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三章
百九十一話 坊主Ⅰ
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「くぁ……」
と、あくびを噛み殺して俺が立っているのは協会の支部前だ。
昨日は店が閉まるまで色々な店を見て回って、探索に備えた装備を揃えまくった。
同じマントとかを何度も気直して比べたりして、女の買い物はヤベーなとか内心思いつつも、どこを見て比べてるのかとかをチェリーさんが逐一解説してくれてたから、思ったほど退屈な物にはならなかった。
というか普段あまり気にも留めてなかったものを色々と物色してるだけで結構面白かったな。
面白ついでに色々勝ったものを整備していったら、空が白んでいたっていうね。ガキか俺は。
でまぁ、装備面は準備万端という事で、遺跡探索の依頼が依頼票として出来上がっているのかを協会に確認しに協会の支部に足を運んでみたわけだが……
「何か揉めてる?」
そういって耳をピクピクさせるエリスだが、今回は俺にもはっきり聞きとれている。
そう、今まで人なんて殆どいなかった協会の建物の中から何事かやりとりする声が俺の耳にまで届いている。
内容までは聞き取れないが、まだ外に居るにも拘らず聞こえてくるそのやり取りは、とても友好的とは思えない雰囲気だ。
「これは出なおした方が良いか……?」
「うぅ~ん、でも揉め事は職員に任せて、私たちは私たちの用事を済ませちゃえばよくない?」
「そりゃそうかもしれんけど」
変な因縁つけられて、厄介毎に巻き込まれなきゃいいんだが。
「だーじょうぶだって。変に口を突っ込まなきゃ、飛び火だってしやしないもの」
「……まぁ、そこまで言うなら良いけど」
対人トラブルの対応方法に関しては一手どころか十手くらい先を行くチェリーさんだ。ここは巧者の言に従ってみよう。こういうのは慣れてる人に任せるのが一番だからな。
何食わぬ顔で中に入っていったチェリーさんを追って入ってみれば、中でやりあってる職員さんはよりによって俺等の担当のシーマさんだった。
よりにもよって何でだよ……とも思うが、この事務所にいるのってシーマさんと後二人くらいしか見たことないんだよな。確率3分の1で外れ引いたって所か。付いてねぇな。
相手は……坊主? いかにも僧侶的な出で立ちのオッサン……爺さん? が二人。
つばを飛ばして喚き散らしてるのは一人だけで、もう一人はなんか困ったような顔でずっと黙ってる。
まぁ、チェリーさんの言う通り変に口を突っ込んで巻き込まれてもアレだから、ここは大人しく話が終わるのを待たせてもらおう。
という訳で、立ち聞きするのもなんか悪いので、テーブル席で待っているわけだが……
「ですから……! …………この国の…………あなた方とは………!」
「……我々の…………! 管理は……法国が……何故………ですか!」
声でけー。
盗み聞きとかそういうつもりはまったくないけど、バカでかい声で言い合いしてるから聞く気がなくても勝手に聞こえてくるんだよなぁ。
それにしても嫌な単語が聞こえたなぁ。
法国。
……っつったらアレだよな? サルヴァ法国。
俺に殺し屋な共信者を差し向けてくれた腐れ宗教国家。
王都でアレだけの事しでかしておいて、この国でまだ別に何かやらかすつもりなのか……?
聞き流すつもりだったが法国絡みとなるとちょっと怖いな。なんかもう会話は終わりそうだけど、一応状況確認だけはしておくか。
「そういうことですので、お引取りを」
「待て!まだ話は終わっておりませんぞ!?」
「いいえ、終わりです。国家同盟で運営されている協会に対してこの国での略奪を認めろなど、そんな話が通るわけ無いでしょう?」
「略奪ではない! 我々が管理すると言っているだけであろう!」
「他国の財産を、一方的な理論で管理するとのたまい、許可なく取り上げることを世間一般では略奪と言うんですよ。それとも私掠とでも言っておきますか?」
うわぁ、物騒な単語が出てきた。
何だ? 強盗の依頼でもしに来たのか?
「これ以上、まだ何かございましたら王都のエデルヴァルト陛下に直接仰ってください。あなた方が行おうとしているのは明確な国家への攻撃です。あなた方の行動が真に正しいというのなら、まず通すべき筋というものがあるでしょう」
「神を信じぬあの王が、許すとお思いか!?」
「許さないでしょうねぇ? そもそも陛下は神狼を崇めていたはずなので、神様は信じてますよ?」
「獣が神であるはずなかろう!? それは神への冒涜ですぞ!」
「言い過ぎです。慎みなさい」
「ですが!」
初めて、もう一人の坊さんが口を開いた。どうやら立場的にはコッチのほうが上っぽい?
「冒涜ですか……私に言わせれば、あなた方の言動こそがこの国の国教への冒涜ですよ。聖職者を自称するならば、そんな野盗じみた真似をしていないで、まずは人としての道理を通してはどうです? 営業の邪魔ですのでお引取りを」
「ぐ……この……!」
おぉう、シーマさんも結構言うな。かなりの攻撃的対応だ。
そして、営業の邪魔、と言われた坊主二人はその時初めて俺たちに気付いたようで、少しギョッとして――
「何を聞き耳を立てておるか!?」
いや、何で噛み付いてくるんだよ。
言い合いはそっちで勝手にやっててくれよ。一々絡んでくるなって。面倒くさいな。
「いや、あんたらが勝手にでかい声で喚いてただけだろ。外からも聞こえたぞ?」
「なら立ち去ればよかろう!?」
「……ハインリヒ」
「何で? 俺等は協会に用事があって来たのに立ち去る理由が何処にある? 俺等を追い出せるとしたらこの建物の持ち主である協会の人間だけだろ。アンタはここの職員なのかい?」
つか、このハインリヒ? とか言うおっさん、何でこんな上から目線なんだ?
ただでさえ法国というだけで良い印象無いのに、一々噛みつかれると流石に腹立つな。
「そもそも内緒話したいなら奥の部屋借りてすればいいだろ。天下の往来にまで聞こえるバカでかい声で無理やり聞かせておいて、人を盗み聞き扱いするのが法国の坊主の仕事かい?」
「お、おのれ……ゴロツキ風情が……」
「ハイハイ、ゴロツキゴロツキ。迷惑だから絡んでくんな。コッチは何も関係ねぇだろうが」
「貴様っ……!」
「ハインリヒ、そこまでです。あなたの言動はその青年の指摘する通り、非常に醜い。あなたに任せるつもりで口を出しませんでしたが、これ以上は法国の顔に泥を塗るだけです」
「カルコ司教!?」
「我々聖職者の他国での立ち居振る舞いが、法国にたいする印象へと繋がるのですよ?」
「そんな、司教!? 邪教徒共の肩を持つのですか!?」
「この国の神獣信仰を、サルヴァは邪教認定したことは一度もなかったはずですが……? まさか貴方は女神様ではなく、どこぞの邪神を崇めているのですか?」
「そんな訳ありません!! 我が信仰は常に女神様に……」
「でしたら、女神を奉じるサルヴァの神官にふさわしい振る舞いを身に着けなさい。貴方の口からは恐喝と恫喝しか出てこない。非常に醜いと言わざるをえません」
「な……ぐ……は」
おっさん坊主は、爺さん坊主に諌められると、それまでの勢いを失いビックリするほど目を見開いて絶句していた
怒りで震えてるのか、真っ赤になっているのも相まって、もう何というか、だるまとしか表現できないような顔になってる。
「協会のご意見、参考にさせていただきます。これ以上はお邪魔になりそうですので、我々はここで引かせていただきます」
「ええ、そうして頂けると助かります」
「ハインリヒ。私は協会に顔を出します。貴方は頭を冷やしてから戻りなさい」
「……承知……しました」
あの反応、絶対納得言ってませんって感じだな。
そういう態度を上司の前で取っちまうのは流石にどうなんだ? まぁあのオッサンがどうなろうと俺の知ったことではないが。
というか、いうだけ言って帰っちまったがあの爺さん、せめてそこでプルプルしてる同行者を外まで引きずっていってほしいんだが。でないと……
「お前たちが反抗しなければ……!」
ほら絡んできた。めんどくせぇー。
「大声を出さないでください。ここは貴方の家ではありません。ご近所様に迷惑でしょう」
「何だと!」
「さっきの老人は少なくとも僧侶としてあるべき態度だけは示していましたが……貴方は野盗と何も変わりありませんね。これ以上暴挙を重ねるのならサルヴァ法国による我が協会……いえ、国家間同盟への攻撃として警備の兵を呼ばせていただきますが?」
おっと、あの人表情ほとんど変えてないけど、相当頭にきてるな。立ち居振る舞いは冷静っぽいけど、言い方が完全に喧嘩腰だ。
「そっ……そのようなことを言っては」
「ですから、声が大きいと言っているんです。そちらの順番待ちの方達にも迷惑でしょう。用事は済んでいるはずです。お引取りを」
「我らのほうが先に来ていたのだぞ! 我らの対をを優先するのは当然であろうが!?」
こいつ、全く声を小さくする気がねぇな。旗から見てるとコントにしか見えん。
「あなた方が強引に押しかけただけでしょう。その方達には依頼の件で約束があったのに、貴方方が事前の連絡もなく押しかけていたに過ぎません。彼らが到着するまでは構いませんでしたが、こうやって現れた以上は彼らを優先するに決まっているではありませんか」
まぁ、そんな約束はしてねぇけどな。
何時出来るかわからないから確認しに来たわけだし。
「そもそも、要件に関しては明確に返答をお返しして、この話は終わっています。先程の老僧の言う通り、帰って頭を冷やしなさい」
「だが!」
「僧であるならまず人の話を聞きなさい! ……声が大きいと何度言えば分かるんですか」
流石にキレかけたな。一瞬叫び返して冷静さを取り戻したか。
まぁ、俺なら間違いなくもっと速くキレてるが。
「~~……この様なゴロツキの話が我らの言葉より重要だと……!?」
ゲ……いちいちコッチにまで絡んでくんなよ……
というか、我慢しようとしたのかもしれんが、口を開いてみれば結局大声じゃねぇか。わざとやってんのか?
っていうか坊主の修行ってもっとこう、地味で静かで質素なもんじゃないのか?
なんでこんなギャグ漫画に出てくる、声がデカくて何故かすぐキレる体育教師……みたいなテンプレキャラが出てくるんだ?
と、あくびを噛み殺して俺が立っているのは協会の支部前だ。
昨日は店が閉まるまで色々な店を見て回って、探索に備えた装備を揃えまくった。
同じマントとかを何度も気直して比べたりして、女の買い物はヤベーなとか内心思いつつも、どこを見て比べてるのかとかをチェリーさんが逐一解説してくれてたから、思ったほど退屈な物にはならなかった。
というか普段あまり気にも留めてなかったものを色々と物色してるだけで結構面白かったな。
面白ついでに色々勝ったものを整備していったら、空が白んでいたっていうね。ガキか俺は。
でまぁ、装備面は準備万端という事で、遺跡探索の依頼が依頼票として出来上がっているのかを協会に確認しに協会の支部に足を運んでみたわけだが……
「何か揉めてる?」
そういって耳をピクピクさせるエリスだが、今回は俺にもはっきり聞きとれている。
そう、今まで人なんて殆どいなかった協会の建物の中から何事かやりとりする声が俺の耳にまで届いている。
内容までは聞き取れないが、まだ外に居るにも拘らず聞こえてくるそのやり取りは、とても友好的とは思えない雰囲気だ。
「これは出なおした方が良いか……?」
「うぅ~ん、でも揉め事は職員に任せて、私たちは私たちの用事を済ませちゃえばよくない?」
「そりゃそうかもしれんけど」
変な因縁つけられて、厄介毎に巻き込まれなきゃいいんだが。
「だーじょうぶだって。変に口を突っ込まなきゃ、飛び火だってしやしないもの」
「……まぁ、そこまで言うなら良いけど」
対人トラブルの対応方法に関しては一手どころか十手くらい先を行くチェリーさんだ。ここは巧者の言に従ってみよう。こういうのは慣れてる人に任せるのが一番だからな。
何食わぬ顔で中に入っていったチェリーさんを追って入ってみれば、中でやりあってる職員さんはよりによって俺等の担当のシーマさんだった。
よりにもよって何でだよ……とも思うが、この事務所にいるのってシーマさんと後二人くらいしか見たことないんだよな。確率3分の1で外れ引いたって所か。付いてねぇな。
相手は……坊主? いかにも僧侶的な出で立ちのオッサン……爺さん? が二人。
つばを飛ばして喚き散らしてるのは一人だけで、もう一人はなんか困ったような顔でずっと黙ってる。
まぁ、チェリーさんの言う通り変に口を突っ込んで巻き込まれてもアレだから、ここは大人しく話が終わるのを待たせてもらおう。
という訳で、立ち聞きするのもなんか悪いので、テーブル席で待っているわけだが……
「ですから……! …………この国の…………あなた方とは………!」
「……我々の…………! 管理は……法国が……何故………ですか!」
声でけー。
盗み聞きとかそういうつもりはまったくないけど、バカでかい声で言い合いしてるから聞く気がなくても勝手に聞こえてくるんだよなぁ。
それにしても嫌な単語が聞こえたなぁ。
法国。
……っつったらアレだよな? サルヴァ法国。
俺に殺し屋な共信者を差し向けてくれた腐れ宗教国家。
王都でアレだけの事しでかしておいて、この国でまだ別に何かやらかすつもりなのか……?
聞き流すつもりだったが法国絡みとなるとちょっと怖いな。なんかもう会話は終わりそうだけど、一応状況確認だけはしておくか。
「そういうことですので、お引取りを」
「待て!まだ話は終わっておりませんぞ!?」
「いいえ、終わりです。国家同盟で運営されている協会に対してこの国での略奪を認めろなど、そんな話が通るわけ無いでしょう?」
「略奪ではない! 我々が管理すると言っているだけであろう!」
「他国の財産を、一方的な理論で管理するとのたまい、許可なく取り上げることを世間一般では略奪と言うんですよ。それとも私掠とでも言っておきますか?」
うわぁ、物騒な単語が出てきた。
何だ? 強盗の依頼でもしに来たのか?
「これ以上、まだ何かございましたら王都のエデルヴァルト陛下に直接仰ってください。あなた方が行おうとしているのは明確な国家への攻撃です。あなた方の行動が真に正しいというのなら、まず通すべき筋というものがあるでしょう」
「神を信じぬあの王が、許すとお思いか!?」
「許さないでしょうねぇ? そもそも陛下は神狼を崇めていたはずなので、神様は信じてますよ?」
「獣が神であるはずなかろう!? それは神への冒涜ですぞ!」
「言い過ぎです。慎みなさい」
「ですが!」
初めて、もう一人の坊さんが口を開いた。どうやら立場的にはコッチのほうが上っぽい?
「冒涜ですか……私に言わせれば、あなた方の言動こそがこの国の国教への冒涜ですよ。聖職者を自称するならば、そんな野盗じみた真似をしていないで、まずは人としての道理を通してはどうです? 営業の邪魔ですのでお引取りを」
「ぐ……この……!」
おぉう、シーマさんも結構言うな。かなりの攻撃的対応だ。
そして、営業の邪魔、と言われた坊主二人はその時初めて俺たちに気付いたようで、少しギョッとして――
「何を聞き耳を立てておるか!?」
いや、何で噛み付いてくるんだよ。
言い合いはそっちで勝手にやっててくれよ。一々絡んでくるなって。面倒くさいな。
「いや、あんたらが勝手にでかい声で喚いてただけだろ。外からも聞こえたぞ?」
「なら立ち去ればよかろう!?」
「……ハインリヒ」
「何で? 俺等は協会に用事があって来たのに立ち去る理由が何処にある? 俺等を追い出せるとしたらこの建物の持ち主である協会の人間だけだろ。アンタはここの職員なのかい?」
つか、このハインリヒ? とか言うおっさん、何でこんな上から目線なんだ?
ただでさえ法国というだけで良い印象無いのに、一々噛みつかれると流石に腹立つな。
「そもそも内緒話したいなら奥の部屋借りてすればいいだろ。天下の往来にまで聞こえるバカでかい声で無理やり聞かせておいて、人を盗み聞き扱いするのが法国の坊主の仕事かい?」
「お、おのれ……ゴロツキ風情が……」
「ハイハイ、ゴロツキゴロツキ。迷惑だから絡んでくんな。コッチは何も関係ねぇだろうが」
「貴様っ……!」
「ハインリヒ、そこまでです。あなたの言動はその青年の指摘する通り、非常に醜い。あなたに任せるつもりで口を出しませんでしたが、これ以上は法国の顔に泥を塗るだけです」
「カルコ司教!?」
「我々聖職者の他国での立ち居振る舞いが、法国にたいする印象へと繋がるのですよ?」
「そんな、司教!? 邪教徒共の肩を持つのですか!?」
「この国の神獣信仰を、サルヴァは邪教認定したことは一度もなかったはずですが……? まさか貴方は女神様ではなく、どこぞの邪神を崇めているのですか?」
「そんな訳ありません!! 我が信仰は常に女神様に……」
「でしたら、女神を奉じるサルヴァの神官にふさわしい振る舞いを身に着けなさい。貴方の口からは恐喝と恫喝しか出てこない。非常に醜いと言わざるをえません」
「な……ぐ……は」
おっさん坊主は、爺さん坊主に諌められると、それまでの勢いを失いビックリするほど目を見開いて絶句していた
怒りで震えてるのか、真っ赤になっているのも相まって、もう何というか、だるまとしか表現できないような顔になってる。
「協会のご意見、参考にさせていただきます。これ以上はお邪魔になりそうですので、我々はここで引かせていただきます」
「ええ、そうして頂けると助かります」
「ハインリヒ。私は協会に顔を出します。貴方は頭を冷やしてから戻りなさい」
「……承知……しました」
あの反応、絶対納得言ってませんって感じだな。
そういう態度を上司の前で取っちまうのは流石にどうなんだ? まぁあのオッサンがどうなろうと俺の知ったことではないが。
というか、いうだけ言って帰っちまったがあの爺さん、せめてそこでプルプルしてる同行者を外まで引きずっていってほしいんだが。でないと……
「お前たちが反抗しなければ……!」
ほら絡んできた。めんどくせぇー。
「大声を出さないでください。ここは貴方の家ではありません。ご近所様に迷惑でしょう」
「何だと!」
「さっきの老人は少なくとも僧侶としてあるべき態度だけは示していましたが……貴方は野盗と何も変わりありませんね。これ以上暴挙を重ねるのならサルヴァ法国による我が協会……いえ、国家間同盟への攻撃として警備の兵を呼ばせていただきますが?」
おっと、あの人表情ほとんど変えてないけど、相当頭にきてるな。立ち居振る舞いは冷静っぽいけど、言い方が完全に喧嘩腰だ。
「そっ……そのようなことを言っては」
「ですから、声が大きいと言っているんです。そちらの順番待ちの方達にも迷惑でしょう。用事は済んでいるはずです。お引取りを」
「我らのほうが先に来ていたのだぞ! 我らの対をを優先するのは当然であろうが!?」
こいつ、全く声を小さくする気がねぇな。旗から見てるとコントにしか見えん。
「あなた方が強引に押しかけただけでしょう。その方達には依頼の件で約束があったのに、貴方方が事前の連絡もなく押しかけていたに過ぎません。彼らが到着するまでは構いませんでしたが、こうやって現れた以上は彼らを優先するに決まっているではありませんか」
まぁ、そんな約束はしてねぇけどな。
何時出来るかわからないから確認しに来たわけだし。
「そもそも、要件に関しては明確に返答をお返しして、この話は終わっています。先程の老僧の言う通り、帰って頭を冷やしなさい」
「だが!」
「僧であるならまず人の話を聞きなさい! ……声が大きいと何度言えば分かるんですか」
流石にキレかけたな。一瞬叫び返して冷静さを取り戻したか。
まぁ、俺なら間違いなくもっと速くキレてるが。
「~~……この様なゴロツキの話が我らの言葉より重要だと……!?」
ゲ……いちいちコッチにまで絡んでくんなよ……
というか、我慢しようとしたのかもしれんが、口を開いてみれば結局大声じゃねぇか。わざとやってんのか?
っていうか坊主の修行ってもっとこう、地味で静かで質素なもんじゃないのか?
なんでこんなギャグ漫画に出てくる、声がデカくて何故かすぐキレる体育教師……みたいなテンプレキャラが出てくるんだ?
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