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The crown of the triangular love affair
The crown of the triangular love affair3
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── あれはまだ、まだ髪の長かった輝李たちが小さな子供の頃だった。
輝李達とフォレストが初めて出会ったのは、鮎川邸でパーティーが行われた時。
「おや?輝李ちゃん」
「あ!石飛叔父様に小野崎叔父様、ごきげんよう!」
「はは、叔父様か。まだまだ僕も若いと思っていたが…(苦笑)」
「輝李ちゃんから見たら私達は充分、叔父さんだよ。なぁ?」
「そんなことありません。
私将来は、叔父様たちのような素敵な殿方と一緒になりたいと思っているんですもの♪
若い殿方では、叔父様たちのような素敵なエスコートが出来ないでしょう?」
「これは輝李ちゃんの方が一枚上手だったな♪」
「香霧美叔父様♪」
「じゃあ、輝李ちゃんは、僕たちの中では誰が一番、魅力的に見えるかな?」
「あまりレディーを困らせるものじゃないよ」
「それは私も興味があるな♪」
こんな質問にも輝李は、たじろぐことなくニッコリと笑顔を見せると子供らしくもスマートに返した。
「こんな魅力的な叔父様たちの中から一人だけなんて選べませんわ♪
まだ子供の私には、もったいなくて。
私が、いつか立派な淑女になった時、叔父様たちに相応しいレディーになっていたら、その時はエスコートしてくださいますか?」
「ははは…、輝李ちゃんは、どんどん桜子さんに似てくるなぁ。
昔、同じことを桜子さんに言われて振られたよ」
「叔父様、それは振られたのではなく叔父様が魅力的過ぎた故に、母の方が振られたのです♪」
「そう思ってくれるのかい?」
「もちろん!!…私は、母よりも魅力的になってみせますわ♪」
「ははは…それは将来楽しみだね♪」
「ではまたね、輝李ちゃん♪」
紳士たちは、立ち去りながらも嫌味たらしく、ぼそりと言葉をついた。
「末恐ろしい娘だ…」
「ああ…」
ただ一人…
「私は楽しみだよ…どんな気丈な子になるのかがね…」
小野崎氏は誰に言うでもなく、ほくそ笑みながら去って行った。
「ふぅ…若い頃、母様を玩具にしようとしたくせに…」
輝李は、去っていった紳士たちを後目に深々と溜息をつく。
紳士たちをやり過ごし、飲み物を取りに行った乙を待っていると突然、ブロンドの幼い少年に話し掛けられた。
「コンニチハ、お暇でしたら僕と踊っていただけマセんか?」
「え…」
あどけない笑顔を輝李に向け、手を差し出す。
輝李が手を取ろうとした時、乙がフルーツジュースを持って戻ってきた。
「輝李!」
「あ…乙♪」
「何してるんだ…」
輝李とフォレストの様子を見て、思わず眉間に皺が寄る。
そんな時、一人の紳士が乙に声をかけてきた。
「やぁ、乙。随分大きくなったなぁ」
「あ、叔父様」
それは、この家の主でフォレストの父の鮎川氏だった。
「おお、フォル。こんな所に居たのか。
丁度いい!紹介しよう、うちのフォレストだ。
こんな態をしているが一応うちの娘だ。
なにぶん、じゃじゃ馬でね。
二人とも仲良くしてやってくれ。
フォル、こちらは輝李と乙。
お前の従姉妹に当たる人達だ」
そういいながら鮎川氏はフォレストの頭を撫でた。
フォレストは丁寧に輝李に挨拶をし、手の甲にキスをすると乙にも手を差し出した。
「フォレスト・鮎川だ、よろしく」
「月影 乙だ、よろしく…」
自分も手を差し出し、握手をするとその腕に力が入る。
その途端、何かを悟ったフォレストは、乙を見たがお互い握手をし笑顔のまま睨み合った。
二人は、お互い本能的に悟った。
コイツはいつか自分の邪魔になる人間だと…。
二人は視線を放すことないまま、先に仕掛けてきたのはフォレストの方だった。
「輝李ちゃんとダンスを踊りたいんだ。
ぜひ、一曲踊る許可を頂けますか?」
「…ああ、構わない」
「ありがとう、礼を言うよ」
「…いや」
不適に笑う二人はやっと、握手している手を放した。
輝李に接する時のフォレストは、優しく笑顔を絶やさないあどけなく爽やかな子供で、勿論、エスコートも乙に引けをとらないものだった。
しかし、この時…
乙は気を緩める事は決してなかったのだ。
何故なら、乙に接する時のフォレストと180度違っていたからだ。
あれは、縄張りを荒らす者への威嚇の眼だった。
『とんだ猛獣だな…』
輝李達とフォレストが初めて出会ったのは、鮎川邸でパーティーが行われた時。
「おや?輝李ちゃん」
「あ!石飛叔父様に小野崎叔父様、ごきげんよう!」
「はは、叔父様か。まだまだ僕も若いと思っていたが…(苦笑)」
「輝李ちゃんから見たら私達は充分、叔父さんだよ。なぁ?」
「そんなことありません。
私将来は、叔父様たちのような素敵な殿方と一緒になりたいと思っているんですもの♪
若い殿方では、叔父様たちのような素敵なエスコートが出来ないでしょう?」
「これは輝李ちゃんの方が一枚上手だったな♪」
「香霧美叔父様♪」
「じゃあ、輝李ちゃんは、僕たちの中では誰が一番、魅力的に見えるかな?」
「あまりレディーを困らせるものじゃないよ」
「それは私も興味があるな♪」
こんな質問にも輝李は、たじろぐことなくニッコリと笑顔を見せると子供らしくもスマートに返した。
「こんな魅力的な叔父様たちの中から一人だけなんて選べませんわ♪
まだ子供の私には、もったいなくて。
私が、いつか立派な淑女になった時、叔父様たちに相応しいレディーになっていたら、その時はエスコートしてくださいますか?」
「ははは…、輝李ちゃんは、どんどん桜子さんに似てくるなぁ。
昔、同じことを桜子さんに言われて振られたよ」
「叔父様、それは振られたのではなく叔父様が魅力的過ぎた故に、母の方が振られたのです♪」
「そう思ってくれるのかい?」
「もちろん!!…私は、母よりも魅力的になってみせますわ♪」
「ははは…それは将来楽しみだね♪」
「ではまたね、輝李ちゃん♪」
紳士たちは、立ち去りながらも嫌味たらしく、ぼそりと言葉をついた。
「末恐ろしい娘だ…」
「ああ…」
ただ一人…
「私は楽しみだよ…どんな気丈な子になるのかがね…」
小野崎氏は誰に言うでもなく、ほくそ笑みながら去って行った。
「ふぅ…若い頃、母様を玩具にしようとしたくせに…」
輝李は、去っていった紳士たちを後目に深々と溜息をつく。
紳士たちをやり過ごし、飲み物を取りに行った乙を待っていると突然、ブロンドの幼い少年に話し掛けられた。
「コンニチハ、お暇でしたら僕と踊っていただけマセんか?」
「え…」
あどけない笑顔を輝李に向け、手を差し出す。
輝李が手を取ろうとした時、乙がフルーツジュースを持って戻ってきた。
「輝李!」
「あ…乙♪」
「何してるんだ…」
輝李とフォレストの様子を見て、思わず眉間に皺が寄る。
そんな時、一人の紳士が乙に声をかけてきた。
「やぁ、乙。随分大きくなったなぁ」
「あ、叔父様」
それは、この家の主でフォレストの父の鮎川氏だった。
「おお、フォル。こんな所に居たのか。
丁度いい!紹介しよう、うちのフォレストだ。
こんな態をしているが一応うちの娘だ。
なにぶん、じゃじゃ馬でね。
二人とも仲良くしてやってくれ。
フォル、こちらは輝李と乙。
お前の従姉妹に当たる人達だ」
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「フォレスト・鮎川だ、よろしく」
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二人は、お互い本能的に悟った。
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『とんだ猛獣だな…』
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小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
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https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
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https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
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