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逃亡者
逃亡者2
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屋敷を出て、通りまで出るとタクシーを拾い空港へ向い、宛て度もなくジェット機に乗り日本を離れた。
ファーストクラスのジェット機の窓を見ている乙に向けて、輝李が口を開く。
「乙…ごめんね…」
「…何が?」
「僕…勝手な事をしちゃって…。かえって乙に迷惑かけちゃった…」
乙は、俯く輝李の手をそっと握った。
「迷惑ならジェット機に乗る前に止めてるさ…」
「乙…」
「クス、気にするな」
その言葉にコツンと乙の肩に頭をもたげ、今、隣にいるその温もりを確かめるように輝李は目を細めた。
ジェット機は静かな雲の上を優雅に流れるように飛んでいる。
「少し、眠っておけよ」
「乙は?」
「俺も落ち着いたら寝るから」
「うん」
輝李が眠りに就くと、また窓の外を眺めていた。
雲の上から見る夜空は幻想的で、パール色を放つ月が二人を見守るようにジェット機を照らしていた。
しばらくすると乙は、窓のブラインドを下ろし、自分の腕を抱きしめ眠っている輝李の髪をサラリと撫でた。
『あんなに甘えん坊だった輝李が、俺のためにあの親父にたてつくなんて…。
こんなに細い身体の何処に…、やはり、血は争えないんだな』
ジェット機が目的地に着き、二人は空港のロビーへ出ると乙は、輝李に向けて口を開く。
「これからどうするんだ?」
「ん~、どうしよう…」
「そこまで考えてなかったのか?」
「だって、とっさだったし」
「ハァ…、まずは今日の寝床だな」
「一流ホテルなら、その辺に沢山あるんじゃない?」
「…安い所で良いだろ」
「嫌だよ!ちゃんとした所で泊まりたい!!」
「金はどうするんだよ。旅行じゃないんだ、いつか底を付くぞ」
そんな乙をよそに輝李は得意げに一枚のカードを取り出した。
「じゃじゃ~ん♪持ってきちゃった♪」
「…!!」
輝李が乙に得意げに見せたのは、ブラックカードだった。
乙は、半分呆れながらサッと素早く輝李からカードを奪う。
「こんなもん使ったら、すぐ足が着くだろが!
それにむやみに見せるんじゃない」
「じゃあ、どうするのさ~」
口を尖らせ不貞腐れ気味に答えたが、何か閃いたように
「あ!確かこの国にうちの別荘なかったけ?そこ行こうよ♪」
「…あのな、あそこには使用人がいるんだぞ。しかも、親父贔屓のな」
「むぅ~」
「はぁ…」
乙はまた額に手を当て、頭を抱えた。
輝李と乙が口論している頃、静かに近づく長い脚があった。
「クス、お困りのようですね。
美しいお嬢様方♪
…宜しければご案内致しましょうか?」
「!!」
そのナンパな声に輝李と乙は視線を声の主に向けた。
キリッとした眼差しにブロンドのウルフカットが印象的で、今時のファッションと少しクールな遊び人のような雰囲気を持つ人物だった。
二人と目が合うと、流し目チックにウィンクする。
「フォル~♪」
輝李は、その人物を見ると顔色を一気に変えた。
乙も思わず、その人物の名を呼んだ。
「フォレスト…」
「よう♪ただでさえJapaneseなのに、こんな所で騒いで。
お前達、目立ってるぜ♪」
輝李は、顔見知りの人物に駆け寄ると思わず嬉しそうに抱きついた。
「フォル~♪」
「クス、輝李は相変わらず甘えん坊だなぁ。
お?髪切ったのか?とっても似合ってるよ♪」
輝李の頭を撫でながらフォレストが、笑顔を向けると乙が質問を投げた。
「何でここに」
「今井さんから電話があったんだよ。
『家出の迷子が二人、こっちに来るからよろしく』ってな」
「…今井が?」
「まぁ、積もる話は車の中で。取り敢えず乗れよ」
ファーストクラスのジェット機の窓を見ている乙に向けて、輝李が口を開く。
「乙…ごめんね…」
「…何が?」
「僕…勝手な事をしちゃって…。かえって乙に迷惑かけちゃった…」
乙は、俯く輝李の手をそっと握った。
「迷惑ならジェット機に乗る前に止めてるさ…」
「乙…」
「クス、気にするな」
その言葉にコツンと乙の肩に頭をもたげ、今、隣にいるその温もりを確かめるように輝李は目を細めた。
ジェット機は静かな雲の上を優雅に流れるように飛んでいる。
「少し、眠っておけよ」
「乙は?」
「俺も落ち着いたら寝るから」
「うん」
輝李が眠りに就くと、また窓の外を眺めていた。
雲の上から見る夜空は幻想的で、パール色を放つ月が二人を見守るようにジェット機を照らしていた。
しばらくすると乙は、窓のブラインドを下ろし、自分の腕を抱きしめ眠っている輝李の髪をサラリと撫でた。
『あんなに甘えん坊だった輝李が、俺のためにあの親父にたてつくなんて…。
こんなに細い身体の何処に…、やはり、血は争えないんだな』
ジェット機が目的地に着き、二人は空港のロビーへ出ると乙は、輝李に向けて口を開く。
「これからどうするんだ?」
「ん~、どうしよう…」
「そこまで考えてなかったのか?」
「だって、とっさだったし」
「ハァ…、まずは今日の寝床だな」
「一流ホテルなら、その辺に沢山あるんじゃない?」
「…安い所で良いだろ」
「嫌だよ!ちゃんとした所で泊まりたい!!」
「金はどうするんだよ。旅行じゃないんだ、いつか底を付くぞ」
そんな乙をよそに輝李は得意げに一枚のカードを取り出した。
「じゃじゃ~ん♪持ってきちゃった♪」
「…!!」
輝李が乙に得意げに見せたのは、ブラックカードだった。
乙は、半分呆れながらサッと素早く輝李からカードを奪う。
「こんなもん使ったら、すぐ足が着くだろが!
それにむやみに見せるんじゃない」
「じゃあ、どうするのさ~」
口を尖らせ不貞腐れ気味に答えたが、何か閃いたように
「あ!確かこの国にうちの別荘なかったけ?そこ行こうよ♪」
「…あのな、あそこには使用人がいるんだぞ。しかも、親父贔屓のな」
「むぅ~」
「はぁ…」
乙はまた額に手を当て、頭を抱えた。
輝李と乙が口論している頃、静かに近づく長い脚があった。
「クス、お困りのようですね。
美しいお嬢様方♪
…宜しければご案内致しましょうか?」
「!!」
そのナンパな声に輝李と乙は視線を声の主に向けた。
キリッとした眼差しにブロンドのウルフカットが印象的で、今時のファッションと少しクールな遊び人のような雰囲気を持つ人物だった。
二人と目が合うと、流し目チックにウィンクする。
「フォル~♪」
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「フォレスト…」
「よう♪ただでさえJapaneseなのに、こんな所で騒いで。
お前達、目立ってるぜ♪」
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「フォル~♪」
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「…今井が?」
「まぁ、積もる話は車の中で。取り敢えず乗れよ」
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小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
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★アールグレイの月夜(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSUVpSKdpmNMNom6F3FWffNL
★アールグレイの昼下がり(YouTube版)
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0mziGmecVSXcYllzM7PGJbwUaHxBfz0L
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