、さらに力を込めた。
「いい加減にしてよッ!!!!」
二人の腕を振りほどき大声で叫ぶと輝李は、瞳いっぱいに涙を溜めて二人に言葉を投げつけた。
「私、喧嘩ばっかりしてる乙もフォルも大嫌い!
もう湖にも花摘みにも行かない!!」
そう言うと輝李は部屋へと走って戻っていった。
呆然としながら不貞腐れ気味に、乙がフォレストに言葉を投げた。
「お前のせいだぞ…」
「お前が悪いんだろ…」
フォレストもバツが悪そうに答える。
しかし、やはり結果は火に油だった。
「何!」
「何だよ!」
「フン!!」
「フン!!」
乙とフォレストは各々、湖と花畑へ向かった。
湖では縁に座り、一人淋しく足だけ浸かりパシャパシャと水を蹴っているフォレストがいた。
「何だよ…乙の奴!
アイツのせいで輝李、怒っちゃったじゃないか」
一方、乙も花畑で手元の雑草をブチブチとちぎっては投げた。
「輝李…怒ってた…。
だいたい、アイツが邪魔するから」
湖を見つめるフォレスト。
小さく咲く花を見つめる乙。
二人の胸に刺さったのは、さっき涙ながらに投げ付けられた輝李の言葉だった…。
〔「私、喧嘩ばっかりしてる乙もフォルも大嫌い!!」〕
二人は辛そうに目を伏せ、泣かせてしまった輝李の事が頭から離れず、ため息をついたが、しばらくすると意を決したように立ち上がった。
輝李は、広間の今の時期使われる事のない暖炉のそのひんやりとした石の壁に背中をもたれ、小さく体育座りに俯いていた。
乙もフォレストも自分といるときは、いつも優しいというのに毎日何かにつけて喧嘩をする。
『何で喧嘩をするの…?』
輝李はまた涙で瞳を濡らした。
そんな時、輝李の目の前に乙とフォレストが近づいて小さく、その名を呼んだ。
「輝李…」
「輝李…」
輝李が顔をあげると、少し元気のなさげな二人が立っている。
乙はバツが悪そうに遠慮がちに口を開く。
「…悪かったよ」
次にフォレストが口を開いた。
「…もう喧嘩しないから」
「…本当?」
輝李の言葉に小さく二人は頷くと、その小さな手に握られた物を差し出した。
「…草原に咲いてた。…やるよ」
「…綺麗な石見つけたんだ。
輝李にあげるよ」
目の前の贈り物を差し出した二人の小さな王子達に輝李は、息を飲んだ。
そして、贈り物を受け取ると笑顔でこう答えたのだ。
「ありがとう♪」 ───
…と、言うのは昔の話だ。
フランクな鮎川氏の計らいで、普段、勉強漬けの乙にも小さな夏休みの時間だった。
朝食を終えると毎日、鮎川邸の敷地内ではあるが三人で近くの湖で遊んだり魚釣りをしたり、花の観察をしたりと充実した生活を楽しんでいた。
唯一、輝李がらみの事以外は…。
そんなある日の事だった。
フォレストが輝李の手を引き、乙に口を開く。
「輝李は僕と湖に行くんだ!!」
勿論、その反対側には乙が輝李の手を引いていた。
「何言ってんだ!輝李は僕と花摘みに行くんだ!!」
まさに玩具を取り合う子供の風景そのままだが、間にいたのは玩具ではなく人間だ。
ギリギリと両端から引っ張られては、さすがの輝李もたまらなかった。
「痛ーい、痛いよぉ!!」
半分泣きそうになっている輝李に、乙が力を緩める事なくフォレストに言った。
「放せ!輝李が痛がってるだろ!!」
「乙が放せよ!輝李が可愛そうじゃないのか!!」
勿論、フォレストも力を緩めるどころか渡すまいと、さらに力を込めた。
「いい加減にしてよッ!!!!」
二人の腕を振りほどき大声で叫ぶと輝李は、瞳いっぱいに涙を溜めて二人に言葉を投げつけた。
「私、喧嘩ばっかりしてる乙もフォルも大嫌い!
もう湖にも花摘みにも行かない!!」
そう言うと輝李は部屋へと走って戻っていった。
呆然としながら不貞腐れ気味に、乙がフォレストに言葉を投げた。
「お前のせいだぞ…」
「お前が悪いんだろ…」
フォレストもバツが悪そうに答える。
しかし、やはり結果は火に油だった。
「何!」
「何だよ!」
「フン!!」
「フン!!」
乙とフォレストは各々、湖と花畑へ向かった。
湖では縁に座り、一人淋しく足だけ浸かりパシャパシャと水を蹴っているフォレストがいた。
「何だよ…乙の奴!
アイツのせいで輝李、怒っちゃったじゃないか」
一方、乙も花畑で手元の雑草をブチブチとちぎっては投げた。
「輝李…怒ってた…。
だいたい、アイツが邪魔するから」
湖を見つめるフォレスト。
小さく咲く花を見つめる乙。
二人の胸に刺さったのは、さっき涙ながらに投げ付けられた輝李の言葉だった…。
〔「私、喧嘩ばっかりしてる乙もフォルも大嫌い!!」〕
二人は辛そうに目を伏せ、泣かせてしまった輝李の事が頭から離れず、ため息をついたが、しばらくすると意を決したように立ち上がった。
輝李は、広間の今の時期使われる事のない暖炉のそのひんやりとした石の壁に背中をもたれ、小さく体育座りに俯いていた。
乙もフォレストも自分といるときは、いつも優しいというのに毎日何かにつけて喧嘩をする。
『何で喧嘩をするの…?』
輝李はまた涙で瞳を濡らした。
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「輝李…」
「輝李…」
輝李が顔をあげると、少し元気のなさげな二人が立っている。
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「…本当?」
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「ありがとう♪」 ───
…と、言うのは昔の話だ。
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小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
YouTubeにてボイスドラマ公開中!!
★アールグレイの月夜(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
★アールグレイの昼下がり(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
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