復讐の魔女と悪魔の拷問契約

三章

幻視点 三章その後

自らの主人を大切に抱え、幻は人間界に向かっていた。
成り行きで契約を交わしたことを、幻は既に後悔し始めていた。
初めて今の主人を見つけたときは驚いた。その魂は他の人間の魂とはかけ離れていた。人間の魂なぞ、多少なりとも汚れているもの、しかし、主人の魂はそうではなかった。荒々しく、触れたもの全てを破壊するほどの凶暴性を秘めていながら、まるでガラスで作られたバラのように繊細だった。床に叩きつけでもしたら、砕け散ってしまいそうなほど。
だから、契約は慎重に行いたかった。１つ間違えれば跡形もなく消え去ってしまいそうなほど脆い魂。傷１つでも付けたくはなかった。
「…あの雑魚、次に会ったら1週間火炙りにでもするか」
幻は眉間に皺を寄せ、花蔭への呪いの言葉を吐き捨てると、人間界へと戻っていった。