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二恋[フタコイ]
─私は『私』を捨てて『僕』になった─7
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次の日の夜、輝李は静かに廊下にたたずんでいた。
カツカツカツ…
キビキビとヒールが廊下を歩く音が聞こえる。
渡り廊下の階段を一段一段登ってくる。
相手が最後の一段を登って来たときだった。
壁に背中を付け、寄り掛っていた輝李は静かに口を開いた。
「…北条さん」
「…?あら、輝李さん」
「…父様の秘書の貴女がどうして家に?父様は海外でしょ?
…一緒に行かないの?」
「ええ、重要書類を取りに来ましたから」
北条は動じる事無くスラリと答えた。
輝李は、書類を持つ手をスッとあげると静かに口を開く。
「…落とし物…これじゃない?」
「あら、ありがとう」
輝李は書類に手を伸ばした北条にニッコリ笑うと書類を引いた。
「北条さんに渡したい物があるんだ。
いつも父様の傍で秘書として支えてくれているお礼に♪
お茶くらい飲む時間あるでしょ?ね♪」
「ありがとう、輝李さん。
優しいのね、何かしら?」
「こっち♪」
そういうと輝李は、歩きだした。
北条も輝李に着いていく。
輝李は、口元を微かに上げると、ポツリと小さく言葉をついた。
「フ…とっても良いものを…ね…」
これが、輝李の中の悪魔が目覚めた瞬間だったのかもしれない…。
部屋に案内すると、輝李は北条に紅茶を振る舞った。
「北条さん、コーヒーの方が良かったかなぁ?」
「いいえ、お気遣いありがとう、充分よ」
「クス、良かった♪」
しばらくは、他愛のない話をしてティータイムを楽しんだ。
いつしか、北条は目をトロリとし始めた。
「どうしたのかしら?何だか…」
「体が温まったから疲れが出てきたんじゃないの?
少し休んで行ったらいいよ」
そう…、輝李が出した紅茶には睡眠薬が入っており、北条はそれを知らずに飲まされていたからだ。
「…フン…馬鹿な女…」
見下すように北条を見つめる輝李が、段々と霞んで北条の意識は薄れていった。
カツカツカツ…
キビキビとヒールが廊下を歩く音が聞こえる。
渡り廊下の階段を一段一段登ってくる。
相手が最後の一段を登って来たときだった。
壁に背中を付け、寄り掛っていた輝李は静かに口を開いた。
「…北条さん」
「…?あら、輝李さん」
「…父様の秘書の貴女がどうして家に?父様は海外でしょ?
…一緒に行かないの?」
「ええ、重要書類を取りに来ましたから」
北条は動じる事無くスラリと答えた。
輝李は、書類を持つ手をスッとあげると静かに口を開く。
「…落とし物…これじゃない?」
「あら、ありがとう」
輝李は書類に手を伸ばした北条にニッコリ笑うと書類を引いた。
「北条さんに渡したい物があるんだ。
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優しいのね、何かしら?」
「こっち♪」
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「フ…とっても良いものを…ね…」
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小説が音声と映像で流れ出す!?
厳選されたCV達がお送りする臨場感!!
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