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二恋[フタコイ]
─私は『私』を捨てて『僕』になった─8
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カチャカチャ…
微かな物音に北条が意識を取り戻すと天井は薄暗く、ここが何処なのか解らない。
起き上がろうと体を動かそうとすると頭の上で後ろ手に何かで拘束され、足も固定され動かない。
違和感に自分の体を見ると、分娩台の上で一糸纏わぬ姿で拘束されていた。
「こ、これは!!何なのっ!!」
ガチャガチャと藻掻く北条の足元の向こうから静かな声が聞こえた。
「気が付いた?…北条さん」
ペタリ…ペタリ…
「あ、貴女は!!」
「クスクス…」
暗闇から歩いてきたのは白いワンピースのネグリジェを着た、他でもない輝李だ。
「輝李さん!!これはどういう事!!」
目の前の輝李の姿に北条は思わず声を荒げた。
「クスクス…どういう事?
それはこっちが聞きたいよ…。
…北条さん…、貴女は何をしにここに来たの?
重要書類を取りに来た、なんて嘘でしょ?」
「……」
「クスクス…き・の・とぉ~…泣いてたよ?」
そう言うと後ろ手に隠していたナイフを目の前まで上げ、キラキラと鈍く光るナイフをウットリとした笑顔で見つめキスをする。
「…!!」
「またぁ、乙の泣き顔を見に来たのかなぁ?クスクス…」
そこまでナイフを見つめ笑顔で言うと輝李は、途端にガラリと表情変え、北条を殺意に満ちた眼光でギラリと睨み付ける。
「ねぇッ!!北条さんッ!!」
──殺される!!
北条は、直感的に思った。
輝李は、ゆっくり北条の脇に座り天上を仰ぎ、また話しだした。
「ちょっと調べてみたんだ。
あの書類の事…。まだ開発段階の媚薬…
スタンド・ハイって言うんだって?
それを乙の体を使って人体実験してたんだよねぇ~?
開発されたのは昨日、今日なんて最近の話じゃない」
薬が開発されたのは、数年前…
まだ母が生きている時だ。
輝李達が12歳の時、乙は急に笑わなくなり大人びた目をするようになった。
そして、北条から放たれる同じ煙草の匂い。
「ぴったり合うんだよ…。
薬が開発された時期と乙がおかしくなった時とね…。
そして…中学に入った時には既に乙は、もう私の知ってる乙じゃなくなってた…。
あれは快楽を知っている瞳…」
ギシ…
輝李は北条の顔を覗き込み、妖しく微笑んだ。
「アンタ…
実験の為に、まだ小学生だった乙を犯して処女を奪ったでしょう?
当時、その場に一緒にいた研究員が言っていたよ?
『嫌だ!止めてくれ!!』と泣いて嫌がる乙を無理矢理、犯しちゃったんだよねぇ~?
…研究の為に…
研究員達が見ている目の前で…」
微かな物音に北条が意識を取り戻すと天井は薄暗く、ここが何処なのか解らない。
起き上がろうと体を動かそうとすると頭の上で後ろ手に何かで拘束され、足も固定され動かない。
違和感に自分の体を見ると、分娩台の上で一糸纏わぬ姿で拘束されていた。
「こ、これは!!何なのっ!!」
ガチャガチャと藻掻く北条の足元の向こうから静かな声が聞こえた。
「気が付いた?…北条さん」
ペタリ…ペタリ…
「あ、貴女は!!」
「クスクス…」
暗闇から歩いてきたのは白いワンピースのネグリジェを着た、他でもない輝李だ。
「輝李さん!!これはどういう事!!」
目の前の輝李の姿に北条は思わず声を荒げた。
「クスクス…どういう事?
それはこっちが聞きたいよ…。
…北条さん…、貴女は何をしにここに来たの?
重要書類を取りに来た、なんて嘘でしょ?」
「……」
「クスクス…き・の・とぉ~…泣いてたよ?」
そう言うと後ろ手に隠していたナイフを目の前まで上げ、キラキラと鈍く光るナイフをウットリとした笑顔で見つめキスをする。
「…!!」
「またぁ、乙の泣き顔を見に来たのかなぁ?クスクス…」
そこまでナイフを見つめ笑顔で言うと輝李は、途端にガラリと表情変え、北条を殺意に満ちた眼光でギラリと睨み付ける。
「ねぇッ!!北条さんッ!!」
──殺される!!
北条は、直感的に思った。
輝李は、ゆっくり北条の脇に座り天上を仰ぎ、また話しだした。
「ちょっと調べてみたんだ。
あの書類の事…。まだ開発段階の媚薬…
スタンド・ハイって言うんだって?
それを乙の体を使って人体実験してたんだよねぇ~?
開発されたのは昨日、今日なんて最近の話じゃない」
薬が開発されたのは、数年前…
まだ母が生きている時だ。
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そして、北条から放たれる同じ煙草の匂い。
「ぴったり合うんだよ…。
薬が開発された時期と乙がおかしくなった時とね…。
そして…中学に入った時には既に乙は、もう私の知ってる乙じゃなくなってた…。
あれは快楽を知っている瞳…」
ギシ…
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「アンタ…
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当時、その場に一緒にいた研究員が言っていたよ?
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…研究の為に…
研究員達が見ている目の前で…」
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