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二章

百二十三話 進む道

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「なんかこの、人工物が極端に少ない景色が随分久々に感じるね」
「そうだなぁ、あれからそんなに経ってないはずなんだけど」

 王都からの帰り道、チェリーさんのそんな言葉に何ともなしに周りに視線を送ってみる。
 言われてみると、確かに随分久しぶりに感じる壁の外の風景。
 行きの道程から考えればあれから10日程しか経っていないのだから、久しぶりというのは言いすぎかも知れないが、体感的にはもう1ヶ月ぶりくらいに感じてしまう。
 要するにそれくらい濃い時間を過ごしたということなんだろう。
 貴族の反乱によって予定が狂い、少々延期されていた村長達の会議も無事終わり、10日に及ぶ王都旅行もこれで終わりというわけだ。
 旅行と言うには随分と殺伐とした内容ではあったが、それはもうMMOなんだから戦闘に巻き込まれるのは仕方ないと諦めよう。
 特に王様みたいな、普通に考えたらまず遭遇すら出来ないようなVIPとの人脈を持ててる事自体が幸運みたいなもんだし、多少の騒動くらいなら人脈の対価としては安いものだろう。
 ……別に望んで作った人脈ではないという所だけが引っかかるが、流石にそれを言ったら贅沢が過ぎるというものだ。

 それに色々とひどい目にもあったのは確かだが、それだけではなく色々と収穫もあった。
 ハイナ村ではなかなか手にはいらない日曜生活品関連だ。
 初期所持品の冒険初心者セットにいくつか入ってはいたのだが、所詮カバンの中に1セット入っていただけなので使えば当然無くなってしまう。
 特に消耗品関係はアラマキ氏も生産スキルを持っていないようで、さてどうしようかと頭を悩ませていたのだが、王都の出店の中に文房具屋……と言うには武器と筆記用具と食べ物がまとめて置いてあったりと随分と混沌としたその店で偶然にも色々と見つけることが出来たのだ。
 特に羊皮紙らしきものやインクを補充できたのは正直有難かった。
 まぁ、インクに関してはとっくに切らしていて、木を焼いて墨汁もどきを作って代用してはいたが、紙ばかりは俺の知識じゃどうしようもなかったから素直に嬉しい。
 ハイナ村では狩った動物の皮は普通に革材として使われるので、紙のような消耗品として使い捨てるような勿体無い真似は流石に出来なかったからな。
 王様にもらったお駄賃でそれなりに買い込んだから、紙の確保はもしかしたら王都に来て一番うれしい出来事だったかもしれん。
 後はかなり頑丈で決めの細かい布が安く手に入ったのも嬉しい。
 俺の素人仕事で編んだ草綿の布とは明らかに質が違う。
 色々練習する必要があるけれど、コレを使えばもうちょっとマシな服を仕立て上げられる筈だ。
 食い物は流石に旨いものが多かったが、長持ちしないので立ち食いで満足することにしておいた。
 元々の目的だった香辛料にかんしては、諦めざるをえなかった。
 現実でも昔はコショウのひと粒が金と等価だったなんて時期があったようだが、こちらでも香辛料の値段は目が飛び出るような値段だった。
 といっても、全てがそういう訳ではない。
 この国で作られるハーブ関係は投げ売りのような値段で売られてはいた。
 だが、何というかパセリのような苦味だったり、唐辛子のような辛味が主だった。
 求めていたコショウのようなスパイシーな感じの物はこの辺りの気候では育てることが出来ないらしく、行商人が他国から仕入れてくるそうで、当然ながら手間がかかり値段も跳ね上がるという訳だ。
 そのかわり塩湖が近くにあるらしく、塩がかなりの安値で売られていたので香辛料の代わりにソレを大量に買っておいた。
 ハイナで配給される岩塩よりもかなり塩味が強く、肉に振るだけで大分食べやすくなるはずだ。
 とまぁ、なんだかんだで色々手に入れることができた。
 エリスやチェリーさんも、俺がぶっ倒れていた間に色々と小遣い稼ぎに精を出して、それで稼いだ金でなんとか目的の武器を手に入れていたようだったし、かなり実りのある遠征だったと言っていいだろう。
 後はお家に帰るだけ。
 家に帰るまでが遠足だ、と昔からよく言うしな。

 ――しかし、のどかというか何というか……
 盗賊や野獣が出るかも知れないとは判っていても、ついボーッとしてしまう。
 大勢引き連れていた行きとは違い、今は俺達三人だけなので周りも静かだし、なおのこと景色までもがのんびりして見える。
 今頃村長達は別の村の村長に誘われて今回の会合の詰めを行うため別の村を目指しているはずだ。
 俺達は俺達で好きに帰ってくれ、と言う事らしい。
 まぁ道はちゃんとメモってあるから大丈夫だけどな。
 
 王都から半日程。
 ハティの歩幅は広く、自由に歩かせると結構な速度が出るので振り返ってももう王都の影も見えない程度の距離は稼いでいた。


「なんか、行きとは逆走してるからなのか、同じ風景のはずなのに初めて来たみたいに錯覚するな」
「ん? 気がするも何もここは初めて通る筈だけど?」
「んぁ?」

 え、何? 今何か凄いこと言われなかったか?
 初めて通る? 何で?

「えっと、エリス?」
「何~?」
「この道って行きで通った道と同じなんだよな?」

 そう聞いたエリスは、心底不思議そうな顔でこう返してきた。

「え? 違うよ? こっちは来た時人は反対側だから初めての道」
「えぇと、何で?」
「次の目的地はこっちだってチェリーお姉ちゃんが」

 チェリーさんの仕業かい!
 というかお姉ちゃんて、随分仲良くなってるようで……

「あれ、キョウくんには言ってなかったっけ?」
「全く、これっぽっちも、何の話も聞いてないんですけど……」

 何か用事が出来たなら、せめて先に伝えておいてほしいんですけど?

「あれ~? おかしいな、キョウくんが本調子に戻ったら予定があるって伝えたつもりだったんだけど……」
「いや、それは聞いたよ。というかそれしか知らないよ」
「あ~……予定だけ確認取って、内容伝え忘れてたのか。ゴメンねー。普段予定取ったらその場でスマホで伝える癖がついてて、てっきり伝えたつもりになってたみたい」
「まぁ、俺スマホ使えないからねぇ……」

 現代人病というやつか。
 便利ツールになれすぎて、アナログな環境になると色々抜けがでてしまうっていう。
 まぁ、この世界はアナログどころか最先端のデジタルではあるんだが、利便性を意図的に排除してある鬼仕様だからなぁ。

「それで、帰り道とは違う道を進んで、チェリーさんは一体何をしようって言う訳? というか、どこに向かってるのかチェリーさん理解してるの?」
「ふふん。キョウくんがぶっ倒れてた間に、私もいろいろ調べる時間があったからね。このあたりの大まかな地図はバッチリ書き写してあるのですよ」

 そういってチェリーさんが取り出したのはA4程度のサイズの形の悪い羊皮紙。
 そこに、なんと言うか……言葉を選んで言えば酷くシンプルな模様のようなものが書いてあった。

「えっと、これは……?」
「え? 地図だよ地図」
「なん……だと」

 なるほど、確かにそう言われてみてみると、中央のギザギザ模様は城を示して……いるのか?
 となるとこれが王都か?
 その右側に書いてある太い線は、行きで通った大河だろうか。

「色々な仕事手伝ってた時に、売り物にならない羊皮紙の切れ端を譲ってもらってね。そこにお城の書庫にあった地図を映させてもらったというわけですよ」

 良いんだろうかそれ……

「昔って地図は相手国への侵攻に利するからって、お偉い人だけで厳重に管理されてた時代もあったって聞くけど」
「ん~……図書室入ってる時はお目付け役? みたいな人が常に居たし、その人が特に何も言ってこなかったから多分大丈夫なんじゃない?」

 確認取ってなかったのか……
 でもまぁ、ちゃんと見張りがついていて止められないってことは少なくともこの国ではチェリーさんの言う通り大丈夫という事か。
 というか、だ。

「マジか……これで旅をするのか……」
「えぇー? そこまで酷くはないでしょ? 確かに絵は得意な方じゃないけど、少なくとも必要な要素は全部入ってるじゃない」
「え、どこら辺に?」

 正直この地図? から見て取れるのはどの方角に何がある、という実に曖昧な情報のみだ。
 ど真ん中に王都らしき謎のアイコンが書かれ、東側に河らしき線、そこから北東側に離れた場所に……これはハイナ村だろうか?
 北に山? のようなギザギザ
 南側に街らしきアイコンと『クフタリカ』という注意書き。
 これはまぁ街の名前だろう。
 東の端に何か塔らしきものと共に『ラーマ』と書かれているのは何の街だろうか?
 ――以上である

「なんというか、余りにシンプルかつ抽象的すぎて、ぶっちゃけ王都から見てどっちに何がある……程度の情報しかわからないんだけど」
「それがわかれば十分じゃない?」

 うん、全然十分じゃないと思うよ?
 ある程度のことは『人それぞれ個性があるんだから仕方ないよね』と流せる俺も、コレはいけただけない。
 ここは心を鬼にしてでも現実を伝えてあげるのが優しさというものだろう。
 というかこのままではこっちも実害を被りそうだから、言わないとアカン。

「ハティ、スマンちょっとストップだ」
「がう?」

 道がどう繋がっているのか、山がどうなっているのか、距離がどの程度に有るのか測る目安になるランドマークといった重要情報がすっぽり抜けて、子供が作った『宝の地図』という表現がしっくり来る出来だ。
 断言できる。
 これを見て旅をすれば間違いなく迷子になると。

「コレで旅するとかチェリーさん正気か?」
「そこまで言う!?」

 こんなん見せられたら言いたくもなるっての。

「じゃあ聞くけど、王都に来る時に渡った大河。あの大橋はこれで言うところのどこにあるの?」
「え? ハイナ村と王都の間だからこの辺じゃないの?」

 この辺。

 この辺と来たか。

「随分ふんわりした認識だけど、その地図のサイズと旅に掛かった時間から考えると、今チェリーさんが指してるその指一本分の幅で、約1日分に近い距離があるんだけど、それ理解してる?」
「そ、それはまぁ何となく?」
「その上でもう一度聞くけど、通った橋はどこにあった?」
「こ……ここだよ、ここ!」

 そう指差すのはハイナ村と王都の丁度対角線上だ。
 だが……

「エリス、村で教えたマッピング、ちゃんと来るときにも取ってたか?」
「うん、ちょっとまってね」

 そういってハティの頭から降りていった。
 何時でも敵に対処できるように武器は身につけているが、邪魔にならないようにカバンはハティの首にかけるようにしているので、一度降りないと中身を取り出せないのだ。

「えぇっ!? なにそれ、そんなのやってたの!?」
「むしろ、マッピングせずにどうやって地形を把握するつもりだったのさ?」

 村長やガーヴさんですら周辺地図なんて便利なものを持ってはいなかった。
 王都で紙っぽいものを見つけた時俺がどれほど嬉しかったか。
 その紙も、白い紙ではなく羊皮紙だ。
 羊の皮かどうかはわからないけどな。
 一番安い低品質なものを30枚ほど買ったが、ソレだけでこの国での買物総額の8割近い金額だったが購入に踏み切った。
 ソレだけの価値があると思えたからだ。
 ついでに店のおっちゃんから表面を削れば再利用できるという小ネタを仕入れることが出来たのはラッキーだった。
 流石に羊皮紙の詳しい使い方なんて知らなかったからな。
 分厚いだけの紙だと思ってたわ。
 で、羊皮紙だけでこのお値段となると、この世界では地図はそれなりに高価か、或いは貴重である可能性が高い。
 見つけられれば重畳、見つけられたとしても俺達はそもそもそんな大金を持っていないのだから、買えるかどうかも怪しいものだ。
 そもそも今回の買い物だって、俺の場合王様からもらった小遣いで買った訳で、仕事を持っていない俺は正直無一文に近いのだ。
 金が無いならどうするか? となれば、残る道は自分で作るしか無いだろう。
 手間ではあるが、この国は日本と違って都市部から離れてしまうと人がめっきり居なくなる。
 今だって、王都から半日離れただけで、見渡す限り民家は一つも見当たらないのだ。
 道がわからなくなったからと、そこらの人に聞けばいいなんて真似は出来やしない。
 こんな所で道に迷ってしまえば行き倒れだってあり得るのだ。
 現実と違ってGPSなんて便利なもののないこの世界では面倒でも地図はお手製でもいいから入手するべき必須アイテムのひとつなのだ。
 ――だと言うのに、このチェリーさんである。
 地図の現物を見ることが出来るとか超羨ましい状況だったにもかかわらず、その重要性に気づかずこんな地図もどきをこさえてくる有様だ。

「大体、β版やってたならこの世界がどれだけ広いかわかってるでしょうに」
「そこはほら、どれだけ広くてもβテスターってかなりの数だったから、ネットに地図とか結構上がっててね?」
「で、ネット情報で正確な地図を把握して行き先を決めてたと」
「そうそう」

 まぁ、ネトゲならそれはそれで一つの手だ。
 というか大抵のプレイヤーが攻略Wiki等で情報を仕入れるだろう。
 俺みたいに初見は自力でやりたい派というのは全体から見れば少数派の可能性すら有る。
 だが……

「それで、ALPHAの参加人数って2桁なんですけど。そのうえ、こっちで遭遇したプレイヤーってチェリーさん含めて3人しか居ないんだけど……さて、チェリーさんはどうやって地理を把握するつもりだったのかな?」
「うっ……!」

 こりゃ考えてなかったな。
 UIとしてワールドマップが存在しないこのゲームでは、何らかの方法で入手するしか無いってそれなりにゲームやってるチェリーさんならすぐに気付いても良いものだと思うんだが。

「で、でもスカウトのスキルでもあるまいし、マッピングを自力でやるとか考えつかなくない?」
「スカウト系ってそんな便利なスキル有るのか。でも、俺等の中にスカウト系居ないよね? エリスはそっち伸ばしたほうが良いとは思ってるけど、ひとまず今は基礎訓練中だしさ。なら自分で作るしか無いじゃない。というかチェリーさんだって地図の有用性を理解してるからこそ一応は自分で作ったんじゃないの?」

 出来は悲惨だが。
 
「はい、これ」

 戻ってきたエリスは口を挟まなくても話は聞いていたようで、すぐにお手製の地図を取り出していた。
 初期所持品の冒険者セットの中にあったマッピングセットだ。
 ハイナ村に紙がないことに気付いていたのでエリスには丁寧に使うようにいってある。
 エリスの作ったお手製地図は、詳細とは言い難いものの簡易な地形の様子と休憩場所での日の出と日の入り方角等が丁寧に書かれている。
 通ってきた道なりにしか作られていないので、地図というよりは道の解説書みたいになっているが、太陽基準の方角がしっかり書かれているので問題ない。
 そして、同じようにして作った俺の地図と合わせると、方向感覚や注目した地形の違いなどから多少の差異はあるが概ね同じものが出来上がっている。
 これなら誤差として概ね信頼できるだろう。
 そのお手製地図から見るに、橋の場所はチェリーさんが指差す場所より指二本分北側だ。

「さて、俺とエリスの地図から見てそれなりに信頼できる位置として橋の位置はここに有ると思われるんだが。チェリーさんはまる二日分離れた場所を自信満々に指差していたわけなんだけど……」
「う……」
「一体チェリーさんは何日かけて街があると思われる場所へたどり着いて、そこから何日掛けて目的の街を探すつもりだったのかな?」
「えぇっとぉ……」

 うむうむ、よく分かるぞ。
 養護院時代に下のガキ共を叱った時にこの言葉を吐いたやつは間違いなく何も考えてなかったからな。
 今、どうしようか考えてる子供がうっかり口にする魔法の呪文である。
 というかチェリーさん俺より年上でしょうが……

「この地図じゃ目的の街の地形がさっぱりわからないんだけど、もし獲物なんかが全然居ない山地だったらどうするのさ? チェリーさんと違って、俺やエリスって普通に飢えるんだが」
「あっ」

 この反応、絶対頭から抜けてたな。

「所でチェリーさん、今俺達が向かってる方角ってどっち?」
「えっ? あ、え~……と、南門から出て、まっすぐだから南だよね……?」
「ほうほう、なるほど。で、チェリーさんは今どの方角に向かって歩いてるの?」
「え、だから南に……」

 やっぱり解ってねぇ!

「チェリーさん、いま来た道を遠くまで眺めてみ?」
「…………あ」
「どうなって見える?」
「緩やかに曲がってます……」

 そう、この道、少しずつ西側に曲がっているのだ。
 王都の大通りは中央の噴水広場を中心に東西南北にキレイに伸びていた。
 ――まぁ東西南北と言っても、日の出と日の入りから俺が勝手にそう判断しただけで、この世界では別の呼び方があるのかも知れないが、今はそれはどうでも良い。
 そして、俺達は南の門から出て道なりに真っすぐ進んでいるのだが、道がまっすぐ伸びている訳ではないのだ。
 目に見えるような急な曲がり道はなかったが、緩やかに西に向いている。
 曲がり始めたのが何時からかはわからないが、ハティの足で半日というのはかなりの距離だ。
 南南西ならまだいいが、下手したら南西と言っても良いくらいに目的の方向からそれている可能性がある。
 というか、来る時通ったのって東側の門だった筈だから、その時点で何で別の道だって気付けなかったんだよ俺……あれだけ状況判断を間違わないようにって心に誓った直後でこれとか、我ながら情けなくて涙が出る。

「えぇと……どうしよう?」
「取るべき選択はパッと思いつくので2つ。安全策を取るならこのまま王都に戻って、ハイナ村に帰るのが一つ」

 まぁ、個人的にはコレが一番オススメだ。
 なにせ間違いなく戻れる。
 だが、わざわざ帰らずに他所に行こうというのだからそれなりの理由があるんだろう。
 となると……

「もう一つは、もうこの際だからもうこのまま道なりに進んで、次の街で方向修正するという手。道がつながっている以上、大なり小なり人の住む場所に続いている筈だからな。ただし、次の街までどれくらいかかるかは解らない。最悪、王都からハイナ村くらいの距離程度では済まない可能性もある」
「うっ……」
「エリス、携行食はどれだけ買ったか覚えてるか?」
「お店で買った携行食は3日分だよ」
「そうだな。ハティの足の速さを考えて行きで5日掛かったから帰りはソレくらいで保つって事で3日分だけ買ってある。さて、そのうえでチェリーさんはどっちを選ぶ?」

 実のところ予備として別にもう二日分買ってはあるんだがな。
 干し肉なら1週間は持つだろうし、何もなければそのまま夕食に並ぶだけだ。

「……ん、やっぱりこのまま進みたいかな」

 おや、ここまで言っても曲げないのか。
 意地になってる……というわけでも無さそうだが。

「博打じみた選択だって理解はしてる?」
「うん。だけど、必要だと思うからあと2日だけ道なりに進ませて。それで何も見つからなければ王都に戻ろう」

 一日分足が出てる気がするが……まぁギリギリ許容範囲無いだろう。
 腹は減るかもしれんが、一日だけならまぁ、我慢もできるだろう。
 俺やエリスが腹を減らすということは思い出したはずだから、それを理解した上で強行する必要のある何か、か。

「……って、いい加減チェリーさんが何をしようとしているのか教えてほしいんだけど」
「あっ、ゴメンそうだね。まだ言ってなかったんだった。私がやろうとしてたのはね」

 そこで俺にビシリと指を指したチェリーさんはこうのたまった。

「キョウくんのレベル上げだよ!」

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