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七章
隻眼の老人
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今日はついに終業式。明日からは夏休みだ。しかし、いつもより早めに目覚めた私の気分は未だかつてないほどに落ち込んでいた。
夏休みが始まる。それ即ち、ついに合宿が始まるということでもある。まだ数日あるとはいえ、日が経つにつれ気が重くなることはあっても軽くなることはない。
そんな私とは対照的に、妹の姫舞瓈は最近機嫌が良いことが増えた。何を企んでいるのか、幻は何か掴んでいるようだが、教えてはくれない。それが余計に私の気分を落ち込ませていた。
幻は何を隠しているのか。考えたところでわからない。
そんなことを取り留めなく考えていると、ベッド脇に気配を感じた。視線を送ると、老人がベッドの淵に腰掛けている。
「…お爺ちゃん。まだ、朝なんだけど…」
ゆっくり体を起こすと、老人が笑った。
「なに、眠れていないようだったから、気になってのう…。妹が気になるか?」
この老人はもちろん人間ではない。この前の特訓で契約した…というか、力を貸してくれることになった悪魔…ということになっているが、正直本当に悪魔なのかはわからない。
「…妹が何考えてるのかわからなくて。つい、悪い方に考えて不安になるの」
幻には言いにくいことも、この老人の前では自然と言葉にできた。
「ふむ…彼女は確かに何かを企んでおる。じゃがな、この爺が付いておるんじゃ。心配せんでいい」
幻曰く、この老人は偶然あの部屋にいただけで、あの部屋に囚われているわけでもなければ雑魚悪魔でもないと言う。むしろ、幻が貼った結界を自由に行き来できるほどには強力な悪魔だ。下手すれば、幻よりも強い。…どうして力を貸してくれる気になったのかは…正直、今のところ納得のいく回答を得られていない。幻は、暇潰しにちょうど良かったんじゃないか、と言っていた。
「…そう、だね。ありがとう、お爺ちゃん」
「ほっほ。気にするでない。さあ、そろそろ起きないと遅刻してしまうぞ」
促されてベッドから出る。私が支度をしている間に、老人の姿は部屋から消えていた。
夏休みが始まる。それ即ち、ついに合宿が始まるということでもある。まだ数日あるとはいえ、日が経つにつれ気が重くなることはあっても軽くなることはない。
そんな私とは対照的に、妹の姫舞瓈は最近機嫌が良いことが増えた。何を企んでいるのか、幻は何か掴んでいるようだが、教えてはくれない。それが余計に私の気分を落ち込ませていた。
幻は何を隠しているのか。考えたところでわからない。
そんなことを取り留めなく考えていると、ベッド脇に気配を感じた。視線を送ると、老人がベッドの淵に腰掛けている。
「…お爺ちゃん。まだ、朝なんだけど…」
ゆっくり体を起こすと、老人が笑った。
「なに、眠れていないようだったから、気になってのう…。妹が気になるか?」
この老人はもちろん人間ではない。この前の特訓で契約した…というか、力を貸してくれることになった悪魔…ということになっているが、正直本当に悪魔なのかはわからない。
「…妹が何考えてるのかわからなくて。つい、悪い方に考えて不安になるの」
幻には言いにくいことも、この老人の前では自然と言葉にできた。
「ふむ…彼女は確かに何かを企んでおる。じゃがな、この爺が付いておるんじゃ。心配せんでいい」
幻曰く、この老人は偶然あの部屋にいただけで、あの部屋に囚われているわけでもなければ雑魚悪魔でもないと言う。むしろ、幻が貼った結界を自由に行き来できるほどには強力な悪魔だ。下手すれば、幻よりも強い。…どうして力を貸してくれる気になったのかは…正直、今のところ納得のいく回答を得られていない。幻は、暇潰しにちょうど良かったんじゃないか、と言っていた。
「…そう、だね。ありがとう、お爺ちゃん」
「ほっほ。気にするでない。さあ、そろそろ起きないと遅刻してしまうぞ」
促されてベッドから出る。私が支度をしている間に、老人の姿は部屋から消えていた。
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