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四章
二百二十二話 未知との遭遇Ⅳ
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「ビシバシとは……言ったが…………これは……」
ようやく光の見える場所までたどり着いたというのに、喜びはなかった。
正しい体幹を鍛える為という事で、洞窟から脱出するまでの間決まった姿勢を強要された。激しい運動や無茶なトレーニングを強要されたわけではない。しかしカバンを背負い武器を持ち、ただ歩くという事が視界と足元の不安定さも相まって、とにかく足腰への負担が半端ない。
「ほれ、どうした。あと5歩も進めば外じゃぞ? 気張らんか」
「ぬ……ぐ、ぬぅ…………」
イヤほんと、マジできついんだっつーの!
あと3歩……2、歩…………あと1……歩!!
「んっ……ぐぅー……ついた! やっと、外だ……!」
ずいぶん久しぶりに外の空気を吸った気がする。身体を伸ばしてみれば、背中からバキボキと良い感じな音がする。歩き続けていても暗い中では背が曲がっていたか。
あの地下の遺跡の中を彷徨った時間を多めに考えても二日といった所だと思うんだが、やはり日の光の届かない所というのは時間の感覚を狂わすらしい。
「大げさな奴じゃのう」
「大げさに、なるくらい…………駄目……だから、鍛えてんだ……ろぉ?」
「ま、その通りじゃがな」
周りは気が生い茂っている。遠くに見える海はずいぶん低い。ここは山の中という事か。
空は晴れているけど、一面水浸し……ついさっきまで雨でも降っていたのかね?
海底への入り口が山の中とは、確かに見つかりにくいシチュエーションだったかもしれんな。たとえここから半日かけて遺跡の場所までたどり着いたとしても壁で遮られていたし、洞窟はもっと奥までも続いていた。突き当りがどこまで続いていたかは知らないが、あの暗く長い洞窟の途中、しかも壁の中とあればよほどの事がなければ見つかる事は無いだろう。確かに隠れる場所としては最適だ。
「しかし、400年も経つと景観も随分と変わるものじゃな。ここ等一帯、昔ははげ山だったのじゃが」
「長い時間をかけて、木が生い茂ったという……事か? もうダメ、ちょっと休ませてくれ」
「時がたつのは早いのぉ」
そりゃ寝てりゃ一瞬だろうよ。あぁでもそれ以前に数千年生きてるんだっけか。
「とりあえず、空の見える場所に出たことだし、ここで一晩明かすとしよう」
「え、まだ日が……落ちてないけど、もう進むのをやめるのか……? もうちょい休めば、動けるとおもうけど」
確かに休ませてほしいとは言ったが、キャンプ地にするとかではなく小休憩というつもりだったんだが。
「ここは野営にちょうどいい場所だからの。他にちょうど良い場所はあるかもしれんが、お主の回復を待ってから動くとなると、日が落ちる前に見つかるかどうか怪しいところじゃ。こういうのは日が傾いた頃に見切ってしまうのが良いんじゃ。日が落ちれば夜行性の獣共が騒ぎ出す。そうなる前に野営地を整えてしまう方が安全だからの」
「俺達の場合日が落ちてからそれっぽい場所を探してたが、それだと遅すぎたのか」
「野営地を作っている途中に襲われたらどうするんじゃ? 休むどころじゃなくなるじゃろ……」
正論過ぎる……今までが運が良かっただけだったのか。嫌になるな。これでもかなり慎重かつ効率的に行動していたつもりだったのに、こうやって指摘されてみれば穴だらけだ。
後になって考えてみると、俺の行動ってにわか知識のそれっぽい行動をしていただけで、何も知らない素人行動の知ったかぶりでしかなかったんだな。何とかなってたのはシーマさんのアドバイスのおかげか。
「まぁ、そういう訳でちゃっちゃと薪を集めるぞ。この森の中じゃ。木の枝なんぞ探せばすぐ見つかるじゃろ」
「そりゃ見つかるかもしれんが、これだけ湿ってると火なんて点くのか?」
「儂が炎を手懐けている姿は見せている筈じゃがな」
そういって拾った濡れ枝を瞬く間に乾燥させる。槍の炎を抑え込めるだけでなく普通に炎も使うことが出来るのか。魔法剣士……剣じゃないから魔法槍士か?
「あれだけの身体能力のうえに魔法まで使えるとか飛んでもねーな」
「魔法なんて童心に帰れそうなものは使えやしない。ただの瘴術じゃよ」
「しょうじゅつ……」
そういえば以前もその言葉を聞いたな。あの時はよく判らなくて後回しにしたままその言葉自体を忘れてた。
というかその口ぶりだと魔法と瘴術ってのは別の物なのか?
「何じゃお主、まさか田舎から出てきたとはいえ瘴術も知らんとか言うのか?」
「そのまさかだよ畜生。魔法と瘴術がどう違うのかさっぱり分からん」
「一体どんな僻地から出てきたんじゃお主……」
「その様子だと知らない方がおかしなレベルの常識的な知識?」
「……はぁ」
おい、そのため息やめろよ。すべてを諦められた感じがしてスゲェ辛いんだが。
まぁ、心が痛くても手を止めない。木枝を骨組みに、巨大な葉っぱを屋根代わりにすれば、葉っぱのテントの完成だ。俺は大人なので悲しくても仕事はキッチリとこなすのだ。
……仕事に打ち込んでると心の痛みを忘れるとか、そういう訳では決してない。
「瘴術っていうのは、世界に漂う瘴気を使って思い描いた事象で現実を上書きする。それが瘴術」
「そう聞くと魔法とどう違うのかさっぱり分からんのだが?」
「簡単に二つを言葉で分けるとすれば、そうじゃな。魔法は願望で、瘴術は学問といった所じゃ」
学問?
「何の代償もなく何でも叶えるという何でもありの魔法と違い、瘴術は改変には術式を組んで瘴気を流し込む必要があるのじゃ。術式によって改変できる内容は定義されるし、流し込む瘴気の量によって起動できる術式の規模にも差が出る。式が描けなきゃ発動できないし、瘴気が無ければやはり発動できない。いろいろ制限があるものじゃ」
「瘴気って響きが、なんか身体にすごく悪そうに感じるんだけど、そんな物が漂ってるのか?」
「そこからか!? いや……」
「何かホントすいません。 常識知らなくて」
こんな見てくれでも、この世界に生れ落ちて間もない零歳児なんですわ。常識も何も持ってないのも仕方が無いっていうか……ねぇ?
「……まぁい良い。瘴気というのは発見された当初、実際に人の体に悪影響を出し、それは大量の犠牲者を出したらしい。しかし、生き物と言うのは順応するもので、当時は身体に悪影響を及ぼしていたとしても、代を重ねるごとで問題ないように適応していった。今では無くてはならない瘴術資源となっておるのじゃよ。そして近代、無害となった後も混乱を避けるため瘴気という名称が引き続き採用されているのだそうじゃ」
「じゃあ、世界中で術と言われるものはみんな瘴術って事か?」
「……概ねそれで間違っておらん。ただし、それは瘴気を用いた術という事であって、瘴術という言葉と同義とは限らない。例えば龍族の神職が使うそれは巫術と呼ばれるし、精霊を介して力を放つ精霊術という物もある。まぁ、術式や手順が個別に独特化しているものの、瘴気を用いて現実を歪ませるという点においては全て共通しておるんだがな」
術式? とかいう手段が違うというだけでやってるだけで、要するにやってる事は変わらないって事か。
RPGの召喚魔法と黒魔法みたいなもんか? 同じMP消費して攻撃魔法でダメージを与えるって所は変わらないけど、方法が全く違うやつ。そこに加えて部族や宗教によって更に特色が違う訳だ。
「魔法という言葉を出されたなら、それは出来もしない事という意味で使われていると思えば良い」
『まるで魔法の様だ』って感じか。
こんなファンタジーな世界なのに、ある意味現代と変わらない扱いなのな。魔法は。
「その様子では適正を調べたこともないのじゃろう? 何ならお主の瘴気適性を試してみるか」
「そんな事できるのか?」
「大した手間ではないな。昔は子供なら皆やっていた事だからのう」
「そうなのか、手間にならないならちょっとお願いしようかな」
「うむ。では両手を出すのじゃ」
言われた通り、シアに向かって両手を突き出す。
その突き出した両手を覆うように目に見えない何かが広がっていくのを感じる。これで何かを調べているのか……?
「……ふむ?」
「どうだったんだ?」
正直見た目には何も変わってないから、何が分かったのかよく判らん。もっとこう、ブワ~っと光ったりするのかと思ってたんだが、想像以上に地味だ。
「うぅ~む……どうやらこれまで瘴術との接点が無さ過ぎたようじゃのう。普通は何か偏りが見えるもんんなのじゃが……」
あぁ、それはまぁ魔法系スキルなんて何一つ触ってなかったからな。
正直欲しく感じた瞬間は何度もあったが、すぐに忙しくなって忘れてしまっていたんだよな。
「偏りが無いと何か問題があるのか?」
「問題……というか、特色が無いと適正のある力の方向性が判らないのじゃ。得意分野があればそれに合わせて伸ばすことが出来るじゃが」
「そういう事か。つまり、俺は全ての能力が平均的すぎて何が得意で何が苦手なのかもわからないと」
適正が分からなければ伸ばす方向性もへったくれもない。
「平均的……とは違うな。お主は平均から見れば、すべてが軒並み低い」
「うわぁ……つまり得意な分野とか以前に、才能が全くないって事か」
「そういう事じゃな。瘴術師としての未来は諦めるが良いぞ」
「うーわ……結構ショックなんですけど」
ファンタジー系のゲームなのに魔法系の才能がないとか、楽しみの大半を奪われたようなもんじゃねぇか。いや、そもそも武器戦闘メインで考えてたからあまり影響は無いと言えば無いんだが、全く使えないと言われると、やっぱり寂しいものがある。
「何、瘴術の才能が無いことでこそ、出来るということもあるぞ?」
ようやく光の見える場所までたどり着いたというのに、喜びはなかった。
正しい体幹を鍛える為という事で、洞窟から脱出するまでの間決まった姿勢を強要された。激しい運動や無茶なトレーニングを強要されたわけではない。しかしカバンを背負い武器を持ち、ただ歩くという事が視界と足元の不安定さも相まって、とにかく足腰への負担が半端ない。
「ほれ、どうした。あと5歩も進めば外じゃぞ? 気張らんか」
「ぬ……ぐ、ぬぅ…………」
イヤほんと、マジできついんだっつーの!
あと3歩……2、歩…………あと1……歩!!
「んっ……ぐぅー……ついた! やっと、外だ……!」
ずいぶん久しぶりに外の空気を吸った気がする。身体を伸ばしてみれば、背中からバキボキと良い感じな音がする。歩き続けていても暗い中では背が曲がっていたか。
あの地下の遺跡の中を彷徨った時間を多めに考えても二日といった所だと思うんだが、やはり日の光の届かない所というのは時間の感覚を狂わすらしい。
「大げさな奴じゃのう」
「大げさに、なるくらい…………駄目……だから、鍛えてんだ……ろぉ?」
「ま、その通りじゃがな」
周りは気が生い茂っている。遠くに見える海はずいぶん低い。ここは山の中という事か。
空は晴れているけど、一面水浸し……ついさっきまで雨でも降っていたのかね?
海底への入り口が山の中とは、確かに見つかりにくいシチュエーションだったかもしれんな。たとえここから半日かけて遺跡の場所までたどり着いたとしても壁で遮られていたし、洞窟はもっと奥までも続いていた。突き当りがどこまで続いていたかは知らないが、あの暗く長い洞窟の途中、しかも壁の中とあればよほどの事がなければ見つかる事は無いだろう。確かに隠れる場所としては最適だ。
「しかし、400年も経つと景観も随分と変わるものじゃな。ここ等一帯、昔ははげ山だったのじゃが」
「長い時間をかけて、木が生い茂ったという……事か? もうダメ、ちょっと休ませてくれ」
「時がたつのは早いのぉ」
そりゃ寝てりゃ一瞬だろうよ。あぁでもそれ以前に数千年生きてるんだっけか。
「とりあえず、空の見える場所に出たことだし、ここで一晩明かすとしよう」
「え、まだ日が……落ちてないけど、もう進むのをやめるのか……? もうちょい休めば、動けるとおもうけど」
確かに休ませてほしいとは言ったが、キャンプ地にするとかではなく小休憩というつもりだったんだが。
「ここは野営にちょうどいい場所だからの。他にちょうど良い場所はあるかもしれんが、お主の回復を待ってから動くとなると、日が落ちる前に見つかるかどうか怪しいところじゃ。こういうのは日が傾いた頃に見切ってしまうのが良いんじゃ。日が落ちれば夜行性の獣共が騒ぎ出す。そうなる前に野営地を整えてしまう方が安全だからの」
「俺達の場合日が落ちてからそれっぽい場所を探してたが、それだと遅すぎたのか」
「野営地を作っている途中に襲われたらどうするんじゃ? 休むどころじゃなくなるじゃろ……」
正論過ぎる……今までが運が良かっただけだったのか。嫌になるな。これでもかなり慎重かつ効率的に行動していたつもりだったのに、こうやって指摘されてみれば穴だらけだ。
後になって考えてみると、俺の行動ってにわか知識のそれっぽい行動をしていただけで、何も知らない素人行動の知ったかぶりでしかなかったんだな。何とかなってたのはシーマさんのアドバイスのおかげか。
「まぁ、そういう訳でちゃっちゃと薪を集めるぞ。この森の中じゃ。木の枝なんぞ探せばすぐ見つかるじゃろ」
「そりゃ見つかるかもしれんが、これだけ湿ってると火なんて点くのか?」
「儂が炎を手懐けている姿は見せている筈じゃがな」
そういって拾った濡れ枝を瞬く間に乾燥させる。槍の炎を抑え込めるだけでなく普通に炎も使うことが出来るのか。魔法剣士……剣じゃないから魔法槍士か?
「あれだけの身体能力のうえに魔法まで使えるとか飛んでもねーな」
「魔法なんて童心に帰れそうなものは使えやしない。ただの瘴術じゃよ」
「しょうじゅつ……」
そういえば以前もその言葉を聞いたな。あの時はよく判らなくて後回しにしたままその言葉自体を忘れてた。
というかその口ぶりだと魔法と瘴術ってのは別の物なのか?
「何じゃお主、まさか田舎から出てきたとはいえ瘴術も知らんとか言うのか?」
「そのまさかだよ畜生。魔法と瘴術がどう違うのかさっぱり分からん」
「一体どんな僻地から出てきたんじゃお主……」
「その様子だと知らない方がおかしなレベルの常識的な知識?」
「……はぁ」
おい、そのため息やめろよ。すべてを諦められた感じがしてスゲェ辛いんだが。
まぁ、心が痛くても手を止めない。木枝を骨組みに、巨大な葉っぱを屋根代わりにすれば、葉っぱのテントの完成だ。俺は大人なので悲しくても仕事はキッチリとこなすのだ。
……仕事に打ち込んでると心の痛みを忘れるとか、そういう訳では決してない。
「瘴術っていうのは、世界に漂う瘴気を使って思い描いた事象で現実を上書きする。それが瘴術」
「そう聞くと魔法とどう違うのかさっぱり分からんのだが?」
「簡単に二つを言葉で分けるとすれば、そうじゃな。魔法は願望で、瘴術は学問といった所じゃ」
学問?
「何の代償もなく何でも叶えるという何でもありの魔法と違い、瘴術は改変には術式を組んで瘴気を流し込む必要があるのじゃ。術式によって改変できる内容は定義されるし、流し込む瘴気の量によって起動できる術式の規模にも差が出る。式が描けなきゃ発動できないし、瘴気が無ければやはり発動できない。いろいろ制限があるものじゃ」
「瘴気って響きが、なんか身体にすごく悪そうに感じるんだけど、そんな物が漂ってるのか?」
「そこからか!? いや……」
「何かホントすいません。 常識知らなくて」
こんな見てくれでも、この世界に生れ落ちて間もない零歳児なんですわ。常識も何も持ってないのも仕方が無いっていうか……ねぇ?
「……まぁい良い。瘴気というのは発見された当初、実際に人の体に悪影響を出し、それは大量の犠牲者を出したらしい。しかし、生き物と言うのは順応するもので、当時は身体に悪影響を及ぼしていたとしても、代を重ねるごとで問題ないように適応していった。今では無くてはならない瘴術資源となっておるのじゃよ。そして近代、無害となった後も混乱を避けるため瘴気という名称が引き続き採用されているのだそうじゃ」
「じゃあ、世界中で術と言われるものはみんな瘴術って事か?」
「……概ねそれで間違っておらん。ただし、それは瘴気を用いた術という事であって、瘴術という言葉と同義とは限らない。例えば龍族の神職が使うそれは巫術と呼ばれるし、精霊を介して力を放つ精霊術という物もある。まぁ、術式や手順が個別に独特化しているものの、瘴気を用いて現実を歪ませるという点においては全て共通しておるんだがな」
術式? とかいう手段が違うというだけでやってるだけで、要するにやってる事は変わらないって事か。
RPGの召喚魔法と黒魔法みたいなもんか? 同じMP消費して攻撃魔法でダメージを与えるって所は変わらないけど、方法が全く違うやつ。そこに加えて部族や宗教によって更に特色が違う訳だ。
「魔法という言葉を出されたなら、それは出来もしない事という意味で使われていると思えば良い」
『まるで魔法の様だ』って感じか。
こんなファンタジーな世界なのに、ある意味現代と変わらない扱いなのな。魔法は。
「その様子では適正を調べたこともないのじゃろう? 何ならお主の瘴気適性を試してみるか」
「そんな事できるのか?」
「大した手間ではないな。昔は子供なら皆やっていた事だからのう」
「そうなのか、手間にならないならちょっとお願いしようかな」
「うむ。では両手を出すのじゃ」
言われた通り、シアに向かって両手を突き出す。
その突き出した両手を覆うように目に見えない何かが広がっていくのを感じる。これで何かを調べているのか……?
「……ふむ?」
「どうだったんだ?」
正直見た目には何も変わってないから、何が分かったのかよく判らん。もっとこう、ブワ~っと光ったりするのかと思ってたんだが、想像以上に地味だ。
「うぅ~む……どうやらこれまで瘴術との接点が無さ過ぎたようじゃのう。普通は何か偏りが見えるもんんなのじゃが……」
あぁ、それはまぁ魔法系スキルなんて何一つ触ってなかったからな。
正直欲しく感じた瞬間は何度もあったが、すぐに忙しくなって忘れてしまっていたんだよな。
「偏りが無いと何か問題があるのか?」
「問題……というか、特色が無いと適正のある力の方向性が判らないのじゃ。得意分野があればそれに合わせて伸ばすことが出来るじゃが」
「そういう事か。つまり、俺は全ての能力が平均的すぎて何が得意で何が苦手なのかもわからないと」
適正が分からなければ伸ばす方向性もへったくれもない。
「平均的……とは違うな。お主は平均から見れば、すべてが軒並み低い」
「うわぁ……つまり得意な分野とか以前に、才能が全くないって事か」
「そういう事じゃな。瘴術師としての未来は諦めるが良いぞ」
「うーわ……結構ショックなんですけど」
ファンタジー系のゲームなのに魔法系の才能がないとか、楽しみの大半を奪われたようなもんじゃねぇか。いや、そもそも武器戦闘メインで考えてたからあまり影響は無いと言えば無いんだが、全く使えないと言われると、やっぱり寂しいものがある。
「何、瘴術の才能が無いことでこそ、出来るということもあるぞ?」
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