上 下
87 / 166

噂2

しおりを挟む
そんな時だった。
休憩室に1人のメイドが勢い良く入ってくる。
何やらだいぶ興奮気味に息を荒くし朗報!!
とばかりに口を開いた。

「ねぇ!!大変よ!!
きのと様が帰ってくるんですって~!!」

途端に休憩室中にメイド達の黄色い悲鳴が響き渡る。
まるで学生寮の様な騒めきが辺りを埋め尽くした。

輝李きり様も帰ってくるかしら?」
「美容院行ってこようかなぁ?」
きのと様とするチャンス!!」
「きゃ~ん!!
私、乙様に抱かれたらどうなっても良い!!」
「辞めちゃった乙様のお部屋番の空席、まだ決まってないんだってえ」

物凄い騒ぎようになみ留奈るび達の新人は気後れどころか、若干引きさえしている。

「凄いな…」
「う、うん…」

こんなにまで騒がれる程の存在のきのと輝李きりという人物とは、一体どんな人なんだろうか?
なみは、そんな事を思った。
騒めきも治まる事もなく、ふと1人のメイドが口を開いたのが聞こえた。
 
「私も一晩で良いから乙様とすごしたいなぁ。
ああ~ん!!
乙様のペットになりたーい!!」
「…でもさ、ミステリアスな乙様には、タブーがあるってもっぱらの噂だよね」
「私も聞いたことある!!
タブーって何だろう?」
「それがわかれば専属になれるかも!!」
 
騒いでいたメイド達も口々に答える。

「なんでも、それをするとアッサリ捨てられるんですって」
「ああ、この間もペットの1人が、きのと様を訪ねて来てたよね?」
「そういえばさ、だいぶ前に辞めたメイド!
実は乙様のお気に入りだったって本当?」
「ああ、そんな子いたよねぇ。
輝李きり様にも色目を使ってたって話じゃない?
あんな子、辞めて当然よ!!」
「だいたいさぁ、乙様と輝李様の二股なんておこがましいわよ!!
タブーじゃなくても捨てられて当然だよ」

女の争いとは恐ろしい。
しかし、気になるのはという存在だ…。

なみは、先輩達の話から耳を避け、留奈るび達に話かけた。

「ねぇ…ペットって何の事かな?」
「いやぁね、瀾ったら。
決まってるでしょ?
のお相手のお友達の事よ」

舞緋流まひるが小声で答えた。

「アッチ?アッチって何?」

きょとんとしたなみの質問に留奈るな舞緋流まひる、かなえは、たまらずクスクスと笑いだした。
瀾は、皆のその反応に少し膨れると留奈が笑いなら答える。

「クスクス…愛人の事だよ」
「愛人?」
「そ、つまり……の事」

留奈るななみに耳打ちをした。

「セッ…!!!!」

それを聞いた瀾は途端に顔を真っ赤にして思わず口から、その単語を発しそうになった。

「何でも、結構な数の愛人がいるらしいわよ」

舞緋流まひるが口を開いた。

「いくらハンサムでも私、そういう男の人嫌い!!」
「あら、瀾は知らなかったの?
乙様と輝李様は女の人よ」
「ええ!!!!」

舞緋流まひるの言葉にさらに目を丸くして唖然とした。
かなえも考え込みながら口を開く。

「確かにあの写真だけでは女の人なんて普通、気付きませんわぁ」
「まぁ、イケメンだしねぇ。
仕方ないよなぁ」
「もう、留奈まで!!
男の人だろうが女の人だろうが、私はそういうのは嫌いだよぉ!!」

なみはまた、ぷぅと膨れっ面になる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~

takahiro
キャラ文芸
 『船魄』(せんぱく)とは、軍艦を自らの意のままに操る少女達である。船魄によって操られる艦艇、艦載機の能力は人間のそれを圧倒し、彼女達の前に人間は殲滅されるだけの存在なのだ。1944年10月に覚醒した最初の船魄、翔鶴型空母二番艦『瑞鶴』は、日本本土進攻を企てるアメリカ海軍と激闘を繰り広げ、ついに勝利を掴んだ。  しかし戦後、瑞鶴は帝国海軍を脱走し行方をくらませた。1955年、アメリカのキューバ侵攻に端を発する日米の軍事衝突の最中、瑞鶴は再び姿を現わし、帝国海軍と交戦状態に入った。瑞鶴の目的はともかくとして、船魄達を解放する戦いが始まったのである。瑞鶴が解放した重巡『妙高』『高雄』、いつの間にかいる空母『グラーフ・ツェッペリン』は『月虹』を名乗って、国家に属さない軍事力として活動を始める。だが、瑞鶴は大義やら何やらには興味がないので、利用できるものは何でも利用する。カリブ海の覇権を狙う日本・ドイツ・ソ連・アメリカの間をのらりくらりと行き交いながら、月虹は生存の道を探っていく。  登場する艦艇はなんと57隻!(2024/12/18時点)(人間のキャラは他に多数)(まだまだ増える)。人類に反旗を翻した軍艦達による、異色の艦船擬人化物語が、ここに始まる。  ――――――――――  ●本作のメインテーマは、あくまで(途中まで)史実の地球を舞台とし、そこに船魄(せんぱく)という異物を投入したらどうなるのか、です。いわゆる艦船擬人化ものですが、特に軍艦や歴史の知識がなくとも楽しめるようにしてあります。もちろん知識があった方が楽しめることは違いないですが。  ●なお軍人がたくさん出て来ますが、船魄同士の関係に踏み込むことはありません。つまり船魄達の人間関係としては百合しかありませんので、ご安心もしくはご承知おきを。かなりGLなので、もちろんがっつり性描写はないですが、苦手な方はダメかもしれません。  ●全ての船魄に挿絵ありですが、AI加筆なので雰囲気程度にお楽しみください。  ●少女たちの愛憎と謀略が絡まり合う、新感覚、リアル志向の艦船擬人化小説を是非お楽しみください。またお気に入りや感想などよろしくお願いします。  毎日一話投稿します。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...