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二章
九十三話 情報Ⅰ
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「錬鉄だと!?」
あれ、今更周りの人が超驚いてる?
……ってそういえば密談ってことになってたんだったっけか。
姿現しちまってよかったのか?
っていうかこの間と副団長の人の口調が違うのは俺達と同じで一応家臣の人とかの手前、余所行き対応してるのか?
傭兵団副団長としてへりくだるような真似はしないが、ある程度の丁寧語は匂わせる程度の半端な口調って感じか。
口調は整えていても、お世辞にも丁寧とは言い切れないような喋りと態度のせいで、正直普段よりもさらに胡散臭く感じる気がするんだが……もしかしてわざとやってるんだろうか。
わざとなんだろうなぁ。
傭兵組織の副団長とかやれる人が口調をキレイに整えるなんてことが出来ないとは思えない。
傭兵団の雇い主なんて貴族やそれ以上の財力を持った貴人だろうし、そんな組織の運営に関わる人材が交渉関係を疎かにしてる訳がないだろうしな。
組織の偉い人になるとこういう言葉選びとかにも頭使わないといけないのか。
面倒臭そうだな……
って、そんな事より、話の内容を聞き逃さないようにしねぇと。
「なに、あの黒殻四腕のバケモノについては我々も交戦経験がありましてね、少々助言ができるかと」
「はて、貴様らが我々を手伝うと? つい最近戦場で相まみえたばかりかと思ったが?」
「我々にも事情が……と言う程のことは特に無いのですが、何も知らずにアレを刺激して我々まで巻き添えを食らうわけにはいかんのですよ」
「ほほう? 錬鉄の大幹部とは思えない弱腰な発言だ」
あ、大幹部って言葉で周りが超ざわついてる。
ほんとに有名なんだな、錬鉄傭兵団。
「以前アレとの戦闘で、撃退は出来たものの我々も被害は甚大、十指のうち三指が折られ、我が団長までもが深手を負わされたと言えば、アレの強さは伝わりますかな?」
「何……!? あの戦狂いが仕留めそこねたのか!?」
王様の驚き様を見るに、錬鉄傭兵団の団長ってのは滅茶苦茶強いのか。
というか、俺達と違ってアレと正面切って戦っておいて生き延びたとか、それだけで拍手喝采の称賛ものだ。
あの野獣使いを軽くあしらった王様も引き分けたことに驚くとか、どんなレベルなんだ一体。
「状況的には痛み分け、引き分けといった所でしょうな。こちらの被害も甚大でしたが、相手にも相当な深手を与えましたから。……といってもその傷もどうやら完治している様子ですが……」
「……そうか、この間の戦で主力が出張ってこなかった理由はソレか」
「ご想像にお任せしますよ」
そういえば、王様がハイナ村に来る直前に錬鉄傭兵団と戦って勝ったけど主力は居なかったって話だったっけか。
幹部は何人か倒せたみたいな話をしてたが……
「話を戻しますが、解らないなりにいくつか説明できる事もあると言うことですよ。例えば、奴が人を襲うのは食事のためではないと言うことだとか……ね」
「獣が食い殺す以外の理由で攻撃を仕掛けてくると? 悪意の権化と呼ばれる食人鬼共ですら、その残虐性から勘違いされているようだが、奴らが人を襲うのもあくまで腹を満たすためだぞ」
「だが少なくとも我らは奴が人間を食っている姿を見たことがない。この戦場でも暴れるだけで死体は放置しているのではないですかな?」
「ぬ……」
その言葉を聞いて、王様は何やら部下に指示を飛ばしている。
兵士が門に向かったって事は外の様子を見させているのか。
しかし、確かに言われてみれば、あのバケモノは殺すばかりで、倒した死体には全く頓着していなかった。
確かに獣ってのは遊びで獲物を殺すことはあるみたいだが、基本的には食うために襲うよな。
「……どうだ?」
「確かに、死体は散乱しておりますが、脇目も振らず傭兵団と戦っているようです」
「ぬぅ……そうか、ご苦労」
どうやら副団長の人が言っていたことの裏が取れたようだな。
つまり、あのバケモノは遊んでいるんじゃなければ、なにか理由があって暴れていると言うことか?
いや、理由があるとは限らないか。
偶然居合わせただけで、本能的に周囲に攻撃的な種族ってだけの可能性も……いや、だとしたら俺達が見逃された理由がわからなくなるか。
「確かに錬鉄の、お前の言葉には聞く価値があるようだな」
「ご理解いただけたようで何より。それと、そこのハイナのお客人には我々も負い目が有るので、要らぬことで疑いをかけられるのも不憫だ。そこでこちらの持っている情報をもう一つ提示させてもらいたい」
ハイナのお客人……って俺達か。
「えぇと、もう一つの情報? それは――」
「ハイナのお客人、アンタあのバケモノ相手に武器を抜かなかったんじゃないか?」
おぉう……こっちの質問はスルーかい。
「……ええまぁ、抜かなかったと言うか、抜けなかったんですけどね。ハティから振り落とされないように三人共手持ちの長物はハティの体にくくりつけていたんで、ハティの背中からじゃ武器に手が届かなかっただけなんですけど……」
「生き残れた原因はそれだな。武器を抜いてたらその時点で死んでただろう」
「マジすか?」
「それはどういう事だ?」
王様も口を挟んできた。
確かに、そこが一番気になる所なんだよな。
何で周りの兵士は駄目で俺達だけは生き延びたのか。
「先に言っておくが、我らにも細かい理由は判らん。だが我々の見解では奴は敵意に反応すると俺達は見ている」
「敵意に反応? 敵対の意識を持った時点で駄目ってことですか?」
「そこを確定できるほど我々も情報を持っているわけではないな」
ずいぶんと曖昧な……危険かもしれないが、もしかしたらその程度では襲ってこないかも知れないって事か?
それじゃ何もわからないのと変わらないんじゃねぇのか。
大体、敵意なんて嫌なことされただけでも結構持っちまうぞ?
……ああ、でもさっき俺達だって武器を抜けなかっただけで敵対心や警戒心は常に持っていたんだから、目の前に居てそれで攻撃されなかったってことは……
「こちらが明言できるヤツの攻撃基準は敵対行動に対して反応している可能性がある、までですな。実際、一度奴が戦争中に後方の救護班のど真ん中に乱入したことがあったが、護衛は皆殺しにあったが救護兵や搬送された重傷者なんかは見逃された。その事から奴は敵対行動をとった者だけに反応して行動していると考えられています」
つまり、頭で何を考えているかではなく、敵対行動を取ったかどうかで反応するって事か。
確かに、遊びであれ食事であれ、生きていて、しかも弱った人間が多数居たのにそちらには目もくれず、護衛を襲ったとなると不自然すぎる。
どう考えてもけが人や昏睡してるような重篤者を襲ったほうが楽だからな。
「今回の件を見ても、その考察は間違ってはいないと考えられるが、どうですかな?」
「ふむ……事の真偽は確かめようもないが、現状と照らし合わせると確かに説得力は有る……か」
「理解して頂けたようで何より。それで、我々から進言できることと言えば――ヤツには手を出さない。これに限ります」
その言葉に現場は騒然となる。
まぁ当然だろう。
錬鉄の2人は兎も角、他はこの国の騎士団だ。
城の前で大暴れして、騎士たちにもかなりの被害を与えた怪物を前に、外様から手を出すななどと言われれば腹も立つというものだ。
遠回しに「お前達には何も出来ない」と言われたのだから、国の武を司る騎士団は黙っていられないだろう。
当然ながら副団長の人の言葉の後、怒号が飛び交っている。
そんな大荒れの現場を眺めていたら後ろから袖を引っ張られた。
「うん……チェリーさん?」
「ねぇねぇ、これって戦闘系イベントなんだよね? なのに戦闘参加禁止とか有りなの? なにかフラグ的なものを踏むことで倒せるとかってないのかな?」
「あぁ……チェリーさんはこっちでイベントっぽいのに遭遇するのはこれが初めてか」
「うん。宿の襲撃イベントからの連続クエストなんだとろうとは思ってるんだけど」
連続クエストねぇ……
チェリーさんにとっては宿や襲撃からの一連のイベントになるのか。
そういう捉え方だと、俺からしてみればライノスがけしかけられたところからもうその連続クエストは始まってたってことになるな。
アレの黒幕が錬鉄の人間で、その事件で知り合った王様からこの都に呼ばれ、そこで錬鉄の偉い人にも会い、で今クーデターもどきに巻き込まれてこの場にいるわけだからな。
ただ、この鯖のことを考えるとなぁ……
「まぁ、ゲーム的に考えればそうなんだけど、こっちって『ゲームを楽しむ』って要素が加えられてないリアリティだけを追求してる状態らしくて、多分フラグ管理なんて何もされてないと思うよ?」
「え、それって今起きてるのもプレイヤー用に用意されたイベントじゃなくて、NPC同士の行動から自然発生したランダムイベントって事?」
「まぁ、これをイベントと言って良いのかは兎も角、そういう事だろうねぇ」
田辺さんはALPHAにはまだゲーム性を組み込んでないって言っていたし、ゲームバランスすら整えてないサーバにテスターだけを楽しませるためだけにイベントを配置するようなコストを掛けるとは思えない。
となれば、チェリーさんの言う通りこれはNPCたちの自由思考の結果と捉えるのが一番自然だろう。
最近のAIはほんとにすげぇな……
「お前は、我らに勝ち目はないと……ただ過ぎ去るのを黙って見ておれとそう言うのだな?」
「有り体に言ってしまえばそのとおりです。……まぁ、そうそう受け入れられるものではないとも思いますがね」
「それが解っていて、なお手を出すなと言うのか」
「ええ、ここで釘を差さなければあなた方は黙って居られんでしょう? 正直に申し上げると下手にアレに手を出されて巻き込まれてはたまった物ではないのですよ」
思いっきりぶっちゃけたな。
力自慢の傭兵団の幹部がここまで巻き込まれるのを嫌うってことは本音かな?
戦で稼ぐ奴が意味もなくビビった姿をお偉方にさらして、自分たちを弱く見せても金にならないだろうしな。
「あと緊急時だからとは言え我々を頭数に入れるのもご勘弁願います。一度戦ったからこそ断言しますがね、アレ相手には私やシーグラムではまるで歯が立たないという事は伝えておきますよ」
「そこまでなのか? ……それほどに強力な魔物であれば名を付けられていてもおかしくないと思うのだが、余はあのような魔物について一切の知識を持たぬ。誰ぞアレに関すると思われる知識を持つものは居るか?」
王様の問いかけにも答えるものは無し。
皆して周囲の同僚と顔を見合わせているが、手を挙げる者は居ないようだ。
「我々もアレの正体を掴みかねておりましてね。アレ程の強さの魔物が突然発生したとも考え難いがうちの団にあのような魔物の存在を知るものは皆無でして。我々がこの国を訪れた目的の一つはこの国の民間伝承、あのバケモノの情報を探すためでもあったんですよ」
「む……なるほど、そういう事か」
ああ、内のような小さな村相手に、負い目が有るとは言えわざわざ副団長や隊長格が謝罪に足を運ぶのはどうなんだと思ったが、別に目的……古文書漁り等があって、そのついでだったということなんだろう。
誠意を見せられるのは悪い気はしないが、その対象との力関係に差がありすぎると逆に不安になるんだよな。
思わぬ所で胸のつかえが取れたわ……
「勘違いしないでほしいのだが、別に俺はあなた方が弱いと言っているわけじゃない。ただ単純にアレが強すぎんですよ」
「その言葉自体が我々を侮っておるというのだ! 戦狂いと主力が抜けていたとは言え、我々は錬鉄傭兵団を撃退してみせたことをお忘れか!?」
おっと、今まで口を閉じていたガタイの良い髭の人が突然口を開いた。
副団長の人の言葉に我慢できず……といった感じだったか。
ガタイのデカさや堀の深い顔に髭面だからか妙に迫力ある。
身なりを見た感じ相当偉い……将軍とかそんな立場の人だろうか?
「そこは今は関係ないのでは? 冷静に状況から判断すれば私の意見がそれほど的外れなものではないと思うのですが?」
「なんだと!?」
え、切れるの早くね?
一瞬で怒りの沸点ぶっちぎったのか面白いように顔が赤くなっている。
あんな憤っていたら憤死しちまうんじゃないだろうか……
「では問いますが、城門前の戦い……国防の主力である王都駐留騎士団とほぼ互角、最後の砦である近衛まで城門に待機させるほどに緋爪とこの国の騎士団の強さは親しい物だというのは誰の目にも明らかだ。その緋爪と貴国の騎士団を同時に、しかもたった一匹で壊滅させたあのバケモノの強さは状況を考慮せずに単純に考えれば最低でも騎士団と緋爪傭兵団をあわせた戦力よりも上だと考えられるのでは? 貴方は緋爪だけでも苦戦していたのにそれを上回る戦力を相手に勝てるとそう仰るので?」
「それは……! 状況を考慮に入れずなど判断できるものか! 不意打ちに浮足立っている間に崩されれば、ああもなろう!」
「それで、前線が崩されただけで緋爪の本陣が浮足立つとでも? 今、あの怪物は緋爪の本陣を蹂躙しているのでは? この国の騎士団を城に封じ込めるだけの戦力をたった一匹で」
「ぐ……」
あぁ、こりゃ口では勝てんな。
副団長の人は今陥っている状況を端的に説明してるだけだ。
反論したって現状がそうなっている以上何を言っても言い訳にしか聞こえなくなる。
「ここで手を出さなければ、やつは大人しく帰ると?」
見ていられなかったのか、ここで王様が口を挟んだ。
まぁあのまま続けたら偉い人が口先で転がされかねなかったし止めるのが正解だよな。
「確証はありませんので保障はしかねますな」
「何!?」
今度は別の偉そうな人が立ち上がったが――
「お前たち……少し、黙れ」
副団長の人が言葉を出すたびにいちいち周囲が噛み付く。
いい加減それが鬱陶しかったのか味方のはずの王様自ら周囲を黙らせていた。
ああ、すげぇメンドくさそうな顔してんな……
「手を出さないことで確実に助かるという保障はしかねますが、少なくとも手を出せば確実に襲われます。我々の持つ知識では状況証拠から手を出さないことが一番安全だと推測することまでが限界です」
「むぅ……」
そりゃ悩むよなぁ。
家のすぐ前に猛獣が大暴れしている状況で、敵対しなければ『たぶん』襲われないなんて言われても王様としてはさっさと脅威は取り去りたいと考えるはず。
問題はその脅威が想像を遥かに超えたもので、手を出すと家ごと巻き込んでぶち壊しにしかねないと言う訳だ。
こんな選択迫られるなら王様とか絶対やりたくねぇわ……
「さっきから伝えている通り、我々にとっても判断に足るほど情報を持っているわけでは無いのですよ。敵対しなければ襲ってこない理性的な面を見せている半面、今回といい我々の時と言い、アレは自ら戦場に飛び込んでくる性質が有るように見える。あの異形で戦場に飛び込めば敵対されても文句を言えないだろうに。アレに真に理性が有るのかはわかりませんが、この事から敢えて自分を攻撃させるように挑発しているかのような行動を取っているとも取れますな」
「確かに、挑発とでも考えない限り、行動に矛盾が感じられるな……だが」
「そう、アレだけの力を持っていれば、ざわざ相手を挑発する理由がない。相手が守りを固めようがあの暴力的な戦闘力であれば正面から蹴散らせる筈」
「遊んでいるとも考えられますが、そこまで悪辣な思考を持つものが、負傷者を見逃すとは到底思えない。だからこそ我々もアレの事を掴みかねている……といった所です」
何処までいっても情報が足らなすぎて~の可能性がある、だとか~と思われるまでしか言えないか。
皆があの強さなら知られていてもおかしくないから、きっと他所から来たんだと思っているようだが……
「ねぇ、アレ、運営が何かを意図して作り出したテストモンスターだとしたら……」
「だなぁ……本当につい最近ぽっと現れた可能性も否定出来ないんだよな。俺たちプレイヤーを目的にしたものでなかったとしても、ここテストサーバだし対NPC用だとか理由はいくらでも思い当たる」
チェリーさんも気づいたのか、周りに聞こえないように考えをすり合わせる。
まぁ元々俺たちは広場の端に寄ってるのでそうそう聞かれることもないだろうが、読心術スキルとかあってもおかしくないので念の為背中を向けて居るのだが、我が事ながら実に見た目からして不審者集団的である。
ただ、正直これに関しては俺らに聞かれてもどう答えれば良いのかさっぱりわからない。
なんせ、あくまでそういう可能性があるというだけな上に、根拠を示せと言われても俺達じゃその根拠とやらを示しようがないからだ。
独自AIをプレイヤーに同行させて対人対応サンプリングするくらいだ。
恐らくこういったAI同士の衝突なんかもNPC用AIの実証データとしてサンプリングしてるだろうから、運営がわざわざこういう状況に水を指して介入してくるとは思えない。
「まぁ、それもただの可能性の話だし、根拠を聞かれても困るから、ここは流れに身を任せよう」
「キョウはなにもしないの?」
「いいかエリス。場に偉い人がいる場合はな? 自分が絶対に曲げられない、曲げたくない意見がある場合を除いては大抵の場合は偉い人に決めさせちまえば良いのさ。そうやって出た意見が的外れだったなら反論の必要があるけど、そうでない限りはそうやって乗っかるほうがいろいろ場が丸く収まるんだぞ?」
「キョウくん、子供になんて身もふたもない事教えてるのさ……」
だって、そうしないと偉い人がへそ曲げて要らんことで目を付けられる事になるんだから、身も蓋もなかろうがエリスが今後苦労しないためのアドバイスとして間違ってないやん?
と、そんな馬鹿なやり取りをしてる間に、どうやら偉い人たちの話はある程度決まったようだ。
あれ、今更周りの人が超驚いてる?
……ってそういえば密談ってことになってたんだったっけか。
姿現しちまってよかったのか?
っていうかこの間と副団長の人の口調が違うのは俺達と同じで一応家臣の人とかの手前、余所行き対応してるのか?
傭兵団副団長としてへりくだるような真似はしないが、ある程度の丁寧語は匂わせる程度の半端な口調って感じか。
口調は整えていても、お世辞にも丁寧とは言い切れないような喋りと態度のせいで、正直普段よりもさらに胡散臭く感じる気がするんだが……もしかしてわざとやってるんだろうか。
わざとなんだろうなぁ。
傭兵組織の副団長とかやれる人が口調をキレイに整えるなんてことが出来ないとは思えない。
傭兵団の雇い主なんて貴族やそれ以上の財力を持った貴人だろうし、そんな組織の運営に関わる人材が交渉関係を疎かにしてる訳がないだろうしな。
組織の偉い人になるとこういう言葉選びとかにも頭使わないといけないのか。
面倒臭そうだな……
って、そんな事より、話の内容を聞き逃さないようにしねぇと。
「なに、あの黒殻四腕のバケモノについては我々も交戦経験がありましてね、少々助言ができるかと」
「はて、貴様らが我々を手伝うと? つい最近戦場で相まみえたばかりかと思ったが?」
「我々にも事情が……と言う程のことは特に無いのですが、何も知らずにアレを刺激して我々まで巻き添えを食らうわけにはいかんのですよ」
「ほほう? 錬鉄の大幹部とは思えない弱腰な発言だ」
あ、大幹部って言葉で周りが超ざわついてる。
ほんとに有名なんだな、錬鉄傭兵団。
「以前アレとの戦闘で、撃退は出来たものの我々も被害は甚大、十指のうち三指が折られ、我が団長までもが深手を負わされたと言えば、アレの強さは伝わりますかな?」
「何……!? あの戦狂いが仕留めそこねたのか!?」
王様の驚き様を見るに、錬鉄傭兵団の団長ってのは滅茶苦茶強いのか。
というか、俺達と違ってアレと正面切って戦っておいて生き延びたとか、それだけで拍手喝采の称賛ものだ。
あの野獣使いを軽くあしらった王様も引き分けたことに驚くとか、どんなレベルなんだ一体。
「状況的には痛み分け、引き分けといった所でしょうな。こちらの被害も甚大でしたが、相手にも相当な深手を与えましたから。……といってもその傷もどうやら完治している様子ですが……」
「……そうか、この間の戦で主力が出張ってこなかった理由はソレか」
「ご想像にお任せしますよ」
そういえば、王様がハイナ村に来る直前に錬鉄傭兵団と戦って勝ったけど主力は居なかったって話だったっけか。
幹部は何人か倒せたみたいな話をしてたが……
「話を戻しますが、解らないなりにいくつか説明できる事もあると言うことですよ。例えば、奴が人を襲うのは食事のためではないと言うことだとか……ね」
「獣が食い殺す以外の理由で攻撃を仕掛けてくると? 悪意の権化と呼ばれる食人鬼共ですら、その残虐性から勘違いされているようだが、奴らが人を襲うのもあくまで腹を満たすためだぞ」
「だが少なくとも我らは奴が人間を食っている姿を見たことがない。この戦場でも暴れるだけで死体は放置しているのではないですかな?」
「ぬ……」
その言葉を聞いて、王様は何やら部下に指示を飛ばしている。
兵士が門に向かったって事は外の様子を見させているのか。
しかし、確かに言われてみれば、あのバケモノは殺すばかりで、倒した死体には全く頓着していなかった。
確かに獣ってのは遊びで獲物を殺すことはあるみたいだが、基本的には食うために襲うよな。
「……どうだ?」
「確かに、死体は散乱しておりますが、脇目も振らず傭兵団と戦っているようです」
「ぬぅ……そうか、ご苦労」
どうやら副団長の人が言っていたことの裏が取れたようだな。
つまり、あのバケモノは遊んでいるんじゃなければ、なにか理由があって暴れていると言うことか?
いや、理由があるとは限らないか。
偶然居合わせただけで、本能的に周囲に攻撃的な種族ってだけの可能性も……いや、だとしたら俺達が見逃された理由がわからなくなるか。
「確かに錬鉄の、お前の言葉には聞く価値があるようだな」
「ご理解いただけたようで何より。それと、そこのハイナのお客人には我々も負い目が有るので、要らぬことで疑いをかけられるのも不憫だ。そこでこちらの持っている情報をもう一つ提示させてもらいたい」
ハイナのお客人……って俺達か。
「えぇと、もう一つの情報? それは――」
「ハイナのお客人、アンタあのバケモノ相手に武器を抜かなかったんじゃないか?」
おぉう……こっちの質問はスルーかい。
「……ええまぁ、抜かなかったと言うか、抜けなかったんですけどね。ハティから振り落とされないように三人共手持ちの長物はハティの体にくくりつけていたんで、ハティの背中からじゃ武器に手が届かなかっただけなんですけど……」
「生き残れた原因はそれだな。武器を抜いてたらその時点で死んでただろう」
「マジすか?」
「それはどういう事だ?」
王様も口を挟んできた。
確かに、そこが一番気になる所なんだよな。
何で周りの兵士は駄目で俺達だけは生き延びたのか。
「先に言っておくが、我らにも細かい理由は判らん。だが我々の見解では奴は敵意に反応すると俺達は見ている」
「敵意に反応? 敵対の意識を持った時点で駄目ってことですか?」
「そこを確定できるほど我々も情報を持っているわけではないな」
ずいぶんと曖昧な……危険かもしれないが、もしかしたらその程度では襲ってこないかも知れないって事か?
それじゃ何もわからないのと変わらないんじゃねぇのか。
大体、敵意なんて嫌なことされただけでも結構持っちまうぞ?
……ああ、でもさっき俺達だって武器を抜けなかっただけで敵対心や警戒心は常に持っていたんだから、目の前に居てそれで攻撃されなかったってことは……
「こちらが明言できるヤツの攻撃基準は敵対行動に対して反応している可能性がある、までですな。実際、一度奴が戦争中に後方の救護班のど真ん中に乱入したことがあったが、護衛は皆殺しにあったが救護兵や搬送された重傷者なんかは見逃された。その事から奴は敵対行動をとった者だけに反応して行動していると考えられています」
つまり、頭で何を考えているかではなく、敵対行動を取ったかどうかで反応するって事か。
確かに、遊びであれ食事であれ、生きていて、しかも弱った人間が多数居たのにそちらには目もくれず、護衛を襲ったとなると不自然すぎる。
どう考えてもけが人や昏睡してるような重篤者を襲ったほうが楽だからな。
「今回の件を見ても、その考察は間違ってはいないと考えられるが、どうですかな?」
「ふむ……事の真偽は確かめようもないが、現状と照らし合わせると確かに説得力は有る……か」
「理解して頂けたようで何より。それで、我々から進言できることと言えば――ヤツには手を出さない。これに限ります」
その言葉に現場は騒然となる。
まぁ当然だろう。
錬鉄の2人は兎も角、他はこの国の騎士団だ。
城の前で大暴れして、騎士たちにもかなりの被害を与えた怪物を前に、外様から手を出すななどと言われれば腹も立つというものだ。
遠回しに「お前達には何も出来ない」と言われたのだから、国の武を司る騎士団は黙っていられないだろう。
当然ながら副団長の人の言葉の後、怒号が飛び交っている。
そんな大荒れの現場を眺めていたら後ろから袖を引っ張られた。
「うん……チェリーさん?」
「ねぇねぇ、これって戦闘系イベントなんだよね? なのに戦闘参加禁止とか有りなの? なにかフラグ的なものを踏むことで倒せるとかってないのかな?」
「あぁ……チェリーさんはこっちでイベントっぽいのに遭遇するのはこれが初めてか」
「うん。宿の襲撃イベントからの連続クエストなんだとろうとは思ってるんだけど」
連続クエストねぇ……
チェリーさんにとっては宿や襲撃からの一連のイベントになるのか。
そういう捉え方だと、俺からしてみればライノスがけしかけられたところからもうその連続クエストは始まってたってことになるな。
アレの黒幕が錬鉄の人間で、その事件で知り合った王様からこの都に呼ばれ、そこで錬鉄の偉い人にも会い、で今クーデターもどきに巻き込まれてこの場にいるわけだからな。
ただ、この鯖のことを考えるとなぁ……
「まぁ、ゲーム的に考えればそうなんだけど、こっちって『ゲームを楽しむ』って要素が加えられてないリアリティだけを追求してる状態らしくて、多分フラグ管理なんて何もされてないと思うよ?」
「え、それって今起きてるのもプレイヤー用に用意されたイベントじゃなくて、NPC同士の行動から自然発生したランダムイベントって事?」
「まぁ、これをイベントと言って良いのかは兎も角、そういう事だろうねぇ」
田辺さんはALPHAにはまだゲーム性を組み込んでないって言っていたし、ゲームバランスすら整えてないサーバにテスターだけを楽しませるためだけにイベントを配置するようなコストを掛けるとは思えない。
となれば、チェリーさんの言う通りこれはNPCたちの自由思考の結果と捉えるのが一番自然だろう。
最近のAIはほんとにすげぇな……
「お前は、我らに勝ち目はないと……ただ過ぎ去るのを黙って見ておれとそう言うのだな?」
「有り体に言ってしまえばそのとおりです。……まぁ、そうそう受け入れられるものではないとも思いますがね」
「それが解っていて、なお手を出すなと言うのか」
「ええ、ここで釘を差さなければあなた方は黙って居られんでしょう? 正直に申し上げると下手にアレに手を出されて巻き込まれてはたまった物ではないのですよ」
思いっきりぶっちゃけたな。
力自慢の傭兵団の幹部がここまで巻き込まれるのを嫌うってことは本音かな?
戦で稼ぐ奴が意味もなくビビった姿をお偉方にさらして、自分たちを弱く見せても金にならないだろうしな。
「あと緊急時だからとは言え我々を頭数に入れるのもご勘弁願います。一度戦ったからこそ断言しますがね、アレ相手には私やシーグラムではまるで歯が立たないという事は伝えておきますよ」
「そこまでなのか? ……それほどに強力な魔物であれば名を付けられていてもおかしくないと思うのだが、余はあのような魔物について一切の知識を持たぬ。誰ぞアレに関すると思われる知識を持つものは居るか?」
王様の問いかけにも答えるものは無し。
皆して周囲の同僚と顔を見合わせているが、手を挙げる者は居ないようだ。
「我々もアレの正体を掴みかねておりましてね。アレ程の強さの魔物が突然発生したとも考え難いがうちの団にあのような魔物の存在を知るものは皆無でして。我々がこの国を訪れた目的の一つはこの国の民間伝承、あのバケモノの情報を探すためでもあったんですよ」
「む……なるほど、そういう事か」
ああ、内のような小さな村相手に、負い目が有るとは言えわざわざ副団長や隊長格が謝罪に足を運ぶのはどうなんだと思ったが、別に目的……古文書漁り等があって、そのついでだったということなんだろう。
誠意を見せられるのは悪い気はしないが、その対象との力関係に差がありすぎると逆に不安になるんだよな。
思わぬ所で胸のつかえが取れたわ……
「勘違いしないでほしいのだが、別に俺はあなた方が弱いと言っているわけじゃない。ただ単純にアレが強すぎんですよ」
「その言葉自体が我々を侮っておるというのだ! 戦狂いと主力が抜けていたとは言え、我々は錬鉄傭兵団を撃退してみせたことをお忘れか!?」
おっと、今まで口を閉じていたガタイの良い髭の人が突然口を開いた。
副団長の人の言葉に我慢できず……といった感じだったか。
ガタイのデカさや堀の深い顔に髭面だからか妙に迫力ある。
身なりを見た感じ相当偉い……将軍とかそんな立場の人だろうか?
「そこは今は関係ないのでは? 冷静に状況から判断すれば私の意見がそれほど的外れなものではないと思うのですが?」
「なんだと!?」
え、切れるの早くね?
一瞬で怒りの沸点ぶっちぎったのか面白いように顔が赤くなっている。
あんな憤っていたら憤死しちまうんじゃないだろうか……
「では問いますが、城門前の戦い……国防の主力である王都駐留騎士団とほぼ互角、最後の砦である近衛まで城門に待機させるほどに緋爪とこの国の騎士団の強さは親しい物だというのは誰の目にも明らかだ。その緋爪と貴国の騎士団を同時に、しかもたった一匹で壊滅させたあのバケモノの強さは状況を考慮せずに単純に考えれば最低でも騎士団と緋爪傭兵団をあわせた戦力よりも上だと考えられるのでは? 貴方は緋爪だけでも苦戦していたのにそれを上回る戦力を相手に勝てるとそう仰るので?」
「それは……! 状況を考慮に入れずなど判断できるものか! 不意打ちに浮足立っている間に崩されれば、ああもなろう!」
「それで、前線が崩されただけで緋爪の本陣が浮足立つとでも? 今、あの怪物は緋爪の本陣を蹂躙しているのでは? この国の騎士団を城に封じ込めるだけの戦力をたった一匹で」
「ぐ……」
あぁ、こりゃ口では勝てんな。
副団長の人は今陥っている状況を端的に説明してるだけだ。
反論したって現状がそうなっている以上何を言っても言い訳にしか聞こえなくなる。
「ここで手を出さなければ、やつは大人しく帰ると?」
見ていられなかったのか、ここで王様が口を挟んだ。
まぁあのまま続けたら偉い人が口先で転がされかねなかったし止めるのが正解だよな。
「確証はありませんので保障はしかねますな」
「何!?」
今度は別の偉そうな人が立ち上がったが――
「お前たち……少し、黙れ」
副団長の人が言葉を出すたびにいちいち周囲が噛み付く。
いい加減それが鬱陶しかったのか味方のはずの王様自ら周囲を黙らせていた。
ああ、すげぇメンドくさそうな顔してんな……
「手を出さないことで確実に助かるという保障はしかねますが、少なくとも手を出せば確実に襲われます。我々の持つ知識では状況証拠から手を出さないことが一番安全だと推測することまでが限界です」
「むぅ……」
そりゃ悩むよなぁ。
家のすぐ前に猛獣が大暴れしている状況で、敵対しなければ『たぶん』襲われないなんて言われても王様としてはさっさと脅威は取り去りたいと考えるはず。
問題はその脅威が想像を遥かに超えたもので、手を出すと家ごと巻き込んでぶち壊しにしかねないと言う訳だ。
こんな選択迫られるなら王様とか絶対やりたくねぇわ……
「さっきから伝えている通り、我々にとっても判断に足るほど情報を持っているわけでは無いのですよ。敵対しなければ襲ってこない理性的な面を見せている半面、今回といい我々の時と言い、アレは自ら戦場に飛び込んでくる性質が有るように見える。あの異形で戦場に飛び込めば敵対されても文句を言えないだろうに。アレに真に理性が有るのかはわかりませんが、この事から敢えて自分を攻撃させるように挑発しているかのような行動を取っているとも取れますな」
「確かに、挑発とでも考えない限り、行動に矛盾が感じられるな……だが」
「そう、アレだけの力を持っていれば、ざわざ相手を挑発する理由がない。相手が守りを固めようがあの暴力的な戦闘力であれば正面から蹴散らせる筈」
「遊んでいるとも考えられますが、そこまで悪辣な思考を持つものが、負傷者を見逃すとは到底思えない。だからこそ我々もアレの事を掴みかねている……といった所です」
何処までいっても情報が足らなすぎて~の可能性がある、だとか~と思われるまでしか言えないか。
皆があの強さなら知られていてもおかしくないから、きっと他所から来たんだと思っているようだが……
「ねぇ、アレ、運営が何かを意図して作り出したテストモンスターだとしたら……」
「だなぁ……本当につい最近ぽっと現れた可能性も否定出来ないんだよな。俺たちプレイヤーを目的にしたものでなかったとしても、ここテストサーバだし対NPC用だとか理由はいくらでも思い当たる」
チェリーさんも気づいたのか、周りに聞こえないように考えをすり合わせる。
まぁ元々俺たちは広場の端に寄ってるのでそうそう聞かれることもないだろうが、読心術スキルとかあってもおかしくないので念の為背中を向けて居るのだが、我が事ながら実に見た目からして不審者集団的である。
ただ、正直これに関しては俺らに聞かれてもどう答えれば良いのかさっぱりわからない。
なんせ、あくまでそういう可能性があるというだけな上に、根拠を示せと言われても俺達じゃその根拠とやらを示しようがないからだ。
独自AIをプレイヤーに同行させて対人対応サンプリングするくらいだ。
恐らくこういったAI同士の衝突なんかもNPC用AIの実証データとしてサンプリングしてるだろうから、運営がわざわざこういう状況に水を指して介入してくるとは思えない。
「まぁ、それもただの可能性の話だし、根拠を聞かれても困るから、ここは流れに身を任せよう」
「キョウはなにもしないの?」
「いいかエリス。場に偉い人がいる場合はな? 自分が絶対に曲げられない、曲げたくない意見がある場合を除いては大抵の場合は偉い人に決めさせちまえば良いのさ。そうやって出た意見が的外れだったなら反論の必要があるけど、そうでない限りはそうやって乗っかるほうがいろいろ場が丸く収まるんだぞ?」
「キョウくん、子供になんて身もふたもない事教えてるのさ……」
だって、そうしないと偉い人がへそ曲げて要らんことで目を付けられる事になるんだから、身も蓋もなかろうがエリスが今後苦労しないためのアドバイスとして間違ってないやん?
と、そんな馬鹿なやり取りをしてる間に、どうやら偉い人たちの話はある程度決まったようだ。
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