148 / 330
三章
百四十話 協会Ⅱ
しおりを挟む
強者であればあるほど依頼に参加しないというのは、この街の協会にとっては頭痛の種だろう。
だが、その場しのぎでも良いからある程度の収入がほしい俺にとってはかなり美味しい話ではある。
どの程度の依頼があるかは確認してみないとわからないが、少なくともNPCの同業者すら殆居ないということは仕事が選び放題ということだからな。
まぁ、住民の信頼がなくて依頼自体が少なくなったって話だから、美味しい稼ぎ話みたいなのは期待できないが、一攫千金を夢見てるわけじゃないしな。
「それじゃ、簡単そうな害獣駆除の依頼ってありますか?」
「今の話を聞いたあとで受けてくださるのですか?」
「え? だって他に仕事取り合いにならずにやれるんでしょう? 確かに大会に参加登録しましたけど、ソレは単なる腕試し的なもので、俺としてはコツコツと小銭を稼ぎつつ、経験を積みたいんですよ」
レベル上げに来た俺にとっては、むしろこっちのほうが本命で、闘技大会は実力確認の為の参加に過ぎないんだよな。
本当なら勝手にその辺のヤバそうな獣を退治するつもりだったが、仕事として金まで貰えるというのなら依頼を受けないという選択肢はないだろう。
「そういう事でしたらぜひお願いします」
そういって一度奥に引っ込んだ職員さんは数枚の依頼票を見繕って持ってきてくれた。
「開店休業状態と言う割には、それなりに依頼が来てるんですね?」
「雑用じみた依頼はもう自己解決するような空気になっていますが、害獣駆除に関しては流石に自力でどうこうできる物ではないので、未だに依頼が集まるんです」
それもそうか。畜産家に家畜を食い荒らしに来る狼を自力でなんとかしろとかは流石に無茶な話だ。
いくら依頼を受けてもらい難いとっても、危険なものに関しては依頼せざるを得ないという訳だ。
「田舎から出てきたばかりということですので、まずは腕試しがてら、この辺りでは最もよく知られる害獣であるシュリガーラの駆除などがおすすめです」
「ふむ……シュリガーラってどんな獣なんですか?」
「犬や狐の間の子ような獣なんですが、小型の獣なんかをよく襲います」
コヨーテみたいなもんだろうか?
大型の獣というわけでは無さそうだが……
「屍肉食いでもあるのですけど、今回の依頼は小動物を襲うという方に問題があります。この街の近くに牧場があり、そこでランクック――食肉用の鳥を飼育しているのですが……」
「シュリガーラとやらに食い荒らされていると」
「はい。本来少数で群れて居るのですが、原因は判りませんが非常に大きな群れを作っているらしく、牧場主では手が負えなくなっています」
「どれくらいの規模かってわかります?」
「依頼者の話では20は居たそうです。本来シュリガーラは臆病で、人の姿を見かけると逃げ去るのですが、数が増えたことで気が強くなっているのか、追い払おうとした牧場主に飛びかかって来るほどだったそうで……」
群れると気が強くなるのって人間だけじゃなかったのな。
しかし20か……4人で行けるか?
「依頼内容はシュリガーラの駆除。10匹も狩れば大人しくなるだろうとの事で、10匹分の尾を持ち帰って頂ければ報酬と引き換えさせていただきます」
なるほど、討伐したっていう確認の為のアイテムが必要な訳か。
確かに尻尾が二本ある訳でもないだろうし、10本の尻尾を持ち帰ればつまり10匹狩った証明になる訳だ。
「じゃあ、お試しということでその依頼を受けてみます」
「はい、有難うございます。受注の担保の方はどうしますか?」
「手持ちが心もとないので、腕輪でお願いします」
「わかりました。では少々お待ちください」
そういって取り出したのは……四角い箱? 腕輪って話じゃなかったっけか?
俺の疑問をよそに、職員の人はその箱をおもむろに2つに割り開いた。
その中には空洞があり、ちょうど腕を差し込める程度の隙間が空いていた。
「ここに腕を差し入れていただきますと、こちらの装置が追跡用の腕輪を生成する仕組みになっています」
「あぁ、なるほど。腕輪ごと持ち逃げされたらどうするのかと思ったら、こういう……」
「はい。これは物理的に腕に嵌められる訳ではなく、登録者の心拍から心の臓の位置情報を登録しています。腕輪に見えているのはその機能が働いているというシンボルでしかありません」
うわ、思ったよりえげつない。
要するにモニタリングできるペースメーカーを無理割植え付ける感じか。
腕輪はあくまで視覚的にそういう処置が施されている人間だとというのを知らせるだけのもの……と。
「随分凄い技術ですね……こんなの作れるほど発展してるんですかこの街って」
「あぁ、いえ。これは旧天人の崩落遺跡から回収されたもので、我々がこれほどの道具を作り出せるわけではないんですよ」
「そうなんですか」
天人というのがどういうものかは分からんが、語感からして神様とかそれ系の種族だろう。遺跡からの回収品というからにはこの手のゲームでお馴染みの、旧文明のアーティファクト的な奴だろうか?
「では、腕をここへ」
「はい」
言われるがまま腕を差し出す。
普段であれば罠を疑う所だが、理由が思い浮かばん。この街にはつい昨日来たばかりで、トラブるらしいトラブルは門番との諍いだけだ。
それに列に並んでいる大会参加希望者や他の職員っていう目撃者がこれだけ居て、堂々と犯罪まがいの真似をするとは思えん。
差し出した腕を挟むように、魔法の箱が閉じる。それで終わりだった。
何か派手に光る訳でも音が鳴るでもなく、ただ閉じて、そして開けば腕輪のようなシンボルが既にハマっていた。
何かもっと、キラキラした魔法陣みたいなのを予想していたが、ハマっていたのは焼き物のような質感の腕輪だ。
手首にピッタリと密着していて、拳よりも直径が小さい。つまり外すことは出来ない。
強度がそれほどあるようには思えないから、破壊することは出来るかもしれない。しかし、職員さんのさっきの言葉からするとそれに意味は無い。
はめられた時点で心拍を記録しているっていうし、もしかしたらコレは本来なら罪人の管理とかに使われてたのかもしれないな。……ただの憶測だが。
「子の腕輪をつける事で担保払いは免除されますが、依頼失敗した時の違約金の支払い自体は発生しますので注意してください。と言ってもこの依頼には期限が設定されていないので、あなたが再起不能にでもならない限りは違約金の支払いが必要な事態にはなりませんけどね」
「あぁ、依頼によってはそういう事もあるんですね。そういう所も確認するのが大事って事ですか」
「はい。駆け出しは割と考えなしに受ける人が居たりしますが、これは依頼を受ける際の判断基準の中では特に重要な所ですね」
確かに、討伐対象がクッソ弱くても討伐期間が激渋で、受けた時点で自分たちの戦力では既に間に合わないとか言う事態もあり得るな。
詳細の確認は確かに大事だ。
……というか、まぁ普通はちゃんと確認するよな?
なのにここまで念押しするって事は、ゲームだとよくある『とりあえず受けられるクエストは全部受けちまえ』的によく考えず依頼を抱え込む人が多いのか?
「依頼によっては依頼人と様々な交渉が必要な場合もありますが、今回は結果払いとなりますので依頼人とのやり取りは必要ありません」
「交渉が必要な依頼なんてあるんですか?」
「依頼期間だったり、報酬の交渉だったり、或いは依頼内容を一般には秘匿したい場合は現地で直接依頼主との依頼内容の確認だったりもありますからねぇ」
「公にできないような内容の依頼とかアリなんですかそれ?」
「公表……つまり依頼票に内容が張り出されないだけで、仲介請負の協会にはちゃんと依頼内容は事前に提示されますから。流石に犯罪なんかに使われたら困りますし、そこはちゃんと確認しています」
ああ、ちゃんとそういう精査はされてるのね。
異世界転生モノのお約束と言うか、ギルドで受けた仕事がトンデモな内容でトラブルに巻き込まれて~みたいな理不尽系は回避できるというわけだ。
ああいうのって見てる分にはネタとしてアリだけど、自分が巻き込まれたらあまりに理不尽すぎて憤死しかねんだろ。俺なら間違いなくそんな仕事仲介したギルドにキレる。
「……ってあぁ、成程。そういった煩雑なやり取りが必要ないってのも含めて初心者用の依頼って事か」
「はい、そういう事です。ということで、まずこの依頼の遂行をよろしくお願いしますね」
「わかりました。ではやってみます」
ギルド加入チュートリアル的なもんだと思って、ひとまず真面目にやってみよう。
対象もそこまでヤベー奴じゃないっぽいし、ハイナ村の夜番で野犬追い払ったりとかも何度も経験してるし、おそらくなんとかなるだろう。
だが、その場しのぎでも良いからある程度の収入がほしい俺にとってはかなり美味しい話ではある。
どの程度の依頼があるかは確認してみないとわからないが、少なくともNPCの同業者すら殆居ないということは仕事が選び放題ということだからな。
まぁ、住民の信頼がなくて依頼自体が少なくなったって話だから、美味しい稼ぎ話みたいなのは期待できないが、一攫千金を夢見てるわけじゃないしな。
「それじゃ、簡単そうな害獣駆除の依頼ってありますか?」
「今の話を聞いたあとで受けてくださるのですか?」
「え? だって他に仕事取り合いにならずにやれるんでしょう? 確かに大会に参加登録しましたけど、ソレは単なる腕試し的なもので、俺としてはコツコツと小銭を稼ぎつつ、経験を積みたいんですよ」
レベル上げに来た俺にとっては、むしろこっちのほうが本命で、闘技大会は実力確認の為の参加に過ぎないんだよな。
本当なら勝手にその辺のヤバそうな獣を退治するつもりだったが、仕事として金まで貰えるというのなら依頼を受けないという選択肢はないだろう。
「そういう事でしたらぜひお願いします」
そういって一度奥に引っ込んだ職員さんは数枚の依頼票を見繕って持ってきてくれた。
「開店休業状態と言う割には、それなりに依頼が来てるんですね?」
「雑用じみた依頼はもう自己解決するような空気になっていますが、害獣駆除に関しては流石に自力でどうこうできる物ではないので、未だに依頼が集まるんです」
それもそうか。畜産家に家畜を食い荒らしに来る狼を自力でなんとかしろとかは流石に無茶な話だ。
いくら依頼を受けてもらい難いとっても、危険なものに関しては依頼せざるを得ないという訳だ。
「田舎から出てきたばかりということですので、まずは腕試しがてら、この辺りでは最もよく知られる害獣であるシュリガーラの駆除などがおすすめです」
「ふむ……シュリガーラってどんな獣なんですか?」
「犬や狐の間の子ような獣なんですが、小型の獣なんかをよく襲います」
コヨーテみたいなもんだろうか?
大型の獣というわけでは無さそうだが……
「屍肉食いでもあるのですけど、今回の依頼は小動物を襲うという方に問題があります。この街の近くに牧場があり、そこでランクック――食肉用の鳥を飼育しているのですが……」
「シュリガーラとやらに食い荒らされていると」
「はい。本来少数で群れて居るのですが、原因は判りませんが非常に大きな群れを作っているらしく、牧場主では手が負えなくなっています」
「どれくらいの規模かってわかります?」
「依頼者の話では20は居たそうです。本来シュリガーラは臆病で、人の姿を見かけると逃げ去るのですが、数が増えたことで気が強くなっているのか、追い払おうとした牧場主に飛びかかって来るほどだったそうで……」
群れると気が強くなるのって人間だけじゃなかったのな。
しかし20か……4人で行けるか?
「依頼内容はシュリガーラの駆除。10匹も狩れば大人しくなるだろうとの事で、10匹分の尾を持ち帰って頂ければ報酬と引き換えさせていただきます」
なるほど、討伐したっていう確認の為のアイテムが必要な訳か。
確かに尻尾が二本ある訳でもないだろうし、10本の尻尾を持ち帰ればつまり10匹狩った証明になる訳だ。
「じゃあ、お試しということでその依頼を受けてみます」
「はい、有難うございます。受注の担保の方はどうしますか?」
「手持ちが心もとないので、腕輪でお願いします」
「わかりました。では少々お待ちください」
そういって取り出したのは……四角い箱? 腕輪って話じゃなかったっけか?
俺の疑問をよそに、職員の人はその箱をおもむろに2つに割り開いた。
その中には空洞があり、ちょうど腕を差し込める程度の隙間が空いていた。
「ここに腕を差し入れていただきますと、こちらの装置が追跡用の腕輪を生成する仕組みになっています」
「あぁ、なるほど。腕輪ごと持ち逃げされたらどうするのかと思ったら、こういう……」
「はい。これは物理的に腕に嵌められる訳ではなく、登録者の心拍から心の臓の位置情報を登録しています。腕輪に見えているのはその機能が働いているというシンボルでしかありません」
うわ、思ったよりえげつない。
要するにモニタリングできるペースメーカーを無理割植え付ける感じか。
腕輪はあくまで視覚的にそういう処置が施されている人間だとというのを知らせるだけのもの……と。
「随分凄い技術ですね……こんなの作れるほど発展してるんですかこの街って」
「あぁ、いえ。これは旧天人の崩落遺跡から回収されたもので、我々がこれほどの道具を作り出せるわけではないんですよ」
「そうなんですか」
天人というのがどういうものかは分からんが、語感からして神様とかそれ系の種族だろう。遺跡からの回収品というからにはこの手のゲームでお馴染みの、旧文明のアーティファクト的な奴だろうか?
「では、腕をここへ」
「はい」
言われるがまま腕を差し出す。
普段であれば罠を疑う所だが、理由が思い浮かばん。この街にはつい昨日来たばかりで、トラブるらしいトラブルは門番との諍いだけだ。
それに列に並んでいる大会参加希望者や他の職員っていう目撃者がこれだけ居て、堂々と犯罪まがいの真似をするとは思えん。
差し出した腕を挟むように、魔法の箱が閉じる。それで終わりだった。
何か派手に光る訳でも音が鳴るでもなく、ただ閉じて、そして開けば腕輪のようなシンボルが既にハマっていた。
何かもっと、キラキラした魔法陣みたいなのを予想していたが、ハマっていたのは焼き物のような質感の腕輪だ。
手首にピッタリと密着していて、拳よりも直径が小さい。つまり外すことは出来ない。
強度がそれほどあるようには思えないから、破壊することは出来るかもしれない。しかし、職員さんのさっきの言葉からするとそれに意味は無い。
はめられた時点で心拍を記録しているっていうし、もしかしたらコレは本来なら罪人の管理とかに使われてたのかもしれないな。……ただの憶測だが。
「子の腕輪をつける事で担保払いは免除されますが、依頼失敗した時の違約金の支払い自体は発生しますので注意してください。と言ってもこの依頼には期限が設定されていないので、あなたが再起不能にでもならない限りは違約金の支払いが必要な事態にはなりませんけどね」
「あぁ、依頼によってはそういう事もあるんですね。そういう所も確認するのが大事って事ですか」
「はい。駆け出しは割と考えなしに受ける人が居たりしますが、これは依頼を受ける際の判断基準の中では特に重要な所ですね」
確かに、討伐対象がクッソ弱くても討伐期間が激渋で、受けた時点で自分たちの戦力では既に間に合わないとか言う事態もあり得るな。
詳細の確認は確かに大事だ。
……というか、まぁ普通はちゃんと確認するよな?
なのにここまで念押しするって事は、ゲームだとよくある『とりあえず受けられるクエストは全部受けちまえ』的によく考えず依頼を抱え込む人が多いのか?
「依頼によっては依頼人と様々な交渉が必要な場合もありますが、今回は結果払いとなりますので依頼人とのやり取りは必要ありません」
「交渉が必要な依頼なんてあるんですか?」
「依頼期間だったり、報酬の交渉だったり、或いは依頼内容を一般には秘匿したい場合は現地で直接依頼主との依頼内容の確認だったりもありますからねぇ」
「公にできないような内容の依頼とかアリなんですかそれ?」
「公表……つまり依頼票に内容が張り出されないだけで、仲介請負の協会にはちゃんと依頼内容は事前に提示されますから。流石に犯罪なんかに使われたら困りますし、そこはちゃんと確認しています」
ああ、ちゃんとそういう精査はされてるのね。
異世界転生モノのお約束と言うか、ギルドで受けた仕事がトンデモな内容でトラブルに巻き込まれて~みたいな理不尽系は回避できるというわけだ。
ああいうのって見てる分にはネタとしてアリだけど、自分が巻き込まれたらあまりに理不尽すぎて憤死しかねんだろ。俺なら間違いなくそんな仕事仲介したギルドにキレる。
「……ってあぁ、成程。そういった煩雑なやり取りが必要ないってのも含めて初心者用の依頼って事か」
「はい、そういう事です。ということで、まずこの依頼の遂行をよろしくお願いしますね」
「わかりました。ではやってみます」
ギルド加入チュートリアル的なもんだと思って、ひとまず真面目にやってみよう。
対象もそこまでヤベー奴じゃないっぽいし、ハイナ村の夜番で野犬追い払ったりとかも何度も経験してるし、おそらくなんとかなるだろう。
1
お気に入りに追加
630
あなたにおすすめの小説
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
生産職から始まる初めてのVRMMO
結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。
そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。
そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。
そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。
最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。
最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。
そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる