106 / 166
黄昏の古時計
黄昏の古時計6
しおりを挟む
──輝李が教室に入ると、さっそく声をかけられる。
「輝李さん、お早うございます」
「あ、おはよう」
「貴女にお客様が見えてるわよ」
「僕にお客さん?」
「ええ」
ニッコリと微笑むクラスメイトに輝李はキョトンとした顔を見せる。
「編入して間もないのに」
「あら。ご存じないかもしれないけど貴女、有名人ですのよ。
ほら、貴女のお姉様、学院の王子様ですもの」
「あぁ~…」
「貴女もお綺麗だし、結構人気ありますのよ。
隠れファンも沢山いるって聞きましたわ。
この短期間に綺麗な編入生が二人も入ってきたら嫌でも有名になりますわ」
「ふーん。取り敢えず、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい」
輝李が教室のドアに向かうと、中等部の生徒ではないかというぼどの童顔で小さな少女が、俯き加減に立っていた。
「僕に用って君?」
「あ…。あの…貴女が 月影 輝李様…ですか?」
「あ、うん」
そこにいたのは乙と一緒にいた早希だった。
『…この子、今朝の…』
輝李は、ニッコリと笑顔を見せると優しく声をかけた。
「どうしたのかな?」
「あの…」
「ん?何?」
「…ッ…」
俯く早希に輝李は少し考えると、優しく促した。
「君、後輩の子だよね?
こんな所じゃなんだし場所を変えようか。
ここじゃあ、皆もいるし話しにくいでしょ?」
「…はい。でも、もうすぐ授業も始まりますし、ご迷惑ならまたおりをみて伺います…」
「平気だよ♪君の用事の方が大切だよ。
だから来たんでしょ?」
「…ありがとうございます」
輝李の配慮に早希は、微かに笑顔を見せた。
輝李は、教室の中の少女に合図を送るとクラスメイトは了承したように笑顔を見せ、手をヒラヒラと小さく振って答えた。
その後、早希を連れて学院のカフェテリアへと移動して行った──
授業も終わり、乙の部屋で神流とレポートを書いているときだった。
ペンをクルクル回しながら神流は以前から疑問だった事をぶつけてみた。
「なぁ、乙」
「ん?」
「乙は、何でこの学院を選んだんだ?
ハイスクール形式じゃない方が楽なんじゃないのか?」
「だからだよ」
「何が?」
「俺はずっとアメリカにいた。
だから日本式だと窮屈だ」
「窮屈…ねぇ」
二人はまたレポートの続きを始めた。
レポートに目を落としたまま、またしても神流は口を開く。
「なぁ」
「…今度は何だ?」
「もう少しで夏休みだろ?
乙は、何かするのか?」
「さぁなぁ…」
「ふぅん…。じゃあ、帰らずにずっと寮にいるのか?」
「まだ決めてない」
「そっか…」
やがて、レポートも出来上がり、ティータイムを済ませ一日を終えた。
※1)小説『アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー』
〔CHAIN GAME・再会〕とリンク
「輝李さん、お早うございます」
「あ、おはよう」
「貴女にお客様が見えてるわよ」
「僕にお客さん?」
「ええ」
ニッコリと微笑むクラスメイトに輝李はキョトンとした顔を見せる。
「編入して間もないのに」
「あら。ご存じないかもしれないけど貴女、有名人ですのよ。
ほら、貴女のお姉様、学院の王子様ですもの」
「あぁ~…」
「貴女もお綺麗だし、結構人気ありますのよ。
隠れファンも沢山いるって聞きましたわ。
この短期間に綺麗な編入生が二人も入ってきたら嫌でも有名になりますわ」
「ふーん。取り敢えず、行ってくるよ。」
「行ってらっしゃい」
輝李が教室のドアに向かうと、中等部の生徒ではないかというぼどの童顔で小さな少女が、俯き加減に立っていた。
「僕に用って君?」
「あ…。あの…貴女が 月影 輝李様…ですか?」
「あ、うん」
そこにいたのは乙と一緒にいた早希だった。
『…この子、今朝の…』
輝李は、ニッコリと笑顔を見せると優しく声をかけた。
「どうしたのかな?」
「あの…」
「ん?何?」
「…ッ…」
俯く早希に輝李は少し考えると、優しく促した。
「君、後輩の子だよね?
こんな所じゃなんだし場所を変えようか。
ここじゃあ、皆もいるし話しにくいでしょ?」
「…はい。でも、もうすぐ授業も始まりますし、ご迷惑ならまたおりをみて伺います…」
「平気だよ♪君の用事の方が大切だよ。
だから来たんでしょ?」
「…ありがとうございます」
輝李の配慮に早希は、微かに笑顔を見せた。
輝李は、教室の中の少女に合図を送るとクラスメイトは了承したように笑顔を見せ、手をヒラヒラと小さく振って答えた。
その後、早希を連れて学院のカフェテリアへと移動して行った──
授業も終わり、乙の部屋で神流とレポートを書いているときだった。
ペンをクルクル回しながら神流は以前から疑問だった事をぶつけてみた。
「なぁ、乙」
「ん?」
「乙は、何でこの学院を選んだんだ?
ハイスクール形式じゃない方が楽なんじゃないのか?」
「だからだよ」
「何が?」
「俺はずっとアメリカにいた。
だから日本式だと窮屈だ」
「窮屈…ねぇ」
二人はまたレポートの続きを始めた。
レポートに目を落としたまま、またしても神流は口を開く。
「なぁ」
「…今度は何だ?」
「もう少しで夏休みだろ?
乙は、何かするのか?」
「さぁなぁ…」
「ふぅん…。じゃあ、帰らずにずっと寮にいるのか?」
「まだ決めてない」
「そっか…」
やがて、レポートも出来上がり、ティータイムを済ませ一日を終えた。
※1)小説『アールグレイの月夜 ー双子の妹・輝李編ー』
〔CHAIN GAME・再会〕とリンク
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる