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借りの代償
借りの代償
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《注意》この章は、過激すぎるMake Loveシーンがあります。
苦手な方は、この章のお話を飛ばして次の章が更新されるのをお待ち下さい。
読む場合は【自己責任】でお願します。
―――――――――――――――
翌日、乙は昨日の借りを返すため、1人で小田切 隼人の高校を訪ねて赴いた。
名前しか知らなかったが、意外も小田切 隼人の高校はアッサリ見つかった。
この界隈では小田切 隼人という人物は、かなり有名らしい。
乙はフゥと小さくため息を付くと校門から校舎に向かい歩き始める。
すると見知らぬ男子生徒が話し掛けてきた。
「おい!!うちの学校に何の用だ!!」
明らかに、乙の好む人種ではない。
しかし話し掛けられ、いつの間にか数人に囲まれていた。
「ハァ…本来ならアンタ等みたいのと話したくはないんだが…」
「何だと!!」
途端にジャケットの襟元を掴まれる。
そんな中、乙は静かに口を開く。
「小田切 隼人という人物を尋ねてきたんだ」
「隼人さんに何か用か!!!」
更に詰め寄られる。
乙は、相手の腕を掴むと素早く後ろに回り、間接を決める。
「…俺は、アンタ達に用があるわけじゃない…。
小田切 隼人は居るのか居ないのか、はっきりしてもらおうか…」
「いてててて…!!
離せ、この野郎!!」
「テメェ!!!」
「…どうした…?
俺は、こういう作法に慣れていないんでな…。
早くしないと腕が逝ってしまうぞ…」
乙の瞳が鈍く冷たく光る。
「そこまでだ」
声のする方に乙が視線を送ると、ゆっくり小田切 隼人がこちらに歩いてくる。
「……」
「隼人さん!!」
男子生徒は一斉に隼人の名を呼んだ。
不意に威嚇的な笑みと共に隼人は口を開く。
「アンタが用があるのは俺だろ?
その辺で放してやってくんないかな。
俺の大切な仲間だ」
「……」
乙は鋭い眼光を緩めることなく、しかし冷静に掴んでいた男子生徒の腕を放す。
隼人は男子生徒達に釘を刺す。
「コイツは俺の【客人】だ。
誰であろうが手を出すなよ…」
「は、はい…」
「アンタも俺の仲間には手出すな…。
月影 乙」
その言葉に乙は静かに口を開く。
「ああ…、向こうが手を出さないなら俺には関係ないし、手を出す必要もない」
「話のわかる奴で助かるよ。
こっちだ、ついて来なよ」
フッとクールに笑い、歩きだす隼人の後を乙は黙って着いていくと二人は校舎の中へ消えていった。
乙が案内されたのは、校舎の屋上の片隅にポツンと立っている小さな部室のような所だった。
大きなソファーと灰皿の散乱する決して綺麗とは言えない、少し疲れた一室。
「ここなら誰も入ってこない。
俺達専用の部屋だ」
「……」
「で?わざわざ何しに来たんだよ」
隼人の言葉に乙は静かに答えた。
「…言ったはずだ。借りは必ず返す、と」
「へぇ…、律儀なんだな」
「……。
妹の不始末…仮にもアンタを刺そうとした」
「ふん、あんな妹の為にそこまでするのか?」
「……ッ。
俺は手を出さない。好きなだけ殴ればいい…」
隼人の言葉に一瞬、辛そうな表情を見せたが、乙は何処か哀しげに隼人に視線を向けた。
「ふん、舐められたもんだな。
悪いけどアンタは殴る価値ないぜ。
アンタのその眼…。
アンタ、死ぬのが怖くないんだろ?
そんな死んでる眼をしてる奴なんか殴ったって面白くも何ともない。
逆に俺の名に傷がつくからな」
「…物心ついた時から何もかも捨てて来た俺に、今さら生きてる意味なんか…」
(『アールグレイの月夜』参照)
乙は隼人に聞こえない程の声でポツリとついた。
「…そうか、なら俺にもう用はないな」
乙が立ち去ろうとした時、隼人は静かに口を開く。
「待てよ。また逃げるのか?
借りを…返しにきたんだろ?」
「……」
隼人の言葉に振り返り、視線を送ると隼人は挑発的にニヤリと表情を変えたのだった。
苦手な方は、この章のお話を飛ばして次の章が更新されるのをお待ち下さい。
読む場合は【自己責任】でお願します。
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翌日、乙は昨日の借りを返すため、1人で小田切 隼人の高校を訪ねて赴いた。
名前しか知らなかったが、意外も小田切 隼人の高校はアッサリ見つかった。
この界隈では小田切 隼人という人物は、かなり有名らしい。
乙はフゥと小さくため息を付くと校門から校舎に向かい歩き始める。
すると見知らぬ男子生徒が話し掛けてきた。
「おい!!うちの学校に何の用だ!!」
明らかに、乙の好む人種ではない。
しかし話し掛けられ、いつの間にか数人に囲まれていた。
「ハァ…本来ならアンタ等みたいのと話したくはないんだが…」
「何だと!!」
途端にジャケットの襟元を掴まれる。
そんな中、乙は静かに口を開く。
「小田切 隼人という人物を尋ねてきたんだ」
「隼人さんに何か用か!!!」
更に詰め寄られる。
乙は、相手の腕を掴むと素早く後ろに回り、間接を決める。
「…俺は、アンタ達に用があるわけじゃない…。
小田切 隼人は居るのか居ないのか、はっきりしてもらおうか…」
「いてててて…!!
離せ、この野郎!!」
「テメェ!!!」
「…どうした…?
俺は、こういう作法に慣れていないんでな…。
早くしないと腕が逝ってしまうぞ…」
乙の瞳が鈍く冷たく光る。
「そこまでだ」
声のする方に乙が視線を送ると、ゆっくり小田切 隼人がこちらに歩いてくる。
「……」
「隼人さん!!」
男子生徒は一斉に隼人の名を呼んだ。
不意に威嚇的な笑みと共に隼人は口を開く。
「アンタが用があるのは俺だろ?
その辺で放してやってくんないかな。
俺の大切な仲間だ」
「……」
乙は鋭い眼光を緩めることなく、しかし冷静に掴んでいた男子生徒の腕を放す。
隼人は男子生徒達に釘を刺す。
「コイツは俺の【客人】だ。
誰であろうが手を出すなよ…」
「は、はい…」
「アンタも俺の仲間には手出すな…。
月影 乙」
その言葉に乙は静かに口を開く。
「ああ…、向こうが手を出さないなら俺には関係ないし、手を出す必要もない」
「話のわかる奴で助かるよ。
こっちだ、ついて来なよ」
フッとクールに笑い、歩きだす隼人の後を乙は黙って着いていくと二人は校舎の中へ消えていった。
乙が案内されたのは、校舎の屋上の片隅にポツンと立っている小さな部室のような所だった。
大きなソファーと灰皿の散乱する決して綺麗とは言えない、少し疲れた一室。
「ここなら誰も入ってこない。
俺達専用の部屋だ」
「……」
「で?わざわざ何しに来たんだよ」
隼人の言葉に乙は静かに答えた。
「…言ったはずだ。借りは必ず返す、と」
「へぇ…、律儀なんだな」
「……。
妹の不始末…仮にもアンタを刺そうとした」
「ふん、あんな妹の為にそこまでするのか?」
「……ッ。
俺は手を出さない。好きなだけ殴ればいい…」
隼人の言葉に一瞬、辛そうな表情を見せたが、乙は何処か哀しげに隼人に視線を向けた。
「ふん、舐められたもんだな。
悪いけどアンタは殴る価値ないぜ。
アンタのその眼…。
アンタ、死ぬのが怖くないんだろ?
そんな死んでる眼をしてる奴なんか殴ったって面白くも何ともない。
逆に俺の名に傷がつくからな」
「…物心ついた時から何もかも捨てて来た俺に、今さら生きてる意味なんか…」
(『アールグレイの月夜』参照)
乙は隼人に聞こえない程の声でポツリとついた。
「…そうか、なら俺にもう用はないな」
乙が立ち去ろうとした時、隼人は静かに口を開く。
「待てよ。また逃げるのか?
借りを…返しにきたんだろ?」
「……」
隼人の言葉に振り返り、視線を送ると隼人は挑発的にニヤリと表情を変えたのだった。
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