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五章
三百六話 サルマーレの街Ⅰ
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「やっと入れたか」
結局、並びはじめて暫くはダラダラと会話で間をもたせていたが、出会ってそんなに経ってない俺とエルマーではそこまで共通の話題があるわけも無く、結局殆どの時間はイブリスとの念話という名の脳内会話で時間をつぶすことになった。
2時間も立ちっぱなしで待っていたわけで、流石に足腰が痛い。正直しゃがみ込みたい気分だったが、周りの誰も座っているやつは居ないし、子供ですら立って並んでる中で一人しゃがみ込むだけの面の皮の暑さは俺にはなかった。
色々鍛えたおかげか、以前ほど辛くないが、それでもやっぱり立ちっぱなしはキツイわ。よく周りのみんなはしれっと突っ立ってられると思うわ。
「思ったより賑わってるな」
「ここがオシュラスの玄関口……確かサルマーレと言いましたか。この街はアルタヤのリュエラよりもよっぽど栄えているようですわね」
確かに、リュエラと比べると、このサルマーレは明確に『都会』といった感じがする。クフタリア程ではないが、なかなかに賑わっているようだ。活気という意味では政変直後でゴタツイていたとはいえ、仮にも一国の首都だったアレスタンティアよりも上かもしれない。
左右を切り立った崖のような山脈に囲まれていて、アルタヤとオシュラスの国境間に門のように横たわっている街だ。両国の行き来ではほぼ確実にここを通ることになるだろうし、通る旅行客や商人が金を落とす訳だからそりゃ景気も良くなるか。
こんな事、学のない俺だってすぐ分かる。だと言うのにどうしてアルタヤは……という話だわな。
確かに自分達の玄関先で……というかぶん取られた街がこれだけ儲けてるのに、自国では認めないどころか規制に走るとか、こんなの見せられたらこれはエルマーじゃなくても国民は王家への不満を抱えるだろうな。
まぁ、そんな国民感情とかは今の俺たちには関係ないし、あえて考えないとして……
「さて、俺達は今度はここからずっと東を目指すんだったな」
「ええ、オシュラスの首都であるサンサーラを目指すことになりますわね」
サンサーラは確かここから更に街を2つほど越えた先にあったはず。大きな河沿いの大都市らしい。そこから大河を渡河して、タンカードへ入り、更に東へ進み、大陸南東にある港町を目指すのが当面の目的だ。
「つまり、俺達とはここでお別れだな」
街に着いて、一度団員達に指示を出しに行っていた筈のエルマーがいつの間にか戻ってきていた。
「アンタ等はここで団員の確保が目的だったっけか」
「あぁ。国盗りの第一歩。団の拡充の為の地道な活動ってわけだ。まぁそういう訳で旅の道連れはここまでだな」
「国盗りとか、そんな過激なことをこんな往来で口走って良いのか?」
「構いやしない。たとえ知られたとしても、どうせ我々を排除することもできんだろう。そこまで落ちてしまったからこそ我々も戦うことを決めたのだからな」
情報ってのはもっと重要で危険なものだと思うけどな。
そういう意味では、彼らがこれからやろうとしている事についても思う所はある。
確かにデカイことをやるには人では必要不可欠だ。だけど、そこに外部の人間を囲い込もうとするのは情報漏えいとかの面でもちょっと怖いと思うんだが……まぁエルマーにはエルマーなりのなにか考えがあっての行動なんだろう。
「何にせよ相乗りは助かった。俺らは国に戻るから、また会うことがあるかどうかは判らんが、もし何処かで再会するようなことがあれば、その時はよろしく頼むわ」
「お前達と敵対側で遭遇しないことでも祈っておこう」
「全くだな」
そのまま特に何もなく、実にさっぱりとエルマー達とは別れた。
特に引き止める理由も話しこむ程の信頼も特に結んでなかったしな。
ただ、敵対者として会いたくないというのは本音だ。知り合いと戦場で殺し合いとか御免こうむる。
一瞬、キルシュなら喜んで飛びかかってきそうだとか思ってしまったが、流石にない……ないよな?
「さて、これからどうしますの?」
「うぅん、どうすっかなぁ」
当初の目的通りであれば、まだ日も高いし、この町で止まることなく次の街を目指して出発と行く予定だったんだが……
「足、ですの?」
「そうなんだよなぁ」
最近はエレクのところの竜車に頼っていたとは言え、それまでは徒歩の旅をしてきたから特に問題はないだろうと思っていたんだが、改めて今回の行程で馬車の速度とかをちゃんと意識して乗ってみると、やっぱり乗り物での移動能力は侮れないって思うようになっちまったんだよなぁ。
てっきり、馬車の速度なんて観光用の馬車だとか、映画に出てくるようなノンビリした印象だったが、ここに来るまで載せてもらった傭兵団の馬車は、かなりの速度が出ていた。おそらく人の足で駆け足以上の速度は出ていたはずだ。竜車ならともかく馬車であの速度が出せるとは思っていなかったからかなり驚いた。
これが当初の目的通りのエリス達との武者修行の旅だとしたら、正直観光がてらの歩きでも良いやと思わなくもない。ただ、今の目的は合流だ。移動時間はただのロスでしかない。削れるところは出来るだけ削って、さっさと合流したいと言うのが本音だ。
それに、我慢はできてもやっぱり歩きは疲れがたまる。馬車も引く馬を休ませる必要は当然あるが、俺達が疲れるか、馬が疲れるかの違いだけで、結局は休憩が必要になるというなら、そりゃ移動は馬に任せたくなると思っても仕方ないと思うんだ。
後は想定外だったのが、泊まる場所が確保できればそこまでペースに影響を及ぼすほどではないと考えていたが、今回の行程で目的地まで一切の宿が無かったのを見て考えを改めることにした。長旅で野宿続きは流石に疲労の蓄積が無視できないレベルになるだろう。
「私の方は移動で疲労を感じるということはまず無いので、判断はあるじ様にお任せしますわ」
「まぁ、お前は飛んで移動できるからなぁ……」
鳥みたいに羽ばたいてるわけでもないから、そりゃ疲れもないだろうな。
「とはいえ、こっちが休んでる間も馬とかを守らなきゃならないって問題は依然としてあるんだよな」
ここまでの行程でそこが問題にならなかったのは、エルマーのところの団員が交代で見張りに立っていたのと、そもそも大人数だったことで『よっぽどの馬鹿』を除いて襲撃者が人数差にビビって手を出してこなかったというのが大きい。
野盗も獣も群れを成してることが多い。俺だけじゃそういうのに襲われた時に対処しきれないんだよな。如何にイブリスが強かろうと、守りながらの戦いだと人数差と言うのは如何ともし難い。
「それと純粋に金銭の問題もありますわね」
一応、リュエラで馬車についてリサーチもしはしたんだが、やはり値段が問題になった。今の持ち金で馬車を買うとなると、ボロ馬車+馬でも所持金が足らない。買う場合、ここで足を止めてガッツリ金を稼ぐ必要が出てくる。その時間が惜しくて馬車を諦めたわけだが……
「まぁ、今更だな。リュエラで判断しなかった時点でタイミングを逃した感がある」
金を稼ぐなら大きな傭兵組合のあったリュエラのほうがやりやすかったのは間違いない。なんせライバルが弱かったからな。時間のロスを抑えるために馬車を諦めたのに、少し進んだ先でもっと時間をかけて金稼ぎするのは流石に考えが優柔不断と言うか本末転倒すぎる。
考えを変えざるを得ない状況に直面したなら話は別だが、今はまだそこまでの状況でもない。
まぁ、逆に言えばまだ軌道修正しても今後の影響はまだ少ないとも言える。
「サルマーレを発つまでに考えが変わらなければ予定通り歩きで。気が変わるだけの何かがあれば、その時に一考って感じでいいか」
「それで宜しいのでは?」
あまりその場での思いつきで、決定的な理由もなく方針を覆しても碌な事にならないのは、短い社会人生活の中でこれでもかという位に味わった。特にゲーム開発という現場だったからか、上層部の思いつきとしか思えない方針転換で毎度スケジュール破綻というとんでもないしっぺ返しが現場に跳ね返ってきていたからな。
あんなヒデェ目にまた合いたくはないし、ここは堅実に行こう。
「というか、ここは街道沿いの街だろ? 乗合馬車とかねぇのかな?」
「それはやめた方が良いですわよ?」
「何で?」
「リュエラにも乗合馬車の駅はありましたけど、護衛がついてたりするせいで結構な値段がかかりますの。それでいてそんな所で雇われる護衛の質なんてたかが知れているという事で、野盗なんかに狙われる確率も高いと」
「それは確かに、利用したいと思わなくなるな……」
そんな評価にも関わらず値が張る足を使う客となると、何らかの理由で先を急ぐ必要のあるワケアリの客か、頭がお花畑の金持ちか……どちらにしろ、実入りが良いカモになると、尚更野盗が狙う訳か。
治安の悪い地域は恐ろしい話だなぁ。乗合馬車ってもっとこう、牧歌的なイメージだったんだが、街道でも襲撃が横行とか想像以上に世紀末してるみたいだな。
そう考えるとアルヴァストは比較的治安の良い国だったか。ハイナからアルヴァストまでの道中や、クフタリアまでの中でも獣に襲われることはあったも野盗なんかに襲われることはなかったからな。
「それに、安全性は別にしても結構な人数が詰め込まれるようで、歩くよりは早いかも知れませんが、速度はたかが知れてるようですわ」
それは宜しくないな。
足がほしい最大の理由は時短であって快適さは今回は二の次だ。金を払って速度が出ないのなら今の俺達にとっては何の価値もないと言うことになる。イブリスの言う通り、乗合馬車って選択肢は今回は無しだな。やっぱり理想的なのは自家用車……ならぬ自家用馬車なんだろうが、そうなると銭の問題がなぁ。
しかしリュエラでは馬車は諦める方針だったけど、それでも色々調べてくれていたのか。単に俺が迂闊だって話もあるが、なにげに俺が見過ごすような事まで気を使ってくれるし、感謝だなぁ。
結局、並びはじめて暫くはダラダラと会話で間をもたせていたが、出会ってそんなに経ってない俺とエルマーではそこまで共通の話題があるわけも無く、結局殆どの時間はイブリスとの念話という名の脳内会話で時間をつぶすことになった。
2時間も立ちっぱなしで待っていたわけで、流石に足腰が痛い。正直しゃがみ込みたい気分だったが、周りの誰も座っているやつは居ないし、子供ですら立って並んでる中で一人しゃがみ込むだけの面の皮の暑さは俺にはなかった。
色々鍛えたおかげか、以前ほど辛くないが、それでもやっぱり立ちっぱなしはキツイわ。よく周りのみんなはしれっと突っ立ってられると思うわ。
「思ったより賑わってるな」
「ここがオシュラスの玄関口……確かサルマーレと言いましたか。この街はアルタヤのリュエラよりもよっぽど栄えているようですわね」
確かに、リュエラと比べると、このサルマーレは明確に『都会』といった感じがする。クフタリア程ではないが、なかなかに賑わっているようだ。活気という意味では政変直後でゴタツイていたとはいえ、仮にも一国の首都だったアレスタンティアよりも上かもしれない。
左右を切り立った崖のような山脈に囲まれていて、アルタヤとオシュラスの国境間に門のように横たわっている街だ。両国の行き来ではほぼ確実にここを通ることになるだろうし、通る旅行客や商人が金を落とす訳だからそりゃ景気も良くなるか。
こんな事、学のない俺だってすぐ分かる。だと言うのにどうしてアルタヤは……という話だわな。
確かに自分達の玄関先で……というかぶん取られた街がこれだけ儲けてるのに、自国では認めないどころか規制に走るとか、こんなの見せられたらこれはエルマーじゃなくても国民は王家への不満を抱えるだろうな。
まぁ、そんな国民感情とかは今の俺たちには関係ないし、あえて考えないとして……
「さて、俺達は今度はここからずっと東を目指すんだったな」
「ええ、オシュラスの首都であるサンサーラを目指すことになりますわね」
サンサーラは確かここから更に街を2つほど越えた先にあったはず。大きな河沿いの大都市らしい。そこから大河を渡河して、タンカードへ入り、更に東へ進み、大陸南東にある港町を目指すのが当面の目的だ。
「つまり、俺達とはここでお別れだな」
街に着いて、一度団員達に指示を出しに行っていた筈のエルマーがいつの間にか戻ってきていた。
「アンタ等はここで団員の確保が目的だったっけか」
「あぁ。国盗りの第一歩。団の拡充の為の地道な活動ってわけだ。まぁそういう訳で旅の道連れはここまでだな」
「国盗りとか、そんな過激なことをこんな往来で口走って良いのか?」
「構いやしない。たとえ知られたとしても、どうせ我々を排除することもできんだろう。そこまで落ちてしまったからこそ我々も戦うことを決めたのだからな」
情報ってのはもっと重要で危険なものだと思うけどな。
そういう意味では、彼らがこれからやろうとしている事についても思う所はある。
確かにデカイことをやるには人では必要不可欠だ。だけど、そこに外部の人間を囲い込もうとするのは情報漏えいとかの面でもちょっと怖いと思うんだが……まぁエルマーにはエルマーなりのなにか考えがあっての行動なんだろう。
「何にせよ相乗りは助かった。俺らは国に戻るから、また会うことがあるかどうかは判らんが、もし何処かで再会するようなことがあれば、その時はよろしく頼むわ」
「お前達と敵対側で遭遇しないことでも祈っておこう」
「全くだな」
そのまま特に何もなく、実にさっぱりとエルマー達とは別れた。
特に引き止める理由も話しこむ程の信頼も特に結んでなかったしな。
ただ、敵対者として会いたくないというのは本音だ。知り合いと戦場で殺し合いとか御免こうむる。
一瞬、キルシュなら喜んで飛びかかってきそうだとか思ってしまったが、流石にない……ないよな?
「さて、これからどうしますの?」
「うぅん、どうすっかなぁ」
当初の目的通りであれば、まだ日も高いし、この町で止まることなく次の街を目指して出発と行く予定だったんだが……
「足、ですの?」
「そうなんだよなぁ」
最近はエレクのところの竜車に頼っていたとは言え、それまでは徒歩の旅をしてきたから特に問題はないだろうと思っていたんだが、改めて今回の行程で馬車の速度とかをちゃんと意識して乗ってみると、やっぱり乗り物での移動能力は侮れないって思うようになっちまったんだよなぁ。
てっきり、馬車の速度なんて観光用の馬車だとか、映画に出てくるようなノンビリした印象だったが、ここに来るまで載せてもらった傭兵団の馬車は、かなりの速度が出ていた。おそらく人の足で駆け足以上の速度は出ていたはずだ。竜車ならともかく馬車であの速度が出せるとは思っていなかったからかなり驚いた。
これが当初の目的通りのエリス達との武者修行の旅だとしたら、正直観光がてらの歩きでも良いやと思わなくもない。ただ、今の目的は合流だ。移動時間はただのロスでしかない。削れるところは出来るだけ削って、さっさと合流したいと言うのが本音だ。
それに、我慢はできてもやっぱり歩きは疲れがたまる。馬車も引く馬を休ませる必要は当然あるが、俺達が疲れるか、馬が疲れるかの違いだけで、結局は休憩が必要になるというなら、そりゃ移動は馬に任せたくなると思っても仕方ないと思うんだ。
後は想定外だったのが、泊まる場所が確保できればそこまでペースに影響を及ぼすほどではないと考えていたが、今回の行程で目的地まで一切の宿が無かったのを見て考えを改めることにした。長旅で野宿続きは流石に疲労の蓄積が無視できないレベルになるだろう。
「私の方は移動で疲労を感じるということはまず無いので、判断はあるじ様にお任せしますわ」
「まぁ、お前は飛んで移動できるからなぁ……」
鳥みたいに羽ばたいてるわけでもないから、そりゃ疲れもないだろうな。
「とはいえ、こっちが休んでる間も馬とかを守らなきゃならないって問題は依然としてあるんだよな」
ここまでの行程でそこが問題にならなかったのは、エルマーのところの団員が交代で見張りに立っていたのと、そもそも大人数だったことで『よっぽどの馬鹿』を除いて襲撃者が人数差にビビって手を出してこなかったというのが大きい。
野盗も獣も群れを成してることが多い。俺だけじゃそういうのに襲われた時に対処しきれないんだよな。如何にイブリスが強かろうと、守りながらの戦いだと人数差と言うのは如何ともし難い。
「それと純粋に金銭の問題もありますわね」
一応、リュエラで馬車についてリサーチもしはしたんだが、やはり値段が問題になった。今の持ち金で馬車を買うとなると、ボロ馬車+馬でも所持金が足らない。買う場合、ここで足を止めてガッツリ金を稼ぐ必要が出てくる。その時間が惜しくて馬車を諦めたわけだが……
「まぁ、今更だな。リュエラで判断しなかった時点でタイミングを逃した感がある」
金を稼ぐなら大きな傭兵組合のあったリュエラのほうがやりやすかったのは間違いない。なんせライバルが弱かったからな。時間のロスを抑えるために馬車を諦めたのに、少し進んだ先でもっと時間をかけて金稼ぎするのは流石に考えが優柔不断と言うか本末転倒すぎる。
考えを変えざるを得ない状況に直面したなら話は別だが、今はまだそこまでの状況でもない。
まぁ、逆に言えばまだ軌道修正しても今後の影響はまだ少ないとも言える。
「サルマーレを発つまでに考えが変わらなければ予定通り歩きで。気が変わるだけの何かがあれば、その時に一考って感じでいいか」
「それで宜しいのでは?」
あまりその場での思いつきで、決定的な理由もなく方針を覆しても碌な事にならないのは、短い社会人生活の中でこれでもかという位に味わった。特にゲーム開発という現場だったからか、上層部の思いつきとしか思えない方針転換で毎度スケジュール破綻というとんでもないしっぺ返しが現場に跳ね返ってきていたからな。
あんなヒデェ目にまた合いたくはないし、ここは堅実に行こう。
「というか、ここは街道沿いの街だろ? 乗合馬車とかねぇのかな?」
「それはやめた方が良いですわよ?」
「何で?」
「リュエラにも乗合馬車の駅はありましたけど、護衛がついてたりするせいで結構な値段がかかりますの。それでいてそんな所で雇われる護衛の質なんてたかが知れているという事で、野盗なんかに狙われる確率も高いと」
「それは確かに、利用したいと思わなくなるな……」
そんな評価にも関わらず値が張る足を使う客となると、何らかの理由で先を急ぐ必要のあるワケアリの客か、頭がお花畑の金持ちか……どちらにしろ、実入りが良いカモになると、尚更野盗が狙う訳か。
治安の悪い地域は恐ろしい話だなぁ。乗合馬車ってもっとこう、牧歌的なイメージだったんだが、街道でも襲撃が横行とか想像以上に世紀末してるみたいだな。
そう考えるとアルヴァストは比較的治安の良い国だったか。ハイナからアルヴァストまでの道中や、クフタリアまでの中でも獣に襲われることはあったも野盗なんかに襲われることはなかったからな。
「それに、安全性は別にしても結構な人数が詰め込まれるようで、歩くよりは早いかも知れませんが、速度はたかが知れてるようですわ」
それは宜しくないな。
足がほしい最大の理由は時短であって快適さは今回は二の次だ。金を払って速度が出ないのなら今の俺達にとっては何の価値もないと言うことになる。イブリスの言う通り、乗合馬車って選択肢は今回は無しだな。やっぱり理想的なのは自家用車……ならぬ自家用馬車なんだろうが、そうなると銭の問題がなぁ。
しかしリュエラでは馬車は諦める方針だったけど、それでも色々調べてくれていたのか。単に俺が迂闊だって話もあるが、なにげに俺が見過ごすような事まで気を使ってくれるし、感謝だなぁ。
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
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