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四章
二百八十二話 帰還?Ⅱ
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「思いの外簡単に見つかりましたわね」
「まぁ、滅茶苦茶目立ってたからな」
傭兵登録するにはどうすれば良いのか、誰かから情報でももらおうと街の散策に出てみたが、特に探すまでもなくすぐに荒くれ共が出入りしているデカイ建物がみつかった。
というか街のメインストリートの滅茶苦茶目立つ場所に鎮座していたから、探すまでもないわな。
あいつが傭兵の国だとか言ってたが、だから傭兵の施設はメインに据えられてるってことなんかな? 滅茶苦茶安直に感じるけど。
「探す手間が省けたのは良いことだし、さっさと登録しちまおうか」
「そうですわね」
イブリスを連れ立って傭兵管理組合なる看板が掲げられた建物の扉をくぐる。
第一印象でいうと、クフタリアの協会とは比べ物にならないほど活気にあふれている。
熱気で溢れていると言うか、男臭いと言うか、夜の繁盛している居酒屋のようなガヤガヤ感だな。
人が集まってる受付と、人がぜんぜん居ない受付と別れてるが、あの違いはなんだろうか? まぁ、話を聞くためには人が居ないのは丁度良いな。
「おはようございます、リュエラの傭兵組合へどういった御用でしょうか? ご依頼の登録であればあちらのカウンターを、傭兵登録でしたら……」
「すいません、傭兵登録をしたいんですが、詳しく知らないんで話を聞きたいんですけど」
「ハイハイ、どうぞ。何が聞きたいんで?」
また随分フランクと言うか、スレた感じのお姉さんだな。協会とは大違いだ。
結構荒くれ多いみたいだし、こういう場で仕事してるから、人の少なかった協会とはやっぱり求められてる人材が違うんかな?
「登録するには何が必要ですか?」
「登録自体には特に何も。強いて言うなら実力くらいですかね?」
「え、登録料とか要らないんですか?」
「はい。登録は無料です。ただ、ランクを証明するタグによって納める金額が変わってきます」
「なるほど」
何か、ソシャゲみたいだな。
傭兵になるだけなら無料だけど、ランクアップするには課金が必要と。
「ランクというのはどう上げるんですか?」
「えー、ランクは基本的に7段階。銅、鉄、銀、金、白金、霊銀、金剛で分けられています」
おお、すごくファンタジーっぽい! 冒険者ランクっていったらやっぱ鉱物区分けだよな。
数字分とかアルファベットのランク分けって個人的にはなんか異能力学園モノとかのイメージが強いんだよな。
「銀等級までは自己申告です。タグを購入していただければ駆け出しでも銀等級を名乗ることは可能です。当然、自分の身の丈に合わないランクを名乗っても構いませんが、タグの値段や維持費に対して仕事の値段が釣り合わなければただの損ですけど」
「金以上は何かあるんですの?」
「金以上となると、依頼の内容も大きなものとなるんで、それに相応しいか試験を受けて頂きます。実力だけではなく、団の中心人物に文字の読み書きが可能な人がいるかとか、一定以上の算術が出来るか等、傭兵団として真っ当に運営可能かどうかも当然確認されますね」
銀以下は自営業、金以上は会社として認められる……みたいな区切りかな?
「銀等級というのはどれくらいの実力が必要ですの?」
「んん~? そうさねぇ、この辺りでならガジャかブラックウルフを仕留められるなら銀等級の仕事をこなせるんじゃないかしら?」
ガジャというのは今まで聞いたこと無いが、ブラックウルフならつい最近ウンザリするほど相手にしたな。これなら問題なく銀でもやれそうか?
でも、銀等級で登録するにはタグを買う必要があるわけだが、問題はその金が手元にないんだよな。
「今手持ちがなくて、傭兵として手っ取り早く稼いで銀ランクになろうと思ったら、どうするのが良いですかね?」
「あまりオススメはしないけど、ランク登録がなくても銀等級の依頼は受けられるよ。ただ、タグがないと評価値は考慮されないし、仲介手数料として2割り余分に持ってかれるけどね」
なるほど、タグがないとそういうデメリットが有るのか。タグを持ってるやつはタグを売りつけた時点で金が入るし、タグがないやつが仕事しても仲介手数料を差っ引いて金が入るからどちらにしろ傭兵管理組合の懐は潤うってわけか。
評価値というのの価値がイマイチ分からんが、今はさっさと登録料がほしい。利率は悪くても手っ取り早く稼ぐなら今聞いた方法が一番ラクそうではあるか。
「イブリスはどう思う?」
「良いのではないですか?」
思考覗かれてるのは落ち着かないが、話が早いのは楽でいいな。
「なら、傭兵登録して、銀ランクの仕事こなしたいんですが、すぐに出来ますか?」
「登録はお二人で?」
「えぇ。二人でお願いします」
「では、傭兵団登録ということで……」
え!? ちょっとまって、傭兵団?
「たった二人で団扱いなんですか!?」
「少数のチームと大人数のチームでいちいち仕組みを変えていたんじゃ、仕組みが複雑すぎるでしょう。人数が変わるたびに登録し直しじゃ傭兵側もこちら側も手間がかかるだけですから」
「まぁ、確かに手間にはなるのか」
大きな組織にしては随分大雑把な感じがするけど、まぁそれで上手く回ってるなら問題ない……のか?
「では、個々に名前と出身地を書き込んでください。文字がかけない場合は代筆しますけど」
「いえ、大丈夫です」
クフタリアで一度やってるから問題ない。文字も幸いなことにアルヴァストのもよりも多少癖があるが、問題なく読むことが出来るようだ。
イブリスと二人分、さらっと描いて提出した。
「ところでそちらの方は?」
「えぇ、人ではありません。精霊ですわ。もしかして精霊は傭兵登録でませんの?」
「い、いえ。そういったルールは無いですけど、こんな人間と見違えるような精霊は初めて見たもので。しかも契約者以外と会話が成立するなんて」
「こうやって人の姿を取っている精霊はたしかに少ないかもしれませんわね」
「ただ、ダメだというルールがないだけで、精霊が傭兵登録するという事自体想定の外ですので、適切な登録形式がありません。なので傭兵登録自体はできても記録上はキョウさんの使役精霊という扱いになりますが」
「問題ありませんわ。実際そうですし」
そういや、シアがそんなような事言ってたような気がするな。普通の精霊はもっと小さくて人の姿はしていないとかなんとか。
「精霊使いと精霊のランクってどうなるんだ? 二人で一つのランクになるのか?」
「一般的にはセットで見られますけど、ランク評価は個別にされますよ。世間の評価的には高い方を基準に見られるんじゃないですかね」
なるほど、まぁ世間の評価なんてそんなもんか。【凄い精霊使い】か、【凄い精霊を連れてる奴】みたいな差だな。どっちの評価のほうが良いかは、まぁ言うまでもないっていうか。
「はい、登録できました。タグ無しの登録は一月で登録抹消となるので、リュエラから離れる場合は注意してください。またタグを購入するつもりなら、一月以内にお願いしますよ。でないとまた来月以降登録し直しになりますから」
「無料な代わりに期限付きなのか」
「更新するのにだって時間や人を使うんですよ。金もかけずに管理なんてやってられませんって」
「ぶっちゃけますねぇ」
登録し直すのに金が必要なわけじゃないけど、また書類に署名するのは面倒くさいと。主に受付の人が。
何かをしようとすれば、人件費とか拘束費ってのはかかるもんだって会社員時代に叩き込まれたっけか。
「それと、銀ランクの仕事ですけど、あそこの掲示板、見えます?」
受付の人の指差す方向を見てみれば、壁一面に大きな掲示板が並んでいた。
「掲示板の枠の色がそのまま依頼のランクになります」
「なるほど、欲しい仕事のランクの掲示板からスキな依頼表を持ってけって訳か。でも掲示板の数たらなくない? 7階級だったよな?」
見た感じ壁にある掲示板の数は6つしか無い。
「掲示板は霊銀までしか無いからです。金剛の依頼は掲示板ではなく直接名指しで発行されるからですね」
「なるほど」
最高ランクとなるとホイホイ張り出すような内容じゃないってことか。
「銀ランクは簡易契約で受けられる最高ランクになります。稼ぎの多い仕事の中で最も敷居が低いものでもあるので、依頼の数が多い反面受けようとする傭兵も非常に多く、常に奪い合いになります。注意してくださいな」
「確かに、遠目に見ても銀の掲示板のに貼られている依頼票だけ明らかに数が多いですわね」
多いと言うか、全体的に見ると上のランクに行くほど依頼票の数が減っていく中で、銀だけはもう貼る場所が残ってないくらいに掲示板が依頼表で埋め尽くされている。
「ようするに、俺達みたいに側近目当てが依頼を受けるのが判ってるから、依頼する側も多く出してくる訳だ」
「そうですね、低ランクの依頼は実入りも悪いため見向きもされない可能性がありますから、多少依頼に色を付けてでも銀ランク用の仕事として発注する方は多いです」
そこら辺は需要と供給のバランスってやつか。NPCにとっては命がけの仕事だ。ローリスクローリターンを好むやつも居るだろうけど、基本的には稼ぎの多い方に目が行くだろうからな。
「即金が欲しくて銀の依頼を受けたいのなら、討伐系をいくつか紹介できますが?」
「掲示板から持ってこなくて良いんですの?」
「貼るスペースがないんですよ。なんで、発行されたばかりの依頼の中でも緊急性のない依頼の幾らかは窓口から直接斡旋することになってるんです」
「確かに、アレ以上は貼る場所がありませんわね」
受けられやすいようにランク上げても、今度は人気が多すぎて依頼する側も枠の取り合いになってるってことか。人気市場であると同時に買い手市場になってるんだな。
「それで、手頃なので紹介できる銀ランクの討伐系となると、街道脇で確認されたシャープクローポーキュパインの駆除と、街近辺で最近姿を見せるようになった数頭のランドボアの討伐依頼なんですけど、受けます?」
「まぁ、滅茶苦茶目立ってたからな」
傭兵登録するにはどうすれば良いのか、誰かから情報でももらおうと街の散策に出てみたが、特に探すまでもなくすぐに荒くれ共が出入りしているデカイ建物がみつかった。
というか街のメインストリートの滅茶苦茶目立つ場所に鎮座していたから、探すまでもないわな。
あいつが傭兵の国だとか言ってたが、だから傭兵の施設はメインに据えられてるってことなんかな? 滅茶苦茶安直に感じるけど。
「探す手間が省けたのは良いことだし、さっさと登録しちまおうか」
「そうですわね」
イブリスを連れ立って傭兵管理組合なる看板が掲げられた建物の扉をくぐる。
第一印象でいうと、クフタリアの協会とは比べ物にならないほど活気にあふれている。
熱気で溢れていると言うか、男臭いと言うか、夜の繁盛している居酒屋のようなガヤガヤ感だな。
人が集まってる受付と、人がぜんぜん居ない受付と別れてるが、あの違いはなんだろうか? まぁ、話を聞くためには人が居ないのは丁度良いな。
「おはようございます、リュエラの傭兵組合へどういった御用でしょうか? ご依頼の登録であればあちらのカウンターを、傭兵登録でしたら……」
「すいません、傭兵登録をしたいんですが、詳しく知らないんで話を聞きたいんですけど」
「ハイハイ、どうぞ。何が聞きたいんで?」
また随分フランクと言うか、スレた感じのお姉さんだな。協会とは大違いだ。
結構荒くれ多いみたいだし、こういう場で仕事してるから、人の少なかった協会とはやっぱり求められてる人材が違うんかな?
「登録するには何が必要ですか?」
「登録自体には特に何も。強いて言うなら実力くらいですかね?」
「え、登録料とか要らないんですか?」
「はい。登録は無料です。ただ、ランクを証明するタグによって納める金額が変わってきます」
「なるほど」
何か、ソシャゲみたいだな。
傭兵になるだけなら無料だけど、ランクアップするには課金が必要と。
「ランクというのはどう上げるんですか?」
「えー、ランクは基本的に7段階。銅、鉄、銀、金、白金、霊銀、金剛で分けられています」
おお、すごくファンタジーっぽい! 冒険者ランクっていったらやっぱ鉱物区分けだよな。
数字分とかアルファベットのランク分けって個人的にはなんか異能力学園モノとかのイメージが強いんだよな。
「銀等級までは自己申告です。タグを購入していただければ駆け出しでも銀等級を名乗ることは可能です。当然、自分の身の丈に合わないランクを名乗っても構いませんが、タグの値段や維持費に対して仕事の値段が釣り合わなければただの損ですけど」
「金以上は何かあるんですの?」
「金以上となると、依頼の内容も大きなものとなるんで、それに相応しいか試験を受けて頂きます。実力だけではなく、団の中心人物に文字の読み書きが可能な人がいるかとか、一定以上の算術が出来るか等、傭兵団として真っ当に運営可能かどうかも当然確認されますね」
銀以下は自営業、金以上は会社として認められる……みたいな区切りかな?
「銀等級というのはどれくらいの実力が必要ですの?」
「んん~? そうさねぇ、この辺りでならガジャかブラックウルフを仕留められるなら銀等級の仕事をこなせるんじゃないかしら?」
ガジャというのは今まで聞いたこと無いが、ブラックウルフならつい最近ウンザリするほど相手にしたな。これなら問題なく銀でもやれそうか?
でも、銀等級で登録するにはタグを買う必要があるわけだが、問題はその金が手元にないんだよな。
「今手持ちがなくて、傭兵として手っ取り早く稼いで銀ランクになろうと思ったら、どうするのが良いですかね?」
「あまりオススメはしないけど、ランク登録がなくても銀等級の依頼は受けられるよ。ただ、タグがないと評価値は考慮されないし、仲介手数料として2割り余分に持ってかれるけどね」
なるほど、タグがないとそういうデメリットが有るのか。タグを持ってるやつはタグを売りつけた時点で金が入るし、タグがないやつが仕事しても仲介手数料を差っ引いて金が入るからどちらにしろ傭兵管理組合の懐は潤うってわけか。
評価値というのの価値がイマイチ分からんが、今はさっさと登録料がほしい。利率は悪くても手っ取り早く稼ぐなら今聞いた方法が一番ラクそうではあるか。
「イブリスはどう思う?」
「良いのではないですか?」
思考覗かれてるのは落ち着かないが、話が早いのは楽でいいな。
「なら、傭兵登録して、銀ランクの仕事こなしたいんですが、すぐに出来ますか?」
「登録はお二人で?」
「えぇ。二人でお願いします」
「では、傭兵団登録ということで……」
え!? ちょっとまって、傭兵団?
「たった二人で団扱いなんですか!?」
「少数のチームと大人数のチームでいちいち仕組みを変えていたんじゃ、仕組みが複雑すぎるでしょう。人数が変わるたびに登録し直しじゃ傭兵側もこちら側も手間がかかるだけですから」
「まぁ、確かに手間にはなるのか」
大きな組織にしては随分大雑把な感じがするけど、まぁそれで上手く回ってるなら問題ない……のか?
「では、個々に名前と出身地を書き込んでください。文字がかけない場合は代筆しますけど」
「いえ、大丈夫です」
クフタリアで一度やってるから問題ない。文字も幸いなことにアルヴァストのもよりも多少癖があるが、問題なく読むことが出来るようだ。
イブリスと二人分、さらっと描いて提出した。
「ところでそちらの方は?」
「えぇ、人ではありません。精霊ですわ。もしかして精霊は傭兵登録でませんの?」
「い、いえ。そういったルールは無いですけど、こんな人間と見違えるような精霊は初めて見たもので。しかも契約者以外と会話が成立するなんて」
「こうやって人の姿を取っている精霊はたしかに少ないかもしれませんわね」
「ただ、ダメだというルールがないだけで、精霊が傭兵登録するという事自体想定の外ですので、適切な登録形式がありません。なので傭兵登録自体はできても記録上はキョウさんの使役精霊という扱いになりますが」
「問題ありませんわ。実際そうですし」
そういや、シアがそんなような事言ってたような気がするな。普通の精霊はもっと小さくて人の姿はしていないとかなんとか。
「精霊使いと精霊のランクってどうなるんだ? 二人で一つのランクになるのか?」
「一般的にはセットで見られますけど、ランク評価は個別にされますよ。世間の評価的には高い方を基準に見られるんじゃないですかね」
なるほど、まぁ世間の評価なんてそんなもんか。【凄い精霊使い】か、【凄い精霊を連れてる奴】みたいな差だな。どっちの評価のほうが良いかは、まぁ言うまでもないっていうか。
「はい、登録できました。タグ無しの登録は一月で登録抹消となるので、リュエラから離れる場合は注意してください。またタグを購入するつもりなら、一月以内にお願いしますよ。でないとまた来月以降登録し直しになりますから」
「無料な代わりに期限付きなのか」
「更新するのにだって時間や人を使うんですよ。金もかけずに管理なんてやってられませんって」
「ぶっちゃけますねぇ」
登録し直すのに金が必要なわけじゃないけど、また書類に署名するのは面倒くさいと。主に受付の人が。
何かをしようとすれば、人件費とか拘束費ってのはかかるもんだって会社員時代に叩き込まれたっけか。
「それと、銀ランクの仕事ですけど、あそこの掲示板、見えます?」
受付の人の指差す方向を見てみれば、壁一面に大きな掲示板が並んでいた。
「掲示板の枠の色がそのまま依頼のランクになります」
「なるほど、欲しい仕事のランクの掲示板からスキな依頼表を持ってけって訳か。でも掲示板の数たらなくない? 7階級だったよな?」
見た感じ壁にある掲示板の数は6つしか無い。
「掲示板は霊銀までしか無いからです。金剛の依頼は掲示板ではなく直接名指しで発行されるからですね」
「なるほど」
最高ランクとなるとホイホイ張り出すような内容じゃないってことか。
「銀ランクは簡易契約で受けられる最高ランクになります。稼ぎの多い仕事の中で最も敷居が低いものでもあるので、依頼の数が多い反面受けようとする傭兵も非常に多く、常に奪い合いになります。注意してくださいな」
「確かに、遠目に見ても銀の掲示板のに貼られている依頼票だけ明らかに数が多いですわね」
多いと言うか、全体的に見ると上のランクに行くほど依頼票の数が減っていく中で、銀だけはもう貼る場所が残ってないくらいに掲示板が依頼表で埋め尽くされている。
「ようするに、俺達みたいに側近目当てが依頼を受けるのが判ってるから、依頼する側も多く出してくる訳だ」
「そうですね、低ランクの依頼は実入りも悪いため見向きもされない可能性がありますから、多少依頼に色を付けてでも銀ランク用の仕事として発注する方は多いです」
そこら辺は需要と供給のバランスってやつか。NPCにとっては命がけの仕事だ。ローリスクローリターンを好むやつも居るだろうけど、基本的には稼ぎの多い方に目が行くだろうからな。
「即金が欲しくて銀の依頼を受けたいのなら、討伐系をいくつか紹介できますが?」
「掲示板から持ってこなくて良いんですの?」
「貼るスペースがないんですよ。なんで、発行されたばかりの依頼の中でも緊急性のない依頼の幾らかは窓口から直接斡旋することになってるんです」
「確かに、アレ以上は貼る場所がありませんわね」
受けられやすいようにランク上げても、今度は人気が多すぎて依頼する側も枠の取り合いになってるってことか。人気市場であると同時に買い手市場になってるんだな。
「それで、手頃なので紹介できる銀ランクの討伐系となると、街道脇で確認されたシャープクローポーキュパインの駆除と、街近辺で最近姿を見せるようになった数頭のランドボアの討伐依頼なんですけど、受けます?」
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