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REFRAIN
REFRAIN8
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ジッと見つめる乙の瞳は、真っ直ぐに瀾を捕える。
「踊ろう」
意外な乙の言葉。
パーティー…てっきりこの場で、そんな雰囲気に成るのかと思っていた瀾は、その言葉に動揺を隠せずにいた。
「あ…でも、私ダンスなんて…」
「大丈夫、俺がリードする。
さぁ、おいで!!」
グイッと手を引かれ、甲板まで連れていかれると丁度12時の時計が鳴いた。
…1回…2回…3回…
…11回…12回…
瀾の脳裏に一瞬、誰かの口元と小さな言葉が流れた。
《「シンデレラみたい?」》
温かく優しい言葉。
『貴方は…誰…?』
小さな頭痛が一瞬、瀾をチクリと刺した。
甲板には、緩やかな時を刻む音楽が包んでゆく。
乙は、瀾の腰に優しく手を添えると自分のもとへ引き寄せた。
「あ…///」
小さな一歩が乙に寄り添う。
そして目の前の紳士のリードは、瀾を華麗に躍らせる。
柔らかな瞳…。
普段の乙からは、垣間見ることがない表情。
「…私…踊ってる…」
「ああ…」
「あ…///」
瀾の言葉に目の前の紳士は、微かだが柔らかに微笑んでいた。
初めて見せる乙の笑顔…。
穏やかで…包まれるような。
潮の微かな香りと乙の温かな体温に、ほのかに香る香水の調べと共に瀾の鼻孔は満たされていく。
「…ずっと、こうして踊りたかった」
「…え?」
「野中と…」
「先…輩…」
間近に見える乙の顔は、穏やかながらも少し寂しそうな印象を受けた。
「野中…」
「…はい?」
「上、見てごらん」
優しくついた乙の言葉に、瀾が空を見上げると…
その瞳に飛び込んできたのは、明かりの少ない夜空にちりばめられた満天の星達だった。
「うわぁ~…」
ため息にも似た歓喜の声は、少女の表情すら眩しく照らしだす。
「綺麗…///」
「ああ…」
くるりと回る少女は月光のスボットライトに照らされ、星達のアクセサリーを身に纏い、まるで月夜の妖精のように乙には映った。
ダンスのリズムに、また乙の元へ戻って来ると乙は瀾を抱き締めた。
「あ…///」
「野中…」
乙の頭は瀾の肩にもたれ、耳元でその声を奏でる。
「一つだけ…俺の願いを叶えてくれないか…」
「…お願い、ですか?」
「ああ…俺の名を…呼んでくれないか?
…乙と…」
キュッと抱き締められた腕の中で瀾は、小さくその名を呼んだのだった。
「…乙…さん…」
その響きに乙は暫くの間、瀾を強く抱き締めていた。
やがて肩が冷えてきた瀾を気遣い、乙は自分の部屋へと案内する。
「悪い…体が冷えてしまったな」
「いえ…」
「浴室…温めておいたから着替えて来ると良い。
今日は泊まっていけよ…。
どうせ輝李の部屋には入れないんだ…」
「ありがとう、ございます…」
瀾は、少し申し訳なさそうに目を反らすと、一礼をしてバスルームに向って行った。
ホコホコと顔を蒸気させて風呂からあがった瀾をベッドルームに案内すると、二つある内の一つを貸し与えた。
乙が、ベッドルームから出ようとすると瀾が心配そうに口を開く。
「あの…」
「…何だ?」
「ベッド、ありがとうございます」
「ああ…」
「それと…先輩は…?」
「俺は、もう少ししたら寝るから、先に休んでいるといい。
疲れただろ…」
「はい…ありがとうございます」
フッとクールな笑みを見せ、ベッドルームを出たが、乙が瀾と同じ部屋で寝る事はなかった。
メインルームのソファーに横になり、目を閉じる。
今夜は乙にとって、つかの間の幸せな夜だった。
しかし…
やはり運命は、乙に容易に安息を与えてはくれなかった…。
「踊ろう」
意外な乙の言葉。
パーティー…てっきりこの場で、そんな雰囲気に成るのかと思っていた瀾は、その言葉に動揺を隠せずにいた。
「あ…でも、私ダンスなんて…」
「大丈夫、俺がリードする。
さぁ、おいで!!」
グイッと手を引かれ、甲板まで連れていかれると丁度12時の時計が鳴いた。
…1回…2回…3回…
…11回…12回…
瀾の脳裏に一瞬、誰かの口元と小さな言葉が流れた。
《「シンデレラみたい?」》
温かく優しい言葉。
『貴方は…誰…?』
小さな頭痛が一瞬、瀾をチクリと刺した。
甲板には、緩やかな時を刻む音楽が包んでゆく。
乙は、瀾の腰に優しく手を添えると自分のもとへ引き寄せた。
「あ…///」
小さな一歩が乙に寄り添う。
そして目の前の紳士のリードは、瀾を華麗に躍らせる。
柔らかな瞳…。
普段の乙からは、垣間見ることがない表情。
「…私…踊ってる…」
「ああ…」
「あ…///」
瀾の言葉に目の前の紳士は、微かだが柔らかに微笑んでいた。
初めて見せる乙の笑顔…。
穏やかで…包まれるような。
潮の微かな香りと乙の温かな体温に、ほのかに香る香水の調べと共に瀾の鼻孔は満たされていく。
「…ずっと、こうして踊りたかった」
「…え?」
「野中と…」
「先…輩…」
間近に見える乙の顔は、穏やかながらも少し寂しそうな印象を受けた。
「野中…」
「…はい?」
「上、見てごらん」
優しくついた乙の言葉に、瀾が空を見上げると…
その瞳に飛び込んできたのは、明かりの少ない夜空にちりばめられた満天の星達だった。
「うわぁ~…」
ため息にも似た歓喜の声は、少女の表情すら眩しく照らしだす。
「綺麗…///」
「ああ…」
くるりと回る少女は月光のスボットライトに照らされ、星達のアクセサリーを身に纏い、まるで月夜の妖精のように乙には映った。
ダンスのリズムに、また乙の元へ戻って来ると乙は瀾を抱き締めた。
「あ…///」
「野中…」
乙の頭は瀾の肩にもたれ、耳元でその声を奏でる。
「一つだけ…俺の願いを叶えてくれないか…」
「…お願い、ですか?」
「ああ…俺の名を…呼んでくれないか?
…乙と…」
キュッと抱き締められた腕の中で瀾は、小さくその名を呼んだのだった。
「…乙…さん…」
その響きに乙は暫くの間、瀾を強く抱き締めていた。
やがて肩が冷えてきた瀾を気遣い、乙は自分の部屋へと案内する。
「悪い…体が冷えてしまったな」
「いえ…」
「浴室…温めておいたから着替えて来ると良い。
今日は泊まっていけよ…。
どうせ輝李の部屋には入れないんだ…」
「ありがとう、ございます…」
瀾は、少し申し訳なさそうに目を反らすと、一礼をしてバスルームに向って行った。
ホコホコと顔を蒸気させて風呂からあがった瀾をベッドルームに案内すると、二つある内の一つを貸し与えた。
乙が、ベッドルームから出ようとすると瀾が心配そうに口を開く。
「あの…」
「…何だ?」
「ベッド、ありがとうございます」
「ああ…」
「それと…先輩は…?」
「俺は、もう少ししたら寝るから、先に休んでいるといい。
疲れただろ…」
「はい…ありがとうございます」
フッとクールな笑みを見せ、ベッドルームを出たが、乙が瀾と同じ部屋で寝る事はなかった。
メインルームのソファーに横になり、目を閉じる。
今夜は乙にとって、つかの間の幸せな夜だった。
しかし…
やはり運命は、乙に容易に安息を与えてはくれなかった…。
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