46 / 330
二章
四十二話 旅立ち?Ⅰ
しおりを挟む
「村を離れるだぁ?」
「ええ、村も落ち着いたようなので二週間ほどエリスとハティと俺とでこの辺りを見て回ろうと思って」
あの襲撃事件から数日。
村はいつもの様子を取り戻しつつあった。
大規模な襲撃で、割と洒落にならないモンスターなんかも現れたりしたが、実際の被害は実はそれほど出ていなかった。
野犬の群れは村の外でほとんど食い止められていたし、大怪我した人が何人か出たが幸いな事に死者は出なかったのだ。
破損したのも入口近くの家が飛び込んできた野犬にぶつけられて柱が曲がったのと、村の北側の壁が一部破壊された程度だった。
幸いなことに村の中央を流れる川よりも北側に住んでいたのは新入りの俺とアラマキさんだけで、二人共の家は壊れた壁から離れていたのでバジリコックやアーマードレイクが暴れても倒壊する家なんかは特になかった訳だ。
なので、俺はログインしてきたアラマキさんと壁の補修用の木材厚めを手伝った程度だった。
そして、完全に村が落ち着いたのを見計らって俺は村長を訪ねた。
少しの間留守に村を留守にする必要があったたので、その報告のためだ。
「お前達を村に縛り付けるつもりはないし別にそれは構わないが、三週後に都から迎えが来るのは理解してるな?」
「ええ、なので余裕を持って二週間前後で戻ってくるつもりです」
流石に王様からの誘いをブッチする訳にはいかないからな。
俺たちの今後の活動を考えると、こっちとしても王様の案には乗っておきたいのだ。
「ガーヴはこの事を知ってるのか?」
「ええ、確認はもうとってます。エリスと仲のいいサリちゃんにはベソかかれましたけど」
「そりゃお前が悪い。友達取り上げられたらそりゃ泣かれるだろ」
「ええ、まぁエリスに説得してもらってなんとか納得してもらいました」
俺たちが村を出ていくと勘違いして泣かれちまったんだよな。
二週間ほどで帰ってくるって何度も説明してやっと理解はしてもらえたけど、あのふくれっ面は絶対に納得してないな。
あまり子供を敵に回したくはないんだけどなぁ。
「わかった。先月大量だった分、今月の狩りは数名で行おうと思っていたしな。本来ならお前らに技術を仕込もうかと思っていたが……他にやりたいことが出来たのなら仕方あるまい」
「ホントすいません。狩りの技術なんかを教えてほしいと頼んだのは俺の方なのに」
正直これについては俺も本気で惜しいと思っている。
空腹まで丁寧に再現してくれやがるこの世界で暮らす以上、狩りの技術は冒険とかなんかよりも遥かに生死に直結する重要な技術だからな。
教えてくれる人がいるうちに必要最低限の技術は身につけておきたいのだ。
ただ、今回の要件はあれはあれで俺の生活に関わるものだからなぁ。
主に銭的な意味で。
「気にするな。狩りなんぞ必要にかられれば嫌になるほどすることになるんだ。お前やハティには村を守ってもらった恩もある。やりたいことを見つけたのならそれを優先すればいい」
「助かります」
こうして村長達に村を離れる許可を取ったのには当然理由がある。
先日、今までは完全に沈黙していたメーラーに運営からのメールが届いたからだ。
◇◇◇
「何だこのアラート? 何かの通知か?」
突如聞こえてきたアラート音に久々にシステムウィンドウを開いてみる。
……そういえば、ネトゲなのにステータスやシステムウィンドウを全く使ってないな。
本来ならこの手のゲームでかなり頻繁に使われるであろう装備ウィンドウだが、このゲームでは装備とかは自分で普通に身に着けるもので、装備ウィンドウはあくまで今身に着けているものを確認する程度のものでしか無い。
なので、一目見ればわかるものをいちいちウィンドウ開いて確認することもないんだよな。
俺自身、スキルの確認以外でコンソールを全く使ってないことに今更気がついた。
手持ちのアイテムが増えればアイテムウィンドウなんかは役に立つかもしれんけど、今はカバン覗けば全部見えるし、各種ウィンドウの価値がかなり低い気がする。
って、そんなことよりもだ。
「結局、この音はなんの通知なんだ……と」
ステータスや装備、システムウィンドウ等思いつく所を全て開いてみたがどこにもそれらしい物はない。
一体何がペコポンペコポン鳴ってるんだ……?
開けるウィンドウは全備見てみたし、コレ以外となるとゲーム外の筐体用のジェネラルメニューか?
メインコンソールを探してみた結果案の定だ。
というかコレはメールアイコンか?
でも、俺の筐体はセキュリティの問題でメーラーは封鎖してるんじゃなかったのか?
とりあえず開いてみればわかるか。
「えぇと……メールが、2通?」
メールの内容は簡単にまとめるとこうだ。
3日後正式サービス開始と同時に大規模なセレモニーを開く。
その際に開発トークイベント等が企画されておりそこで公式プレイヤーの紹介も行う。
トークイベントは公式プレイヤーの内、声優やプロゲーマーに任せ、テスターにはエキシビジョンマッチを頼みたいという事。
その後10日~20日程集中的にログインして一般プレイヤーに混ざってプレイして欲しい。
これが一通目の内容。
要するに公式テスター向けに送られた、所謂お仕事案内だ。
そしてもう一通。
こっちは俺個人宛の内容だった。
内容は明かせないが、俺のアカウント周辺で想定外の問題が幾つか起こっているという事。
ログを確認しても原因が突き止められず、緊急措置としてエリスとハティのデータを正式版の本サーバにコンバートしてデータの確認をしたいという事。
隔離や拘束等をする事はないので、公式プレイヤーとして普通に正式版をプレイしてもらって問題ないということ。
その他緊急案件故の特別手当とかそういった類の説明がどっさりと……といった感じだ。
まぁ要するに、セレモニーに合わせて俺のアカウントやハティのデータの精査をさせてくれという訳だ。
そのついでに公式プレイヤーとして活動してほしいと。
まぁ、公式プレイヤーとしての活動はテスターとしてのものとは別にお給金が出ると説明は受けているので、入院費とかで貯金が心もとない俺にとっては渡りに船でも有るし、最初から引き受けるつもりだったから問題ない。
俺のアカウント周辺での問題というのはよく判らんが、明かせないとハッキリ書かれているということは技術的なものかなにかの守秘義務にでも抵触するんだろう。
そこを突っ込んでも仕方ないし、今はそういうものだと理解だけしておけばいい。
俺としても、ゲームの世界の中で24時間過ごすしか無い現状、ほとんど俺の身体と言っても過言ではないこのキアバターにバグが出るとかは本気で勘弁してほしいので精査してくれるというのなら願ったり叶ったりだ。
「とりあえず俺は参加するとして、ハティとエリスに確認とるか」
◇◇◇
という訳で、二つ返事で……というよりも何が何でも絶対参加をするとノリノリの一人と一匹の了承によってしばらくは本サーバ側で活動する為に、失踪を誤魔化すアリバイ作りに勤しんでいたというわけだ。
なんせ、データコンバートという仕様上こちらのサーバから俺達三人が忽然と姿を消すことになるからな。
正直に理由を伝える訳にはいかない以上、理由をつけて人の目の届かないところに行っているということにする必要があるわけだ。
ミーティングの時のように1日やそこらなら問題ないのだが、今回のように長期となるとそれなりの理由を用意しなければならない。
アラマキさんは普段から森の中に住んでいるような感じで説明しており、村にいる時間のほうが少ない。
ログイン時間が限られているから仕方ないのだが、上手く理由を用意したもんだ。
そして、村長と後見人みたいな立ち位置になっているガーヴさんの二人から了承を取ることに成功し、ようやく準備が整ったというわけだ。
二週間の旅に出るとはいえ、実際は別サーバへ移動するだけだし、テストと違いサーバ間でアイテムの移動はゲームバランスの維持の問題からも不可能との事で特に荷造りの準備も特に必要ない。
一応旅装束として村長からマントを譲ってもらい、初期装備だったトラベルバッグも背負ってきているが、これらのアイテムはサーバ間移動している際はアバター情報と一緒に保存されるそうだ。
要するに2キャラは同時起動は出来ませんよ、という事らしい。
そもそも、モニターゲームと違い主観操作のこのタイプのゲームで複数キャラの同時仕様とか自動化ツールでも使わない限り無理だと思うが……
それと、この鯖と本鯖のアバターデータはステータスを共有するだけの別キャラ扱いで、アイテム、所持金といったものは勿論のこと、こちらの鯖では可能なことでも正式版で機能制限されている機能は当然使用不可になるとの事。
……なのだが、それでどういった影響が出るのか検証が行えていない為、俺のアバターのみ限定解除されており、検証が進み次第順次機能を落としていくのだそうだ。
といっても、あくまでリアリティ高すぎなアバターの構造によるものなので、機能を制限していったとしてもゲーム中のパラメータに変動が起きることはないらしい。
むしろ、あっちの鯖でも便意とか来たらシャレにならんからさっさと検証して機能制限していって欲しいところだ。
痛覚に関しては前回のテストの時はかなり「遠く」感じたし、変わっていないようならそこまで困ることもないだろう。
少なくとも痛みでうずくまるような事態には陥らないはず。
「さて、この辺りでいいか。エリス、外に人影はあるか?」
「ううん。誰も居ないよ」
「よし。ならここで良いな」
というわけで、事前に必要な準備を全て整えた俺達は村から少し離れた山間の洞窟にやってきた。
流石に信用できるとはいえ村人達にもサーバ移動用のポータルをを見せる訳にはいかないからだ。
サーバ間移動については前回のミーティングの際に移動用ポータル作成アイテムを受け取っている。
というか、本来ならログイン時にサーバ選択すればいいのだが、俺がログアウト出来ない(ログアウトしてしまうと自力で再ログインできない為、誤爆防止にログアウトボタンがロックされている)という特殊な状況であるため専用のサーバ移動用ツールをアイテム化してくれたらしい。
前回はアラマキさんが使い捨てアイテムとして使ってくれたそれを、ミーティングから帰る際に未消耗のユニークアイテムとして渡してくれたのだ。
「さて、それじゃ行こうか。」
「うん!」
「ウォン!」
「ええ、村も落ち着いたようなので二週間ほどエリスとハティと俺とでこの辺りを見て回ろうと思って」
あの襲撃事件から数日。
村はいつもの様子を取り戻しつつあった。
大規模な襲撃で、割と洒落にならないモンスターなんかも現れたりしたが、実際の被害は実はそれほど出ていなかった。
野犬の群れは村の外でほとんど食い止められていたし、大怪我した人が何人か出たが幸いな事に死者は出なかったのだ。
破損したのも入口近くの家が飛び込んできた野犬にぶつけられて柱が曲がったのと、村の北側の壁が一部破壊された程度だった。
幸いなことに村の中央を流れる川よりも北側に住んでいたのは新入りの俺とアラマキさんだけで、二人共の家は壊れた壁から離れていたのでバジリコックやアーマードレイクが暴れても倒壊する家なんかは特になかった訳だ。
なので、俺はログインしてきたアラマキさんと壁の補修用の木材厚めを手伝った程度だった。
そして、完全に村が落ち着いたのを見計らって俺は村長を訪ねた。
少しの間留守に村を留守にする必要があったたので、その報告のためだ。
「お前達を村に縛り付けるつもりはないし別にそれは構わないが、三週後に都から迎えが来るのは理解してるな?」
「ええ、なので余裕を持って二週間前後で戻ってくるつもりです」
流石に王様からの誘いをブッチする訳にはいかないからな。
俺たちの今後の活動を考えると、こっちとしても王様の案には乗っておきたいのだ。
「ガーヴはこの事を知ってるのか?」
「ええ、確認はもうとってます。エリスと仲のいいサリちゃんにはベソかかれましたけど」
「そりゃお前が悪い。友達取り上げられたらそりゃ泣かれるだろ」
「ええ、まぁエリスに説得してもらってなんとか納得してもらいました」
俺たちが村を出ていくと勘違いして泣かれちまったんだよな。
二週間ほどで帰ってくるって何度も説明してやっと理解はしてもらえたけど、あのふくれっ面は絶対に納得してないな。
あまり子供を敵に回したくはないんだけどなぁ。
「わかった。先月大量だった分、今月の狩りは数名で行おうと思っていたしな。本来ならお前らに技術を仕込もうかと思っていたが……他にやりたいことが出来たのなら仕方あるまい」
「ホントすいません。狩りの技術なんかを教えてほしいと頼んだのは俺の方なのに」
正直これについては俺も本気で惜しいと思っている。
空腹まで丁寧に再現してくれやがるこの世界で暮らす以上、狩りの技術は冒険とかなんかよりも遥かに生死に直結する重要な技術だからな。
教えてくれる人がいるうちに必要最低限の技術は身につけておきたいのだ。
ただ、今回の要件はあれはあれで俺の生活に関わるものだからなぁ。
主に銭的な意味で。
「気にするな。狩りなんぞ必要にかられれば嫌になるほどすることになるんだ。お前やハティには村を守ってもらった恩もある。やりたいことを見つけたのならそれを優先すればいい」
「助かります」
こうして村長達に村を離れる許可を取ったのには当然理由がある。
先日、今までは完全に沈黙していたメーラーに運営からのメールが届いたからだ。
◇◇◇
「何だこのアラート? 何かの通知か?」
突如聞こえてきたアラート音に久々にシステムウィンドウを開いてみる。
……そういえば、ネトゲなのにステータスやシステムウィンドウを全く使ってないな。
本来ならこの手のゲームでかなり頻繁に使われるであろう装備ウィンドウだが、このゲームでは装備とかは自分で普通に身に着けるもので、装備ウィンドウはあくまで今身に着けているものを確認する程度のものでしか無い。
なので、一目見ればわかるものをいちいちウィンドウ開いて確認することもないんだよな。
俺自身、スキルの確認以外でコンソールを全く使ってないことに今更気がついた。
手持ちのアイテムが増えればアイテムウィンドウなんかは役に立つかもしれんけど、今はカバン覗けば全部見えるし、各種ウィンドウの価値がかなり低い気がする。
って、そんなことよりもだ。
「結局、この音はなんの通知なんだ……と」
ステータスや装備、システムウィンドウ等思いつく所を全て開いてみたがどこにもそれらしい物はない。
一体何がペコポンペコポン鳴ってるんだ……?
開けるウィンドウは全備見てみたし、コレ以外となるとゲーム外の筐体用のジェネラルメニューか?
メインコンソールを探してみた結果案の定だ。
というかコレはメールアイコンか?
でも、俺の筐体はセキュリティの問題でメーラーは封鎖してるんじゃなかったのか?
とりあえず開いてみればわかるか。
「えぇと……メールが、2通?」
メールの内容は簡単にまとめるとこうだ。
3日後正式サービス開始と同時に大規模なセレモニーを開く。
その際に開発トークイベント等が企画されておりそこで公式プレイヤーの紹介も行う。
トークイベントは公式プレイヤーの内、声優やプロゲーマーに任せ、テスターにはエキシビジョンマッチを頼みたいという事。
その後10日~20日程集中的にログインして一般プレイヤーに混ざってプレイして欲しい。
これが一通目の内容。
要するに公式テスター向けに送られた、所謂お仕事案内だ。
そしてもう一通。
こっちは俺個人宛の内容だった。
内容は明かせないが、俺のアカウント周辺で想定外の問題が幾つか起こっているという事。
ログを確認しても原因が突き止められず、緊急措置としてエリスとハティのデータを正式版の本サーバにコンバートしてデータの確認をしたいという事。
隔離や拘束等をする事はないので、公式プレイヤーとして普通に正式版をプレイしてもらって問題ないということ。
その他緊急案件故の特別手当とかそういった類の説明がどっさりと……といった感じだ。
まぁ要するに、セレモニーに合わせて俺のアカウントやハティのデータの精査をさせてくれという訳だ。
そのついでに公式プレイヤーとして活動してほしいと。
まぁ、公式プレイヤーとしての活動はテスターとしてのものとは別にお給金が出ると説明は受けているので、入院費とかで貯金が心もとない俺にとっては渡りに船でも有るし、最初から引き受けるつもりだったから問題ない。
俺のアカウント周辺での問題というのはよく判らんが、明かせないとハッキリ書かれているということは技術的なものかなにかの守秘義務にでも抵触するんだろう。
そこを突っ込んでも仕方ないし、今はそういうものだと理解だけしておけばいい。
俺としても、ゲームの世界の中で24時間過ごすしか無い現状、ほとんど俺の身体と言っても過言ではないこのキアバターにバグが出るとかは本気で勘弁してほしいので精査してくれるというのなら願ったり叶ったりだ。
「とりあえず俺は参加するとして、ハティとエリスに確認とるか」
◇◇◇
という訳で、二つ返事で……というよりも何が何でも絶対参加をするとノリノリの一人と一匹の了承によってしばらくは本サーバ側で活動する為に、失踪を誤魔化すアリバイ作りに勤しんでいたというわけだ。
なんせ、データコンバートという仕様上こちらのサーバから俺達三人が忽然と姿を消すことになるからな。
正直に理由を伝える訳にはいかない以上、理由をつけて人の目の届かないところに行っているということにする必要があるわけだ。
ミーティングの時のように1日やそこらなら問題ないのだが、今回のように長期となるとそれなりの理由を用意しなければならない。
アラマキさんは普段から森の中に住んでいるような感じで説明しており、村にいる時間のほうが少ない。
ログイン時間が限られているから仕方ないのだが、上手く理由を用意したもんだ。
そして、村長と後見人みたいな立ち位置になっているガーヴさんの二人から了承を取ることに成功し、ようやく準備が整ったというわけだ。
二週間の旅に出るとはいえ、実際は別サーバへ移動するだけだし、テストと違いサーバ間でアイテムの移動はゲームバランスの維持の問題からも不可能との事で特に荷造りの準備も特に必要ない。
一応旅装束として村長からマントを譲ってもらい、初期装備だったトラベルバッグも背負ってきているが、これらのアイテムはサーバ間移動している際はアバター情報と一緒に保存されるそうだ。
要するに2キャラは同時起動は出来ませんよ、という事らしい。
そもそも、モニターゲームと違い主観操作のこのタイプのゲームで複数キャラの同時仕様とか自動化ツールでも使わない限り無理だと思うが……
それと、この鯖と本鯖のアバターデータはステータスを共有するだけの別キャラ扱いで、アイテム、所持金といったものは勿論のこと、こちらの鯖では可能なことでも正式版で機能制限されている機能は当然使用不可になるとの事。
……なのだが、それでどういった影響が出るのか検証が行えていない為、俺のアバターのみ限定解除されており、検証が進み次第順次機能を落としていくのだそうだ。
といっても、あくまでリアリティ高すぎなアバターの構造によるものなので、機能を制限していったとしてもゲーム中のパラメータに変動が起きることはないらしい。
むしろ、あっちの鯖でも便意とか来たらシャレにならんからさっさと検証して機能制限していって欲しいところだ。
痛覚に関しては前回のテストの時はかなり「遠く」感じたし、変わっていないようならそこまで困ることもないだろう。
少なくとも痛みでうずくまるような事態には陥らないはず。
「さて、この辺りでいいか。エリス、外に人影はあるか?」
「ううん。誰も居ないよ」
「よし。ならここで良いな」
というわけで、事前に必要な準備を全て整えた俺達は村から少し離れた山間の洞窟にやってきた。
流石に信用できるとはいえ村人達にもサーバ移動用のポータルをを見せる訳にはいかないからだ。
サーバ間移動については前回のミーティングの際に移動用ポータル作成アイテムを受け取っている。
というか、本来ならログイン時にサーバ選択すればいいのだが、俺がログアウト出来ない(ログアウトしてしまうと自力で再ログインできない為、誤爆防止にログアウトボタンがロックされている)という特殊な状況であるため専用のサーバ移動用ツールをアイテム化してくれたらしい。
前回はアラマキさんが使い捨てアイテムとして使ってくれたそれを、ミーティングから帰る際に未消耗のユニークアイテムとして渡してくれたのだ。
「さて、それじゃ行こうか。」
「うん!」
「ウォン!」
2
お気に入りに追加
630
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!
リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。
彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。
だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。
神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。
アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO!
これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。
異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。
そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる